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- / ISBN・EAN: 4988003807566
感想・レビュー・書評
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※ネタバレ含
一言感想を云うなれば、感想は相当女嫌いなんだなあ、と。まあ、パッケージのタイトル文字「ANTI CHRIST」 の"T"が、女を表す"♀"に為っていることからもある程度予測はできるんだけれども。あ、確か十字架にもこんな形があったっけか。
さて、賛否両論のこの作品。激しい性交の最中に子供が転落し、妻が次第に狂って?いく展開。宗教色が強いが、宗教の要素よりも妻の奇行に眼を奪われる。悲嘆よりも肉欲を優先してしまう己の矛盾が許せない妻。冒頭、G線上のアリアがモノクロ映像と共にスローで流れていくのは美しい。ただ、闇夜にパッとスパイダーマンのグリーンゴブリン役の俳優さん(夫)が出てきて吹きそうになった。何故か。
構成は幾つかの章に別れていて、次第に妻の奇行が激しくなり、共に宗教色も強くなっていく。どうやら、妻は女=悪魔的な思想を持っている。亡くなったわが子への慈悲よりも肉欲を優先する辺り。実際に、その手の論文を山小屋で書いていたそうな。終盤まではひたすら性交。後半から物語が動き出す。ヘアが修正されている(所謂、モザイク)ので、性交や女優の身体目当てに観ようと思っているご注意を。
後半の、自身の矛盾に耐えきれなくなった妻のサイコぶりが素晴らしい。夫の性器を殴打し、殆んど血液の精液を搾取したかと思いきや、夫の脚にドリルで穴を開けて砥石を固定。そして暫く鬼ごっこした後に、またしても夫を求める妻。これだけでも相当あれですが、一番問題と思われるシーン。妻自ら、女の感覚器である陰核を鋏で切り落とします。モザイク掛かってても解る行為ですよそれ。女、女の肉体を憎悪したのでしょうか、それとも己の肉欲に憎悪したのでしょうか。解釈は様々考えられますなあ。
取り敢えず、女優さんお疲れ様です。演技力の凄さが相俟って、ストーリーよりも奇行の方が印象に残る映画になっております。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
俳優って大変な職業だ、というのが、正直な最初の感想。
さて、作品。
強迫観念にも似た押しつけられた道徳心がキリスト教世界に当然であるかのように、元々人間に備わったものであるかのように蔓延していることに対する疑問。考えることを突きつけてくる映画らしい映画。 -
★★★★☆
見えない怪物に襲われる感覚
【内容】
ある夫婦が激しくセックスをしている最中、息子が転落死してしまう。妻はそれによるショックと自責の念から心を病んでしまい、セラピストである夫の提案で一緒に療養の為に森の山小屋へ移ることになる。
【感想】
2度と見たくない。
うつ病の人に見せてはいけない映画の2大大作、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル』と同じく、ラース・フォン・トリアーの監督作品。
今作は視覚的に凹む。弱い時は見ないほうが良いです。
「落ちる」と「登る」の表現がたくみだった。
「落ちる」は「死」をイメージし、「登る」は「生」をイメージしているように感じた。
子供の転落死・木から落ちるどんぐりはほとんど芽が出ない・巣から落ちる小鳥。。。「落ちる」という表現が多く用いられ、「自然=死」という感情がわきあがってくる。
非常につらい結末(この辺はホラー)を迎えるが、最後に「登る」が来る。
トリアーは「死」を描きたかったんではなく、「死と生」を描きたかったのではないのか。死は生きることにつながる。生は死に通じる。それが「自然」なのだと。
主演のシャルロット・ゲンズブールの演技が常軌を逸しており、主演女優賞を多数獲得するのも納得。てか、いっちゃってる。
電車のシーンではサブリミナル手法が使われています。まぢびびった。 -
観終えた後の、モヤモヤ感。
監督の名を知り、また彼について少し知り、納得。
彼の頭の中を表現したのかなぁ。
また、彼は、映画作りをすることだけは大丈夫なんだ、と。
つまり、映画を作りこういった内容の作品に自分の頭の中を表出することで、自分を救っている?癒している?そうせざるを得ないのだろうか。
そんな風に感じた。
精神世界を感じながらみると、いろんな解釈ができる気がする。