パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

監督 : ギレルモ・デル・トロ 
出演 : イバナ・バケロ  セルジ・ロペス  マリベル・ベルドゥ  ダグ・ジョーンズ 
  • CKエンタテインメント
3.71
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  • (331)
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  • (22)
本棚登録 : 1940
感想 : 393
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4532612001244

感想・レビュー・書評

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  • (他のブログで2017.02.02 に書いていたのを転記)
    スペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)。冷酷で残忍な義父から逃れたいと願う少女オフェリアは、昆虫に姿を変えた妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。すると迷宮の守護神パンが現われ、オフェリアこそが魔法の王国のプリンセスに違いないと告げる。彼女は王国に帰るための3つの試練を受けることになり……。

    前作がぶっ飛んでいたので、今回はバランスを取ってダーク・ファンタジーとなったのか。タイトルの『パンズ・ラビリンス』とは牧神(パン)のラビリンス(迷宮)という意味あいだ。

    スペイン内戦の深刻さと幻想の国のファンタジー性の両者を同時に描いてあり、戦時下とおとぎ話の組み合わせってあまりに隔たっているのではとの思いも確かにあった。でも、苦しい時ほど、厳しい現実から逃避したい気持ちは強くなる。童話が大好きで夢見ることが大好きな少女オフェリアが、パンに導かれるようにプリンセスとして魔法の王国に惹かれていき想像の世界を創り上げたとすれば納得がいく。そして、彼女は3つの試練をパスして地下王国にプリンセスとして迎えられる。ある意味、このラストは死を意味するのだがオフェリアの亡骸には笑みが浮かんでいる。これはある種のハッピーエンドなのか?いたいけな子供が戦争の犠牲になった現実には手放しで喜べない。オフェリアは戦争や理不尽な父から逃れ解放されたから微笑んだだけなのでは?どちらともいえない結末に割り切れなさが残った。

    アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞の三部門を受賞しているのは文句なし!冒頭で現れる一匹の虫(たぶんナナフシ)、それが手足と羽がある「妖精」の姿に変化していくのだが、今まで描かれてきた夢溢れる妖精ではなくどこかグロテスク。病気にふせる母のベッドの下に置いたマンドレイクの根なども人形をしていて不気味。

    たぶんグロテスクな妖精や牧神(パン)にしたのは、戦時下にあって、オフェリアは子供らしいファンタジーの世界を創り上げられなかったからだろう。痛ましい。

    同監督は大好きな『ホビット』でも凄まじい悪魔的なゴブリンを描いている。



       平凡な奇跡を毎日繰り返しハッピーエンドのその先へゆく

                      (天野慶 「つぎの物語がはじまるまで」)

  • 本当に好きです!映像もストーリーも綺麗でしたし、魔法の見せ方が素晴らしかったです。一見すると、現実が辛いが故に、妄想の世界へ逃避する可哀相な少女のお話しですが、本当に魔法の世界をだと思わせる点が一点だけあります。その一点があるが故に、現実のお話か妄想のお話なのかの区別がつかないというのが、本当に素晴らしいと思います。
    (ネタバレになるので、どの場面かは内緒)

  • 1944年のスペイン内戦下、、、母親の再婚相手である独裁政権軍の大尉があまりにも恐ろしくておとぎ話の世界に逃避してしまう少女オフェリアのお話。

    オフェリアのファンタジーなストーリーとリアルな軍とゲリラの戦いのストーリーとが微妙に絡まって作られています。

    最後は切ない終わり方でしたね、、、、オフェリア可哀そう。

  • こんな場所にいたくはないから、どこか遠くに連れてって―内向的な少女の願望は普遍的だ、それが現代の日本であろうと内戦後のスペインであろうと。ハムレットの恋人である名を冠す少女、オフェリアの運命はその名が既に示していたのだろうか。耐えられない現実から逃れるための想像力は切実めいていて、悲しみと暗さが同居しているはずなのに不思議と目が離せない。虫や昆虫のリアルな描写にゾワゾワとくるのを感じつつも、決してダーク・ファンタジーという一面だけれは語り切れない現実の描写が胸に刺さる映画だった。

  • 内戦のスペインの陰鬱な空気感とオフェリアの薄幸さが相まって雰囲気がまず100点満点。はじまりの扉を押したのは、ほんの小さな好奇心。妖精に誘われて、夜の世界に足を踏み出す。

