新しい産業国家 (1972年)

  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  •  読んだのはTBSブリタニカの第3版ですが、表紙がかっこいいのでこちらに書きます。

     15年来持っていた感覚――大企業のあの鼻に付く感じ――をここまで説得的に説明した本に、ようやく出会えました。消費社会論的なところなど、まだまだ煮詰められそうな箇所も多いですが。

    【要約】資本主義下の巨大法人企業群の生息域は、つまるところ計画化経済である。①技術の進歩により経済は長大化。「計画」を要するようになった。②そこで、科学やマネジメントの技術が新しい生産要素となった(土地→資本→...)。③大規模企業のマネジャー(テクノストラクチュア:TS)は、 (a)寡占・規模格差・垂直統合の経済学的力学や、 (b)広告やマーケ等の産業での需要創出 を通じて経済を計画化する。④豊かになったTSは、金銭よりも、集団的目標と個人的目標の整合に関心を持つ。⑤組織化された労働組合を通じて、人件費も計画化されている。

  • 巷ではドラッカーが、流行っているみたいですが、同じ制度学派のガルブレイスを推したいですね。ガルブレイスといえば『不確実性の時代』が有名であるが、著者の基本概念を知るのには、この『新しい産業国家』は外せないのではないでしょうか。
    本書は、企業目的とは、どのようなものであるのかということを問うています。資本主義は、変化しており、企業は大規模化していく。そして、計画化体制へと移行し、テクノストラクチュアが経済をひっぱっていくというものです。
    この本の魅力の内容の一つに、「刺激誘因」があげられます。人や企業は、なんらかの誘因があって行動をおこすというものです。
    その誘因の要素を①強制②金銭的③一体感④適合に分類しています。人、企業は、①から④の順に刺激をうけ、行動するというものである。③の一体感は、企業目的と自分の目的を同じなとき、④の適合は、企業の目的が、社会の目的が同じときと解釈してよいでしょう。
    この刺激誘因をもとにすれば、『もしドラ』ぐらいの本できるのにと…。
    「社会の目標、組織の目標、個人の目標のあいだには一貫性がなくてはならない。そしてまた、組織と個人のがこれらの目標を追求するようにしむけるいろいろな動機のあいだにも一貫性がなければならない。」という一貫性の原則が、基本になっていることに注目したい。

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