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- / ISBN・EAN: 4934569636034
感想・レビュー・書評
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せつない。ペ・ドゥナのヌードが美しすぎる。
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「21st Century Japan: Films From 2001-2020」と題されたJapan Societyでの映画祭、今回もオンライン開催であるため上映順は自分で選ぶ必要があり、トップバッターとして本作を選択することに。
毎度のことではあるが…。できればキャストに目を通さずに鑑賞開始したい派であるため主演女優さんのことはなんにも知らずに入っていったのだが、それがまさかのクランクイン時には通訳つきでやってきた韓国出身のペ・ドゥナという実力派女優さんだったとは鑑賞終了後にも想像及んでおらず…。いやはや、やられました…。
彼女の実力については最近継続している「是枝作品、観たら読む。」活動で手を伸ばすことにしている監督の著作「映画を撮りながら考えたこと」の中でも述べられており、彼女の凄まじいまでのプロフェッショナリズムを感じさせられたスタッフ陣の高揚ぶりが、併せて採用された国際スタッフとしてのリー・ピンビン撮影監督の実力と並べて熱く称賛されていた。なにせたった2回しかなかった彼女のNGの、そのうち1回は「人形役として泣いてはならない制約の中、自然と涙がこぼれてしまった」ということだったというのだから…。
本オンライン映画祭プラットフォームの仕組みである「最初に再生ボタンを押してから48時間後に期限切れ」というしくみを活用しての【おさらい上映会】の流れも板につき始め、一回目の鑑賞では感じ取れたり聞き取れていなかった部分を拾いつつ再鑑賞できることに改めてありがたみを感じている次第。奇しくもちょうど十年が経ってから公開された「ロマンスドール」(2019) を鑑賞したばかりで、それをもって実感した10年を隔てての業界の進化ぶりが「型遅れの安モンです……」という台詞の響き具合に大きく貢献。他に拾えて嬉しかったのは…
彼女の息づかい、
メーキャップの変化と併せ徐々に現れる彼女の柔らかな表情、
流暢な関西弁、
吉野弘による詩とその朗読、
そして上述のNG撮り直しの場面…
と、枚挙にいとまがない。
「からっぽの人間…」というような台詞が出てきたのはなんだっけと思いを巡らさせるとそれに近いものが「八日目の蝉」(2011) にあったことに気づいた。これまた本映画祭に含まれているラインナップ。本作を横に並べる形で鑑賞してみたい。
ペ・ドゥナが出ているポン・ジュノ監督作品も観なきゃだな…。 -
なんとも綺麗で切ない映画だと思う。板尾が、オダギリジョーが素晴らしい(笑)ありえない設定ではあるが、なんとも味わい深い作品でまた見たくなる魅力がある。「私は性欲処理の代用品」という独白の即物性、犯されオナホールを自分で取り出し洗うシーンの数奇性、空気を抜いては息を吹き込むことに欲情?する男との交接シーンの特異性、、なんともマニアックなシーンのオンパレードなんだが、不思議と自然でピュアな清らかさがある。ラストのゴミ捨て場に横たわる空気人形はなんとも悲しくしかし美しい。
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2009
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2020/02/23
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空気人形「のぞみ」が心を持って動いてもあんまりみんな驚かない世界。是枝監督作品だからドキュメンタリータッチかと思いきや、ファンタジー色強め。
・作り物らしいつるりんボブから自我を持つに従ってパーマっぽい髪型に。最後はブレードランナーのプリシラみたい。
・やたら花や惑星の装飾が多い板尾創路の部屋はたくさんの欲望があるのに満たされず代替品でごまかしていることの象徴?惑星のバルーンや造花は空気人形と同じ。天体望遠鏡まであるけど本当はその道に進みたかった?
・対照的にレンタルビデオ屋の先輩(井浦新)の部屋はさっぱりすっきり何もない。欲望すらない空虚さを暗示?のぞみの空気を出し入れする=命を弄ぶことで生を感じている?虚無感には写真の元彼女が関係している?
・空気を抜く=相手を満たす≒性行為?
・空気入れを捨てて、有限の生を手に入れる「わたし、歳を取ってるの」
・自分を励ます録音を留守電に入れて再生する受付嬢のおばさん
・田舎の実家から送られるりんごは食べず、加工食品に溺れる過食症の女
・メイド服パンチラマニアの青年
・交番で粘る構ってちゃんおばあさん
・公園で詩を教えてくれた人工透析の老人
・過去の栄光?トロフィーの並ぶリビングで1人卵かけご飯を食べるレンタルビデオ屋店長
・「創造主」であるところのオダギリジョーの問いかけ(ファッション系の職人にいそうなオサレ青年が空気人形を作ってるわけないと違和感)
・シングルファーザーと娘。人形(普通の人形の方)を捨て、のぞみの指輪と交換することで思春期への入り口に立つ?
・赤ちゃん、少女、青年、女、中年、老年、命の有限さ
・最後のハッピーバースデーの歌は名前なし、誰もが「代わりはいくらでもいる」かつ「君にしかできない」。なぜそこにARATAはいないのか。
・キラキラ光るもの(おもちゃの指輪、ビー玉、ほか)あかいもの(バッグ、りんご)
・「のぞみ」の服は自分で買ったものもどこかフェティシ -
きれいで透明で、軽くてさみしい。