    ドロドロになったドレスの焦燥感、ヌメヌメの穴蔵の嫌悪感、キラキラのご馳走に潜む背徳感、映像が綺麗につくられてるからこそのゾクゾク感がある。

    いちばん有名なクリーチャーはやっぱりとっても怖かった。顔にあるべきものがない、ってだけでこれほどまでに恐怖って増長するんだ、と。

    ラストは誰かなんと言おうとハッピーエンドです。人生は主観なんだから、オフェリアが幸せになったなら、オフェリアの物語はハッピーエンド。

  • 時は恐怖政治による
    スペイン暗黒の時代。

    優しかった父を亡くした少女は
    母の再婚相手の
    ヒダル大尉のもとへ。

    悪魔のような独裁者ヒダルのもとでは
    残虐で悲惨な毎日が待っていた。


    そんなある日、
    森の中で見つけた秘密の入り口。

    実は少女は
    地下の王国の王女で、
    もう一度王女として戻るためには
    3つの試練をクリアしなければならなかった…。



    無垢な魂だけが
    たどり着くことができる
    残酷なまでに美しい世界。

    かくして
    パンズ・ラビリンスでの
    少女の未来を賭けた冒険がはじまる…。


    2006年公開の
    スペイン、メキシコ、
    アメリカ合作映画。


    鬼才ギレルモ・デル・トロ監督による
    美しくも
    グロテスクな
    大人のダークファンタジーです。



    いやぁ〜もう、
    クリーチャーたちの造形と
    幻想的な映像美と
    ダークな世界観に
    圧倒されました!


    とにかく
    子供が観るファンタジーではなく、
    インパクト強すぎ!
    (一応R-12やったかな)


    容赦ない残酷描写(グロい)の数々にビビりつつも、
    ラストには
    涙が止まりませんでした…。


    見事なまでの
    現実とファンタジーの融合で、
    不気味で美しい映像は
    アカデミー賞を受賞したのも頷ける
    さすがの出来!


    今まで映画が好きで良かったと思わせる
    完成度の高さでした。




    生きる道を閉ざされた少女が見つけた
    もう一つの世界。


    やりきれないリアルな現実の中で、
    藁をもすがる思いで
    微かな希望への道をひた走る
    健気な少女の姿に、
    なんとも胸が締め付けられます…。


    いろんな捉え方のできる
    ラストは強烈!



    好き嫌いはあるだろうけど
    とにかく吸引力のある、
    個人的には
    近年稀にみる
    素晴らしい作品でした。

  • ダークファンタジーと呼ばれているが本質はオカルト映画。グノーシス主義がその底流にある。この世は地獄で(神も偽物で)、本当の世界は向こう側にある―。それをスペイン内戦の悲惨な世界(この世)、希望溢れる地下世界(あの世)という対比で描いている。その扉を開ける試練を少女は担うが、結局、最後の鍵となったのは彼女自身の死だった…。向こう側の世界への扉は8(=SEX・死)しかない。映画「ナインスゲート」でもそうだったが、だからこそ、西洋人はSEXと死を儀式に使う。キリスト教の裏にはグノーシス主義があり、それをちゃんと分かっているから、彼らはこの映画を最大限に評価した。西洋とはオカルト文化であり、それが色濃く残っているのがスペインなのだ(2つともスペイン映画)。

  • 何度も何度も見てしまう映画。
    見るたびにハッピーエンドか、バッドエンドか解釈が変わる。
    見るたびに、地下の王国が存在する証拠を画面に探してしまう。確信が持てないまま、非情に時間は過ぎていく。

  • 優しくないファンタジー、かな。バッドエンドに見えるけど正規ルートという。
    個人的にはメルセデスが無事でよかった。彼女はかっこよかった…。
    息子くんがどう育つのかなあ。お腹にいた頃聞かせてた通り、王国に招かれるのかな。

  • これは子供が見たらトラウマになるな(・・;) 
    グロいのはファンタジーの世界ではなくて
    現実の世界。
    最後はハッピーエンドだと信じたい(願望)

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著者プロフィール

映画監督・脚本家・小説家。
1964年10月9日生まれ。メキシコ出身。
劇場長編監督デビュー『クロノス』(92)が各国の賞で高く評価され、97年の『ミミック』でハリウッド・デビューを果たした。『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)を経て、念願だったマイク・ミニョーラの人気アメコミの映画化『ヘルボーイ』(04)を実現。映画はヒットを記録し、続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)はスタジオをユニバーサルに移して製作。その間にスペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)は、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたほか、カンヌ国際映画祭など各国で高い評価を受けて気鋭の監督として国際的に広く認知されるように。07年にはペドロ・アルモドバルらとメキシコで製作会社「チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)」を設立。『ロード・オブ・ザ・リング』の前日談にあたる大作『ホビット』シリーズでは脚本を手掛けた。10年『パシフィック・リム』で、久々に監督に復帰。14年にはチャック・ホーガンとの共著で発表した初の小説「ストレイン」シリーズ(09年)のテレビドラマ化が実現。本作に続き、今後は『Pinocchio』『ヘルボーイ3』『パシフィック・リム2』などの話題作が予定されている。

「2016年 『ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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