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- / ISBN・EAN: 4988105058613
感想・レビュー・書評
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1982年、松竹映画。監督はお馴染み山田洋次。そして主演は渥美清。
シリーズ第29作で、今回は夏バージョンです。
今回のマドンナはいしだあゆみで、その他の共演としては片岡仁左衛門、柄本明、津嘉山正種などがいます。
そして、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、下條正巳、三崎千恵子といった「とらや」の面々に加え、いつもの太宰久雄、佐藤蛾次郎、笠智衆などのレギュラーメンバー、それにポンシュウこと関敬六も賑々しく登場しています。
今回は終盤で満男がおじさんである寅さんに付き合う羽目になるのですが、おじさん(渥美清)と満男(吉岡秀隆)の関係もなかなか面白かったですね。
いま、吉岡秀隆は尊敬する人物は渥美清だと言っているので、感慨もひとしおでした!
今回の作品では人間国宝の陶芸家を演じた片岡仁左衛門と、その女中のいしだあゆみが物語の主軸となっていました。
寅さんがひょんなことからかかわった片岡仁左衛門はまさに人間国宝というイメージがぴったりの芸術家肌の京都人を熱演していましたね。
なぜかこのような年季の入った芸術家は寅さんをすぐに気に入ってしまうのですが(笑)、自然体で表裏がない寅さんならではといつも微笑ましく思っています。
今回もニタニタしっ放しの触れ合いぶりで良かったですね!(笑)
そして、それにクロスするいしだあゆみと寅さんとの恋愛模様。
いしだあゆみは薄幸で失恋したばかりの女性を演じていましたが、失恋し寅さんに優しくされて寅さんへ大胆接近しようとする「女」の秘めた情熱を静かに静かに演じているのが印象的でした。
寅さんも恋の病で寝込んでいたにもかかわらず、いつもの通り最後は逃げてしまうのですが、いしだあゆみが失恋の痛手の反動として寅さんに対して積極的になっていて、しかし、結局は寅さんは彼女を幸せにすることはできないと分かっていたんですね。
最後のすれ違いのデートで、暗黙のうちに二人が理解し二人が離れていく様子に、哀しいまでの男女の機微の差が演出されていたと思います。
そしてそれにかかわる吉岡秀隆が絶妙な狂言回し役だったのが秀逸でした。
それから今回のドジ担当の柄本明の存在も忘れてはいけないですね。(笑)今回の寅さんがどちらかと言えば引き立て役ぽかったこともあり、それを補完するドジ役としての迷コンビで楽しかったです!
「男はつらいよ」のシリーズも今回で第29作目となって、そろそろ寅さんの生え際も気になる状況になってきましたが(笑)、寅さんはまだまだ元気いっぱいということで安心して観ていられる作品だったと思います。
つい先ごろ、山田洋次監督が倍賞千恵子とともにシリーズ第50作目の撮影開始の会見をしていました。
楽しみである反面、おそらく老齢となった倍賞千恵子のさくらが登場するかと思えば寂しい気持ちも一方であります。
最も「男はつらいよ」を愛し熟練の山田洋次監督が、「寅さん」のイメージを崩すことなく、「とらや」の「今」をどのように演出するのかドキドキしながら見守りたいと思います。 -
"男はつらいよ"第29作。京都で出会った老人、実は陶芸界の巨匠だった。失恋のショックで実家に帰ってしまった、彼の下で働く女性を丹後まで追った寅さん、今度の恋の病は一体どうなるのか?
本作のマドンナはいしだあゆみ、劇中でも寡婦の設定ということで、物語のトーンはどうにも薄幸な感じ。しっとりとでもぐいぐい来るマドンナに、いつもの悪い癖がでる寅さん。満男も連れてのデートの結果は散々なものに。。。
ぎこちない寅さんに失望するマドンナ。気持ちはわかるけど、急いて求めすぎかな。寅さんももうちょっと成長してほしいけどさ。。。初め文句を言っていた満男が寅さんの涙に彼の寂しさを知るあたりは、早くも寅二世の片りんを見せたというところか。 -
夢の共演!
