アデルの恋の物語 [DVD]

監督 : フランソワ・トリュフォー 
出演 : イザベル・アジャーニ  ブルース・ロビンソン 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.63
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本棚登録 : 137
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142633224

感想・レビュー・書評

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  • 後半が好き。特に、バルバドス島だっけ?、の桃色の花が咲いている中、白い皮膚と黒い皮膚が映し出されるところ。ここでは、黒人と白人という違いが単なる色彩の違いに還元されていて、爽快だった。俳優の皮膚の色を、まるで絵の具のように使っている。

  • ピンソン中尉がほかの女とふける逢瀬を、主人公がストーキングするシーン。屋外の窓から室内の様子をのぞき、横に移動していく。母屋横の廃屋の階段や、2階の柱越しに、漏れた照明がアデルの顔にあたる。左へ、右へ。室内の男女が移動するたびに、主人公も移動。最後にベッドインすると、のぞく主人公の表情の半分だけに照明があたる。怖い。そして次のプロットで独白する。「愛は私の宗教」。独善的な恋愛感情と妄信。怖すぎる。恋する女を描き続けてきたトリュフォー作品だからなおさら。


    【ストーリー】
     1963年、フランスではナポレオン三世が勢力を持ち始め、ここ新大陸では北米に内乱(南北戦争)が勃発した頃、英国は植民地カナダに派兵し、海外からの入国チェックをしていた。港町アリファックスに一人のうら若き乙女が上陸した。名をアデル(イザベル・アジャーニ)といい、下宿先サンダース家に身を寄せた。
     アデルは翌日、公証人を訪ね、英国騎兵中尉アルバート・ピンンン(ブルース・ロビンソン)の捜索・調査を依頼した。彼こそアデルが思ってやまぬ初恋の男であり、英領ガーンジー島の両親のもとを出奔し、たった一人異国の地を踏んだのも、ひたすら中尉に逢いたいが一心からだった。
     数日後、サンダース家の主人が英国軍の歓迎パーティへ出席することを知らされたアデルは、ピンソンへの手紙を託したが、しかしそれはすげなく無視された。アデルはガーンジー島の両親のもとへとせっせと手紙を書き送った。
     父は「ノートルダム・ド・パリ」「レ・ミゼラブル」を著わした大文豪ビクトル・ユーゴーで、手紙の内容はピンンンへの綿々たる追慕の念、そして生活費の無心だった。
     数日後、よもやと思われるピンソンが下宿を訪ねてきた。高鳴る胸の動悸を懸命に押え、精一杯の身づくろいをしてアデルは彼の前に姿を現わし、執拗に二人の愛の確認を迫るのだった。しかし、心はすでに彼女にないピンソンの態度は、ツレなかった。泣き叫び必死に彼の心をつなぎとめようとする哀れな女の心情がかえって男の気持ちを遊離させた。
     精神的疲労がたび重なったアデルはウィスラー氏(ジョゼフ・ブラッチリー)が経営する本屋の前で倒れた。サンダース夫人(シルヴィア・マリオット)の看病を受けながら病床から両親へ宛てて手紙を書く毎日が続いた。「このたび、ピンソン中尉と婚約しました……」。折り返し、愛娘の一途な気持を慈しむ父ユーゴーから結婚承諾書が届いた。しかし、新聞に報道されたことにより、ピンソンは上官の叱責を受け、何もかもアデルの仕組んだウソとバレたのは間もなくだった。
     ますます、常軌を逸した行動に走るアデル。催眠術師を使って彼の心を戻そうと画策したり、ピンソンの某令嬢との結婚にも横槍を入れた。そんなとき、アデルの母がブラッセルで死亡し、同時にピンソンの隊にカリブ海バルバドス島への派遣命令が下された。
     あくまでも男の後を追うアデル。ボロ布のような姿で島の通りをふらつく彼女には、まさに鬼気迫るものがあった。一方、アデルという女の執念深さに驚く新婚間もないピンンン。しかし、熱帯の土地で熱病に襲われたアデルが、再びピンソンと逢いまみえたとき、彼女は既に意識がなかった。
     数日後、アデルはユーゴーを知る土地の夫人に伴われフランスに帰ってきた。ヨーロッパではさまざまな変化があった。ナポレオン三世の失脚により、ユーゴーの帰国が可能になり、彼は十八年間の亡命の後、パリに帰りついたのだ。父と娘は再会し、彼女をサン=マンデの精神病院に入れた。
     その後、アデルはその病院で40年間を過ごし符号化した日記を書き続けた。父ユーゴーは1885年5月22日、“黒い光が見える”といいながら死んだ。フランス中が深い悲しみに沈み、遺体は凱旋門の下に一晩中安置され、翌日は200万のパリ市民がエトワール広場からパンティオンまで柩のあとに続いた。その娘アデルはヨーロッパが二つに分かれて戦った第二次大戦のさなかの1915年4月25日、ひっそりと死んでいった。
     フランス近世の文豪ビクトル・ユーゴーの次女アデルの激しい恋を描く恋愛映画。製作・監督は「アメリカの夜」のフランソワ・トリュフォー、脚本はトリュフォーとジャン・グリュオー、シュザンヌ・シフマンの共同、原作はフランセス・V・ギールの「アデル・ユーゴーの日記」(Journal of Adele Hugo)、撮影はネストール・アルメンドロス、音楽はモーリス・ジョーベール、編集はヤン・デデが各々担当。出演はイザベル・アジャーニ、ブルース・ロビンソン、シルヴィア・マリオット、ジョゼフ・ブラッチリーなど。

