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- / ISBN・EAN: 4560285900328
感想・レビュー・書評
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今作が生まれた経緯として、サイレントの頃に『ロスト・ワールド』というような映画があった。これが始めての、アメリカの超大作のトリックで、大きなブロンド・ザウルスとかいう恐竜が出てきて、恐竜同士が食べ合う。それを、粘土で作ってうまく動かした。それを観た観客は驚いた。あんまり興行があたったもんで、それではもう一本つくろうか、と考えたのが『キング・コング』だった。
んぐらいの、僕の体ぐらいのお猿が三匹、四匹、五匹、六匹いたんですね。
ところが見てると、スイッチ入れると指が全部動くの、指の一本一本が。こう、この先まで動くの。で、顔も目も動くの。
という訳で第一回目につくった『キング・コング』、これがえらい評判になったの。お猿がかわいい、かわいい女の人を好きになって、それでびっくりしたんですけど、
一番驚いたのは、フェイ・レイの扮してる女子の叫び声。この叫び声、「キャーーーー」言うのがね、ただ事やないぐらい叫びが凄かったのね、えらい評判になった。それでフェイ・レイはそれから後に叫び声の映画ばっかり出た。ギャングに追われて「キャーー」、そんなんばっかり出されて、叫び声の女優さんになっちゃった。
しかし、なぜこれがおもしろかったか。それは巨猿が人を食い殺すんじゃなくて、かわいい、奇麗な女の人に、手の上に乗るような女の人に、夢中になって愛を感じたいうところが評判になった。これが最も大切な所。これがもしも、暴れ廻って、地下鉄も自動車もひっくり返す、それだけで終ったらこんなに命が永くない。女の子を愛したのに、最後は無残に殺される。高い塔に上って行くその猿を飛行機からパンパン撃つ場面、今でもある。ラスト、飛行機の爆撃を受けて、大きな猿が倒れて死んじゃうとこが、いかにもかわいそう。
そして、ラストの町に行ってからのシーンが有名なのだが、面白かったのは、島内で恐竜たちと対決するところ。ティラノサウルス、翼竜、へびみたいな恐竜らとの対決が見応えがあったのは、知らなかった。対決はしなくても、船員を襲うネッシーのような恐竜も怖かった。
【ストーリー】
カール・デンハムは猛獣映画等の撮影で儲けている男であるが、ノルウェーの一帆船の船長から手にいれた秘密の楽園によって世界未知の島に怪獣を撮影しに出かけた。従来デンハムの映画には1人の女性も出なかったので、色気がなさすぎるという評判だったが、今度の遠征撮影には、危うく倫落の淵に陥ろうとしていたアン・ダーロウという美人を救い、彼女を主役として同伴することとなった。一行は数週間の航海の後、スマトラ島の西南遥かに、普通の海図には記載されていない一孤島をついに発見した。この島にはどくろの形をした山と大きな城壁があって、コングという巨大なゴリラが棲んでいると言われていた。コングは島の「ぬし」で、原住民たちは毎年一人の処女を生け贄として捧げる風習があった。そしてデンハム一行が上陸した時は、この祭典を行う時季に相当していた。島の酋長は美しいアンを見て、黄金の女であると喜び、コングに捧げるには絶好と、夜半船に忍び込んでアンを誘拐した。アンはかくて祭壇に縛り付けられ、コングに奪われた。数週間行を共にしている間にアンに恋を感じるようになっていた若者ジョン・ドリスコルは、身を挺して彼女を助けに赴いた。コングの棲む深山には前世紀の怪獣が棲息していて、コングと闘うのであった。ドリスコルは苦心の結果、コングの虚を利してアンを救いだした。そして生け贄を奪還されて怒って襲来したコングは、毒ガス弾のために気絶して倒れ、生け捕られてしまう。デンハムは怪獣コングをニューヨークに連れ帰り大儲けをしようと考えた。ニューヨークの大劇場で初演の日、舞台に鉄鎖で縛りつけられたコングは、新聞社写真班のフラッシュがアンを殺すと誤解して打ち驚き必死の力をだして厳重な鉄輪と鉄鎖を切って逃げだした。コングはニューヨークの雑踏中に横行して、高架電車を破壊し、アンをホテルの窓から奪い、ニューヨーク第一の摩天楼エンパイア・ステート・ビルの頂上に登った。警察は飛行機4機を出動させて機関銃を乱射して、ついにコングを倒し、アンを救うことに成功した。
