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- / ISBN・EAN: 4532640303242
感想・レビュー・書評
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あくまで一映画として。
『終戦のエンペラー』の後、同じ内容をテーマにした作品があると知って出会った。
悪化の一途をたどる戦争に終止符を打ち、自らの神格化を自ら否定して永遠の平和を約束した。
集団的自衛権だの叫ばれている今、静かに原点回帰。
封切り前後、昭和天皇を役者に演じさせることを問題視する声はやはりあったようだ。
ロシア人監督、ロシアを含めたヨーロッパ数ヶ国の合作映画、コミカルな描写。
結局立ち見客が出るほどの盛況ぶりだったみたいだけど今から考えてもやっぱり大胆。
(イッセー尾形さん演じる昭和天皇がGHQのカメラマンの前でChaplinのモノマネを始めた時は度肝を抜かれた)
一人の人間なんだけど、どこか浮世離れした存在感。
彼なりに理解した時に放たれる「あ、そう」。
冒頭では「電気、通ったね」と笑顔をチラ見せ。
相手が発言している時、何か物言いたげそうに口をパクパク。
どの言動も何故か普通に捉えられなかった。
あと日本映画ではなかなか見られない場面の描写も見どころ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロシアの監督アレクサンドル・ソクーロフが、昭和天皇を描いた映画。セリフは日本語と英語である。
前半は終戦直前、後半は終戦直後と、1945年日本の歴史的転換の数日間が舞台になっている。
ただ、前半と後半の切り替えが唐突で、なんの説明もないまま終戦直後になるので、観ていて戸惑う。
降伏すべきか否かの御前会議をしていたかと思えば、急に米軍が宮城(皇居)にやってくる場面に変わるのだ。
その点以外も、全体に説明不足でぶっきらぼう。若い人が観たらなんのことかわからない場面が多い映画だと思う。
前半は昭和天皇の一日をただ淡々と追うだけという感じで、退屈。
だが、後半に入り、マッカーサーと昭和天皇が対峙する場面にさしかかると、俄然面白くなる。画面に緊張感がみなぎるのだ。
昭和天皇がポツダム宣言を受け入れ、「現人神」たることをやめる決断をするまでを描いているのだから、もっと悲壮感あふれる映画にしようと思えばできただろう。
だが、ソクーロフはそうしない。むしろ映画全体の主調音となるのは、不思議なユーモアとペーソスである。
現実の昭和天皇の口癖でもあった「あー、そう」が、くり返し登場する。天皇役のイッセー尾形が「あー、そう」と口にするとき、画面に漂う緊張感は一瞬で脱力し、奇妙な滑稽味が漂う。
そして、ここに描かれた昭和天皇の人物像は、よい意味でも悪い意味でも「まるで子どものよう」である。
日本の監督が作ったら、けっしてこういう映画にはならなかっただろう(それ以前に、そもそも日本では作れなかった映画だと思うが)。 -
「終戦のエンペラー」を観たのでこれも。
キャスティングしたの誰なんやろ。イッセー尾形見事。
チョコレートの場面好きやー。
「日本のいちばん長い日」も観ます。 -
すごい映画だと思った。こんな映画は日本では絶対作れない。
戦争中の天皇の生活と苦悩が描かれている。神として扱われていた天皇の人間臭さがとても出ていた。
昔から戦争中は天皇は何してたんだろうと疑問に思っていたのでこういう映画を観てみたかった。
ロシアの映画なので視点が偏っていないところも説得力があった。 -
「」
闇は、まだ明けなかった。
1945年8月。
その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。
その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。
宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。みるみるうちに焦土となる東京。失われる多くの命。うなされるように目を覚ます天皇の孤独。
日本は、まだ闇の中にある。
やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。
彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた…。 -
どこからどこまでが実話で、どこからどこまでが脚本なのかはわからないが、セリフのひとつひとつに感慨深いものがある。
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制作当時から観たかった映画。多分「ラスト・エンペラー」よりいい出来だと思います
敗戦前夜から戦後に渡る昭和天皇のお話。現人神から人間宣言
酷評してる人もちらほら。史実と違う云々。
。
なんか、純粋に史実に反するという論調よりも、その裏側には不敬であることへのいらだちのようなものも感じる。
別に、少々違っててもいいんじゃないのかね。、映画なんだから。
(´・ω`・)エッ?いいのか?というような描写もありました。
監督がロシアのアレクサンドル・ソクーロフ。
これは日本はもちろん、米国でも作れんと思います。ロシアだからこそ作れた映画。
なんか、描写が反米的です。
それにしてもイッセー尾形のなりきりっぷり(^Д^) よく、やったよなぁ。
なんかもぉ憑依してますよ。
昭和天皇がいつも口をピクピクモグモグしてたのを憶えてますが、そっくりです。
しかし、あれは高齢のためだと思ってたんだけど、違うのかな。やりすぎ感も否めない。
それと、戦後有名になった「あ、そう」というお返事。ちょっと連発しすぎじゃないか。
マッカーサーやあまりにも無礼千万なヤンキー達の態度。
さすがのボクも観てて腹立ってきます(#゚Д゚)y-~~イライラ なんでだろうね。
これが反米と描いた所以。
まさか、ホントに天皇に向かって「チャリー(チャップリン)だ!」とかぬかしたのか?