大御所片岡仁左衛門の事を言っているのではない。いしだあゆみと吉岡秀隆のことだ。TVシリーズは81年からのこととなっているのでこの撮影よりは前に母息子の関係を演じていたはず。オープニングで名前をみてから同じフレームに入ってくる機会はあるのだろうかとやきもきしていたら意外な形で実現、そしてそこから先は台詞の裏を取ってしまう自分が邪魔をした(苦笑) それにしてもこのころのいしだあゆみの物憂げな表情とあふれんばかりの笑顔とのコントラストは絶品、何度みても飽きない。今までの印象は背景にラベンダー、本作鑑賞後は紫陽花が加わる。
脇役陣においては戸川京子に再会できたこと、津嘉山正種の初ゼリフを堪能できたこと、TV版おばちゃん杉山とく子と寅さんのからみをまたもや楽しめたことが収穫。そしてシメは地元ロケ。とあるマニア様サイトのお陰であと1回登場することを確認済み。逃さず楽しみたい。 -
失恋して帰ってきて以来とらやの二階で寝込む寅次郎はご飯を届けに来た満男に向かってこう言う。「満男、お前もいずれ恋をするんだろうな。かわいそうに」。満男は「僕恋なんかしないやい」と嘯く。後日、いしだあゆみとの鎌倉デートに同行した満男は、好きな人の前で振る舞いがぎくしゃくしてしまう寅次郎が帰りの電車で涙を流すのを目撃する。今はその涙の意味を理解できないこの小さな目撃者が大きくなって同じような涙に袖を濡らす夜が来ることを思うと感慨深い気持ちになる。
焼き物関連。ラストの山下清的なオチはまずまず。 -
29作目。マドンナはいしだあゆみ。
ストーリーを要約すると、旅先で別れた女が訪ねてきて鎌倉デートをする。それだけなのです。ストーリーの起伏のなさにはちょっと拍子抜けをします。
確かにいしだあゆみの芝居は素晴らしい。最初に登場したシーンの仏頂面で暗い表情から、2人きりになったときの色気のある表情への変化。さすがに女優という感じ。寅さんが寝ている部屋に忍びこんだり、こっそり手紙を渡してデートに誘ったりと、想像の上をいく情熱的な行動にはびっくりします。しかし、映画的にはもうひと盛り上がり欲しかったか(結果がいつも通りだとしても)。
ひとつ面白かったのは、吉岡秀隆演じる光男が初めてストーリーの鍵を握る大きな役割を演じたことかな。デートに無理やりつき合わされ、寅さんの悲しい生き方を間近で見た光男は何を思ったか。 -
あらゆる意味でもどかしい作品。京都が舞台なのに、ミヤコ
蝶々のところに顔を出さない。人間国宝の陶芸家の先生への態度が白々しいほどに失礼。
宮津に戻ったいしだあゆみの家を訪ねて、彼女に夜這いをかけられるも全く手を出さない。いしだあゆみがわざわざ家を来て鎌倉でデートするもみつおを道連れにする。彼のくそ頑固な行動原理が不快すぎる。典型的な作品。だけど次を見てしまうのだ。とにかく今回、ミヤコ蝶々が出なかったことと、みつおがはじめてしっかりとした芝居を見せたこと
が印象に残った。吉岡秀隆の成長ぶり目を見張った。にしても寅さんはみつおが成長しただけにその精神の幼稚さが印象に残った。 -
いしだあゆみ。積極的過ぎましたね、あれは抱けないわ。寅もまいってたとおもう。本当に好きなのかな。先生との絡みは120点。
2016.5.1鑑賞 -
河合寛次郎の自宅で撮影。
丹後では、いしだあゆみの色っぽさ全開。オープニングがいつもと違うので何だろうと思ったその答え。
鎌倉のあじさい寺でのデート、満男付き。「北の国から」とセットになっているが、娘は蛍ではない。
ラストは滋賀県彦根市の玄宮園。 -
芸術の周辺で。
人は時に落ち込み、そして何かによって立ち上がる。 -
2014年5月11日(日)、鑑賞。
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今回の寅さんは、少し精細を欠いているかんじ・・・。
マドンナの“いしだあゆみ”はイイ雰囲気を醸し出しているが、寅さんに
いつもの元気さが無かったような・・・。
(女性に対して)いつも以上にじれったい寅さんです。
レビューありがとうございます!お待ち申し上げておりました!
最後の6行分が今はとても大事ですものね。...
レビューありがとうございます!お待ち申し上げておりました!
最後の6行分が今はとても大事ですものね。
楽しみなような怖いような、でも見ないではいられません。
久々に映画館に足を運ぶことになりそうです。
さて、この映画では、かがりさんが寅さんに下駄を買ってもらった時に見せる一瞬の表情がとても好きです。
胸のうちを上手く表現できない女性というものを、よく表わしてました。
レビューにもある通り、片岡仁左衛門さんが本物の人間国宝に見えましたよね・笑
あじさいの道を3人で歩くときは、もどかしかったです。それぞれの思いが分かるだけにね。
よく考えたら吉岡君は、同時期に「北の国から」も収録していたのですよねぇ。恵まれた俳優さんです。
余談ですが、京都丹後半島の舟宿の景色がとても好きなワタクシです。
いつかあそこに居を構えたいと思いながらいまだに叶えられません。。
コメントいただき、ありがとうございます!(^o^)/
『男はつらいよ』の第50作目はおそらくシリー...
コメントいただき、ありがとうございます!(^o^)/
『男はつらいよ』の第50作目はおそらくシリーズ最後の作品となるかと思いますが、実際のところ寂しいような、とても観たいような、寅さんのいない最終回なんて、などなど複雑な思いが去来している次第ですが、シリーズ最後の作品として立派に掉尾を飾って欲しいと願っています。(^o^)
nejidonさんの言われる通り、かがりさんが寅さんにプレゼントされた下駄に喜びを見せる一瞬の表情はとても印象的でした。
今後につながっていく、かがりさんの的確な性格描写だったと思います。
あのシーンから今回の恋愛模様が始まったとも言える重要なシーンでもあり、山田洋次監督は本当に心憎いばかりの脚本・演出をしてくれましたね。(^o^)
また、あじさいの道を歩く三人は、三者三様の思いが伝わってきて、これもなかなかの名シーンでしたよね!(当然、満男の場合はつまらないから早く帰りたい!ですが・・・。(笑))
あそこで、寅さん、満男、かがりさんという組み合わせにしたのはとても秀逸で、事態を複雑にするとともに事態を収める効果もあって、男女の機微をほんのわずかの会話と描写で済ませる素晴らしい設定であったと思います。
とりわけ満男の使い方には舌を巻いてしまいますね。
こんな名監督のそばで吉岡秀隆は鍛えられたんですね~。素晴らしい俳優さんになりました!
京都丹後半島の舟宿の景色も確かに素晴らしかったです。のどかで良いところでしたよね!反面、まあ不便そうなので、私は一泊で充分ですが・・・。(笑)
今でもあの風景が残っているといいですね!(^o^)