「地上」「チャング」の共作者たるメリアン・C・クーパーとアーネスト・B・シューザックがRKOに於いて再び共同して監督した映画で、エドガー・ウォーレスとクーパーが立てた原案により、「爆笑隊従軍記」のジェームズ・アシュモア・クリールマンがルース・ローズと共同して脚本を制作した。出演俳優は「大飛行船」「国際盗賊ホテル」のフェイ・レイ、「千万ドルの醜聞」「米国撃滅艦隊」のロバート・アームストロング、新人ブルース・キャボットの3人が主なるもので、フランク・レイチャー、サム・ハーディ、ノープル・ジョンソン等が助演している。撮影はエドワード・リンデン、ヴァーノン・ウォーカー、J・O・テイラーが受け持っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モノクロ初期作品
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『キングコング』[King Kong](1933) アメリカ/モノクロ/100分
“評判の良くないカール・デナムが、偶然街で知り合った女優志望のアン・ダロウを伴って向かった先が、東インド諸島スマトラ島の沖合にある「髑髏島」。苦難の末、捕獲してきたコングが興行初日、カメラのフラッシュで暴れだし、ついにはエンパイヤーステートビルの天辺で、飛行機と戦った末落下してあえない最後をとげる”って言うお話。
警部が「飛行機が、撃ち落したんだ」というと、デナムが「いや、飛行機じゃないさ。美貌が野獣を仕留めたのさ」といってこの映画は終わっちゃうんだけど、もし博士役で志村 喬(しむら・たかし)さんでもい たら、「勝ったのはコングかもしれないな。コレで彼は永遠の安息を得て、本当の神になったのだから」なぁ~んて、いってくれたかもしれない。
映画を見終わると、いつも頭を駆け巡る数々の疑問。今回は、
1.ガス弾なんか持って行くくらいなら、普通の小銃じゃなくてバッファローや象打ち用の大口径の銃を持って行ったほうが良かったのでは?
2.コングを港湾設備のない「髑髏島」から、どうして沖合に停泊してる船にまで運んだんやろ?
3.よく島民が、持って行くの許したよなぁ?
4.もし筏でも作ったとして、クレーンもないのにどうしていかだに積み込んだんやろ?
5.船のデリックで、吊り上げられたんやろか?
6.あんな小さな貨物船の船倉に、どうしてコングが入ったんやろう? それともニューヨークまで筏に載せたまま曳航してきたんかな?
7.「髑髏島」~ニューヨークまでの輸送途中の餌は? それとも、眠らせたまま?
8.ニューヨークの港からホールまで、何で運んだんやろ? 今みたいに、ポールトレーラーはないやろし…。
でもこれらの疑問がいっさい気にならないくらい、映画にグイグイ引き込まれてしまうのは、さすがです。今見直しても、78年前の映画とは思えないくらい、色あせない名作です。
ラストの有名な美女アンを片手に持ってエンパイア・ステート・ビルに上るシーン、“雲霞のごとく襲い掛かる飛行機群と、コングの決しの戦い”っていきたかったところですが、予算の関係で4機のみの出撃です。写真なんかでたくさんの飛行機が写ってるのがありますが、アレは合成。
機種は、海軍の練習機 カーチス02C-2。機首に2門、後部銃座に1門合計3門の7.7mm機銃が装備。監督のアーネスト・B・シェードザック自らが飛行機に乗り込んで、画面に映ってることはあまりにも有名。
『キングコング』という映画自身、何回かリメイクされていたり、たくさんの亜流を生み出したりしてるのですが、クレジットタイトルに監督自身の名前を残したいだけとしか思えない、惨憺たる出来ばえには言葉もありません。
それに比べれば、面白い物を作りたいという熱い思いで製作に取り組んだ、アーネスト・B・シェードザック監督や、特撮技術のウィリス・オブライエンそのほか全スタッフの皆さんには、心から敬意を表します。あなた達は、ほんとに凄い。あなた達がいなかったら、あのレイ・ハリーハウゼンはいなかったのだから。 -
レンタル
2010年11月10日 -
キング・コングのぎこちない動きがコミカル!