「21st Century Japan: Films From 2001-2020」と題されたJapan Societyでの映画祭、今回もオンライン開催であるため上映順は自分で選ぶ必要があり、トップバッターとして本作を選択することに。
毎度のことではあるが…。できればキャストに目を通さずに鑑賞開始したい派であるため主演女優さんのことはなんにも知らずに入っていったのだが、それがまさかのクランクイン時には通訳つきでやってきた韓国出身のペ・ドゥナという実力派女優さんだったとは鑑賞終了後にも想像及んでおらず…。いやはや、やられました…。
彼女の実力については最近継続している「是枝作品、観たら読む。」活動で手を伸ばすことにしている監督の著作「映画を撮りながら考えたこと」の中でも述べられており、彼女の凄まじいまでのプロフェッショナリズムを感じさせられたスタッフ陣の高揚ぶりが、併せて採用された国際スタッフとしてのリー・ピンビン撮影監督の実力と並べて熱く称賛されていた。なにせたった2回しかなかった彼女のNGの、そのうち1回は「人形役として泣いてはならない制約の中、自然と涙がこぼれてしまった」ということだったというのだから…。
本オンライン映画祭プラットフォームの仕組みである「最初に再生ボタンを押してから48時間後に期限切れ」というしくみを活用しての【おさらい上映会】の流れも板につき始め、一回目の鑑賞では感じ取れたり聞き取れていなかった部分を拾いつつ再鑑賞できることに改めてありがたみを感じている次第。奇しくもちょうど十年が経ってから公開された「ロマンスドール」(2019) を鑑賞したばかりで、それをもって実感した10年を隔てての業界の進化ぶりが「型遅れの安モンです……」という台詞の響き具合に大きく貢献。他に拾えて嬉しかったのは…
彼女の息づかい、
メーキャップの変化と併せ徐々に現れる彼女の柔らかな表情、
流暢な関西弁、
吉野弘による詩とその朗読、
そして上述のNG撮り直しの場面…
と、枚挙にいとまがない。
「からっぽの人間…」というような台詞が出てきたのはなんだっけと思いを巡らさせるとそれに近いものが「八日目の蝉」(2011) にあったことに気づいた。これまた本映画祭に含まれているラインナップ。本作を横に並べる形で鑑賞してみたい。
ペ・ドゥナが出ているポン・ジュノ監督作品も観なきゃだな…。
- 感想投稿日 : 2021年2月8日
- 読了日 : 2021年2月6日
- 本棚登録日 : 2021年2月7日
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