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- / ISBN・EAN: 4988111284129
感想・レビュー・書評
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Japan SocietyにてのKON ICHIKAWA RESTORATIONS、3本中2本目。
幸田文の作品は読んだことがない。しかしながら映画化されたものとして成瀬巳喜男監督作品「流れる」(1956) が燦然と記憶の星の中に輝いている。あいにく鑑賞中にはどの作品だったかまではもつれた記憶の糸をほぐしきれなかったのであるが、本作の扱うテーマなどと比較するとなるほどの類似性で、人の内面をえぐるようなセリフ回しの数々が次々と溢れ出てくる。うーん、これまた原作か…。
田中絹代の憎まれ役というのは本来珍しい訳なのだが、自分にとってはもうそうでもなくなってきてしまっていることを改めて認識した。元となる既鑑賞作品は「春琴抄 お琴と佐助」(1935) だったり、「女優須磨子の恋」(1947) だったり、「夜の女たち」(1948) であったりするだろうか、どれも本作の頃よりは随分と若いころではあるけれど。
森雅之の老け役はまだ見慣れない。どうも本作が自分の既鑑賞群の中では再後年の作品らしく、自分の印象の大半を占める「雨月物語」(1953) 、「白痴 」(1951) 、「浮雲」(1955) 、「楊貴妃 」(1955) といった年代からは5〜10年の歳月が過ぎていることになる。ただだいぶん焦らしてからの第一声は十分聴き応えがあり「やっぱり森雅之だ。」と安心できた次第。
若かりし頃の岸恵子と初めて遭遇したのは小津作品「早春」(1956) であったが、今年に入って鑑賞した小林正樹監督作品「からみ合い」が1962年の作品で本作はその間に落ちる。実年齢と比べると本作撮影時は20代の後半で女学生役に挑戦してたこととなり若干無理があったかもしれないが、和装の似合い度も手伝って大正期の女学生の雰囲気は十分に出てたかと。ちなみにその先の印象といえば「男はつらいよ 私の寅さん」(1973) 、「細雪」(1983) とぽんぽーんと飛ぶこともあり、やっぱりこの60年前後が彼女の魅力が満開だったのかなと感じはするものの、結論は当たり役「君の名は」(1953) を観てから述べることとしましょうか。 -
市川崑監督、水木洋子脚本、幸田文原作、1960年作。岸惠子、川口浩、田中絹代、森雅之、岸田今日子、江波杏子出演。
<コメント>
•弟思いの姉が弟と死別するまでの様子を描く。山田洋次監督の「おとうと」(2010年作。吉永小百合、鶴瓶)はこの映画のリメイクだが、時代設定や登場人物は別物。
•病弱とはいえ、家事も子育てもせずに文句ばっかり言う後妻の母。たしかにげんの結婚を案じたり、足を引きずって碧郎を看取りに来るようすは描かれているが、総じて、なんのための後妻かという設定。山田「おとうと」の鶴瓶ほどの嫌悪感はなかったけど。
•小説家の父も無策で、それらのツケを1人でげんが払わされている。その意味でげんの優しさには必然性があった。
•山田「おとうと」が父母を登場させなかったために、姉の優しさに必然性がなく、鶴瓶への嫌悪と吉永の愚かなほどの人の良さが際立ち、観ていてしらけてしまったのとは対照的で、こちらのほうがストーリーには説得力がある。昭和初期、兄姉は弟や妹の世話をするのが当たり前だった。そういう背景以上に、げんの優しさには必然性があったのだろう。
<あらすじ(ネタバレ)>
小説家の父(森)には後妻の母(田中)、娘のげん(岸)、息子の碧郎(川口)がいた。後妻は子らに冷たく、げんが母代わりに碧郎の世話をしていた。碧郎は不良と付き合って遊び歩き、万引きをして警察に捕まり、ボートやビリヤードをしては借金を作ったが、げんはそれを諌めつつしっかり面倒を見る反面、母は冷たく突き放すだけで何もしない。
碧郎は体調を崩し、医者に診てもらうと余命いくばくの肺病を患っており入院。げんは看病に明け暮れるも病は末期、碧郎は深夜0時に看護師たちとお茶会をしたいというので、げんを起こすために腕をリボンで結ぶ。引かれたげんが様子を見ると碧郎が苦しんでおり、父母が駆けつけるも他界。病弱な母が何かしようとするとげんは、休んでいるよう促す場面で幕。 -
原作が判らないので何とも言えないが、結末があのような展開なら弟の体たらく振りはもう少し短くても良かったのではないかと思う。
刑事と称する人間と、オカマの工員の役割が全く判らなかった。
※オカマは川口浩の童貞喪失を手助けする役でもあったが、その経緯の説明すらされていない。 -
2016/4/23
川口浩 -
山田洋次版「おとうと」でオマージュしたというピンクのリボンを腕に結ぶ姉と弟のシーンをしかと見た
キャスティングが最高だった
どの役もハマっていてとても良かった
とくに主人公の姉を演じていた岸惠子さんが若くてかわいかった~
弟とつかみあいのケンカをするくらい勝気なおねーちゃんの役がとても良かった
勝手に良妻賢母とイメージしていた田中絹代さんがグチグチとイヤミばかり言う継母という役は意外だった
そして本当に嫌な継母っぷりがお見事だった
それがあって、後半になり、本当は家族のことを思いやっている良い人であるとわかるという展開には、とても心にぐっときた
ホント家族ってメンドくさい
だけど、根っこのところではちゃんと絆があるんだよ
というテーマは幸田文作品ならではだと思う -
脚本:水木洋子
撮影:宮川一夫 銀残し(彩度の低い映像)
出演:岸惠子、川口浩、田中絹代、森雅之
ある日、市川さんが「惠子ちゃん、この姉さんは、頭もよくない、センスもない、おとうと一筋の野暮ったくて一生懸命な一途な女の子なんだよ」と言ったのね。
「どうすればいいんですか」と訊いたら、「口をいつもポカーンと空いていてご覧」。
その一言で〈げん〉という人が見えてきて、じわじわと〈げん〉が、私の中に入って来ました。
―女優 岸惠子 キネマ旬報社 p.58 -
脚本と演技が素晴らしい。
画面がしめっとしていて土っぽくて、すきま風が吹いてそうなところが好き。 -
古い映画を観るのにハマっておりますけれども、これもまた良い映画でしたね…少々、内容が地味ですので前半は眠たくもなったんですけれども、後半は怒涛の展開!!
↑とは言えないまでもまあ、なんというか、その、悲しい場面ではあるのですけれども…何とも言えない感慨を僕の胸に残してくれたのでした…。
ヽ(・ω・)/ズコー
主演の岸恵子さんが綺麗です!! 姉さん役というのがハマり役でしたね…
弟さんが呼ぶ「姉さん」という呼び名が良いです…時代を感じさせ、風情をも感じさせてくれました…いつしかまた見直してみたい映画でしたね…おしまい。
ヽ(・ω・)/ズコー