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感想・レビュー・書評
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【第百十二回文學界新人賞受賞作】『甘露』水原涼/
ほとんど斜め読みをしてしまった。
じっくりと読めるだけの時間のゆとりがなかったことも一つの理由だが、内容がつまらないというのも大きな理由だった。
つまらないと感じてしまったのは、きっと読む前にあらすじを知ってしまったからだろう。
筆者は現役大学生で、しかも芥川賞の候補になったということもあって、ある日テレビのニュースになっていた。
ぼんやりとそのニュースを眺めていた時には読もうなんて全く思っていなかったが、図書館で偶然手に取った雑誌に掲載されていて、パラパラと眺めた。
まず文体が古くさいと感じてしまって読むのを止めようと思った。でも、テレビで言っていたクライマックスのシーンまでは少なくとも読んでみようと思い、パラパラと、結局最後まで駆け足で読んでしまった。
筆者は出来上がった原稿を恋人に読ませたそうだが、その恋人にとってはあまりにも衝撃的な内容だったそうで、別れを切り出されたらしい。
親にも仕送りを停止されたそうだ。
こういう内容の文章は、特に身内の人間を不快にするのかもしれない。 -
芥川賞候補作「甘露」読了。確かに選評通りだし読後感もよくないが、まだ著者が若いので今後の作品に期待。
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上田などを舞台とした作品です。
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第112回文学界新人賞
『甘露』
『癌だましい』
掲載。
極々簡単に分類すると
『甘露』は家族の近親相姦を垣間見てしまう青年の話。
『癌だましい』は食事が生き甲斐だった中年女性が食道癌の苦しみを味わう話。
どっちもあまり物語らしい物語はない。
卑猥なエロティシズムと壮絶な食への欲望が描かれる。
特定の場面における描写だけに重きが置かれていて、なんだか文学を読んだという気にならない。
だからなんだと、正直思ってしまった。
『甘露』は特に普段使い慣れない漢字を並べられて、方言と相まってなんだか読みにくいばかりだった。
『癌だましい』は苦労して買い物する姿がリアルで、その後の食事は他人のエゴをただただ見せつけられているようで若干の嫌悪感すら抱く。
そういう思いをさせた時点で価値なのかもしれないけれど、そんなものは外に出てれば嫌でも目の当たりにする。
言葉の迫力を感じない訳ではないが、もう少しかみ砕ける話の流れが欲しかった。
子供(自分)が無理して高尚な文学を読んで、背伸びしすぎてしまったのかな。