ボクの菊に対するスタンスは『今のところ、神聖にして侵すべからざる必要悪』というもんなんですが、そのボクでも、なめんな(#゚Д゚)ゴルァ!!ってなりました。
これが自然な愛国心っていうもんじゃないか?無理やり起立斉唱させなくてもさ。
天皇について、ディテールがリアルかどうかはともかく、気軽に話せる友達もおらず、自分のために多数の人が自死他殺はともかく死んでいく。
皇室に生まれ、自分で望んだわけではないあまりにも特殊な境遇の、寂しく悲しい苦悩が少々のコミカルな描写がより一層引き立たせます。
濃密な映像、限られた空間と控えめなCGが好ましい。前半は極端にセリフが少なく、少しつらいかもしれない。
なるほど、日本公開がためらわれた名画だと思います。 -
(観賞日:2006.09.02)
太平洋戦争を多角的に勉強するために、映画「太陽」を見てきました。
昭和天皇の太平洋戦争末期から、人間宣言までを描いたものです。天皇ヒロヒトをイッセー尾形が演じています。侍従長は、佐野史郎です。
映画は、地下室での食事の場面から始まります。今日の予定は、10時から閣僚と軍首脳との会見。正午から海洋魚類についての学術研究。午後2時から午餐。3時から午睡。4時からお一人で書き物をなさいます。
ラジオで、米軍の沖縄上陸のニュースが流れていましたので、1945年の4月から6月頃と思われます。予定に従って、一日が演じられてゆきます。
昭和天皇の眠りの中に、東京大空襲を思わせる場面が描かれます。爆撃機により次々と焼夷弾が投下され、東京の街が焼け野原になってゆきます。ただ、飛行機はあたかも魚が泳いでいるような形でゆらゆらと揺れているように描かれます。昭和天皇の海洋魚類研究とダブらせたのでしょうか。東京大空襲は、3月10日ですので、ちょっと時間を戻した感じです。夢の形で、天皇の苦悩を描こうとしたのでしょう。
戦争は終わったようです。アメリカの兵士が天皇を迎えに来て、マッカーサーの下に連れてゆきます。
マッカーサーが厚木基地に到着したのは、1945年8月30日です。
マッカーサーと通訳と天皇で話をしますが、通訳は日本の慣習をよく知っているアメリカ人のようです。
通訳が「陛下、連合国側の指示に従われますか?」と問うのに対し、「あなた方の、どのような決定をも受け入れる用意がございます」と答える。
アメリカの記者団がやってきて、天皇の写真をとらせてくれるように頼んできた。天皇は、その要求に応じて、研究所の庭に出て写真をとらせた。薔薇の花に近付き花の匂いをかいでいるところを取らせてくれとか、あれこれ注文をされながら写真をとらせた。
マッカーサーと並んで写真を撮るシーンはなかった。
マッカーサーが天皇を食事に招待し、あれこれ話し合います。
天皇が広島に原爆を落としたことを非難すると、マッカーサーは、私は命令していないと答えます。
マッカーサーが真珠湾攻撃を非難すると、天皇は、私は命令していないと答えます。
なかなか微妙な会話です。
天皇は、人間宣言をすることを決意します。
最後は、天皇の人間宣言を録音した若者が、自決したということを、侍従から告げられ終わります。
天皇の人間宣言は、1946年1月1日に行われています。
天皇について、あれこれと考えるのにいい作品かと思います。
プログラムは、1000円でしたが、シナリオがついています。
太陽
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
主演:イッセー尾形
2005年 ロシア・イタリア・フランス・スイス合作
上映時間:115分
配給:スローラーナー
2006年8月5日公開
上映館:銀座シネパトス -
マッカーサーに強烈な違和感を持ちながら見終えました。
学校の先生から聞いたのか、何かで読んだのかは今となっては覚えてませんが、昭和天皇にひとめ会ったマッカーサーは天皇の人となりに感服し、畏敬の念を持って天皇に接したんだと長年思い込んでいたので、映画の中のマッカーサーの尊大な態度が不自然に感じられたのです。
実際のところはどうだったんでしょうね。
天皇を演じたイッセー尾形は悪くないです。
☆3つかなと思ったけど、ロシア人が真摯に昭和天皇を描いた(やや難ありですが)という点も考慮すると☆4つかな。
日本じゃこういう映画は作られないでしょうしね。