  • 実話。
    古い映画ですが、薄っぺらいですね。
    今の時代にこんな映画は残らないです。

    あー面白くなかった。

    ヒロインもさして綺麗でもなく、救いようのない作品。

  • 激しい情熱に取り憑かれ、恋に落ちた中尉を追い続ける女、アデル・ユゴーの真実の物語を綴る。

  • もはや愛とは言えない一人の男への依存。そして自己の喪失。ヴィクトル・ユーゴーの次女の実際の話

  • この映画を観て、イザベル・アジャーニはただの美人というだけではなかった。彼女は美しいだけでなく、女優なのだ!と開眼しました。
    段々と鬼気迫っていく姿は美しくもあり、悲しくもあり、どこか恐ろしげでもあり。

  • 一言。本当に面白かった。


    かつて愛し愛された英国騎兵中尉アルバート・ピンンンを追って
    英国領カナダの港町アリファックスまで行った
    文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女、アデル。
    なんとこのお話、実話みたいだそうです。


    この物語が面白いのは、
    やはり、「心変わり」だとか「失恋」といったキーワードに
    身に染みて考えさせられるものがあるからでしょうか。

    愛された記憶はそう簡単に消えなくて、
    自分を認めてもらえたような自己承認、肯定感を与えてくれる。
    そんな男に対し、愛以上に執着してしまったんでしょう。
    その気持ちは分からなくもないです。

    アルバートの心変わり、浮気現場を眺めているときの
    アデルの狂気を帯びた顔。
    イザベル・アジャーニー演じるアデルの鬼気迫る演技は、
    観るものを圧巻させます。

    「愛してもいない人と結婚しろというの!?」と
    アルバートに迫るアデルの空しさ。
    観ているこちらの胸が痛くなります。
    女性ならみな同感ですよね。
    愛し愛された男性と結婚したい、ただそれだけなのにね。


    アデルに足りなかったものは、自己承認する術を
    アルバート以外に見出していなかったことじゃないかな。
    彼への恋心以上に、彼を手に入れることで満たされる
    自己肯定感を得たかったのではないでしょうか。
    それはひとえに、彼女のそれまでの恋愛経験・失恋経験の
    不足から起こるものでもあると思います。



    人生に失恋はつきものだし、恋を失うことを経験しないから
    精神異常とまで見られる執着心を出してしまうのでしょう。

    恋は素晴らしいものですが、
    失った恋に執着する女性はみな不幸な末路をたどりますよね。



    そうした意味で、女性の社会化を促す政策って必要なのかな。
    自立できる環境って大切。

  • まず、イザベル・アジャーニが美しすぎ。ていうか、観終わるまで彼女だと気づきませんでした。内面に狂気をはらんでいるはずのに、高貴ささえ漂う。衣裳もさりげなく、ゴージャスすぎず、すばらしい。
    恋というより執着です。それも、彼自身ではなくて、「大陸まで彼を追いかけていき、自立するのだ」という自分の夢への執着と、父の名前への反発。それが徐々にわかってきます。
    しかし、生活は父からの仕送りに頼らざるを得ないという矛盾。
    彼をつなぎとめるのにも、父の名前と父のお金を出すしかない。アデルを追いつめたのは、失恋そのものより、このみじめさだと思う。しかも、プライドが高くて、あきらめられない。
    そんなふうにせまられたら男はひくって。と、単純に誰かと言い合えるような女性だったら違ったんだろう。

    彼女の負けの理由は、自立を自分の才能=仕事に求めなかったことだと思う。男に幸せにしてもらうのじゃなく、自分で幸せになるって方向へ行けばよかったのに。
    これは時代なのかな。もう少したてば、才能ある女性が自分で運命を切り開く時代に移ると思うんだけど。

    最後のほうだけ、ドキュメンタリーっぽいというか、ユゴーがどうのって話になってました。

  • この世に愛という名のエゴイズムが何度あったことだろう。

    愛に捉われたアデルが変化していくさまが恐ろしい。
    狂気すら感じさせるしこれはもうホラー映画です。
    みじめで無様でみすぼらしく、拒絶と孤独が彼女から溢れている。

    愛を求め、落ちぶれていく彼女の姿は見ていて本当に痛ましい。。

    彼女が新しい世界と夢見ていた、海の向こうの大陸は、彼女に何を見せたのだろう。

    「別れの美学」つながり。

  • イザベル・アジャーニ 本当に美しい。

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著者プロフィール

フランソワ・トリュフォー(François Truffaut)
1932年、パリに生まれる。1984年、ガンのため死去。映画評論家を経て映画監督に。映画作品に『大人は判ってくれない』『突然炎のごとく』『恋のエチュード』『終電車』『隣の女』『日曜日が待ち遠しい!』など。著作に『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』『子供たちの時間』『ある映画の物語』など。

「2020年 『文庫 ある映画の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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