日活100周年邦画クラシック GREAT20 あゝひめゆりの塔 HDリマスター版 [DVD]

監督 : 舛田利雄 
出演 : 吉永小百合  浜田光夫  和泉雅子  二谷英明  乙羽信子 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953046337

感想・レビュー・書評

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  • 『あゝひめゆりの塔』、大好きな映画なのでBSで2回目を観た翌日に渡哲也さんの訃報が……。そして今日8月22日はこの映画にもある対馬丸事件の日なので、レビューをアップしたいと思います。

    これは有名な姫百合部隊の映画。私は戦争映画をなるべく観るようにはしてるんですが、姫百合部隊に関してはやっぱり重い……と感じてしまって、今まであまり積極的には観たいと思えなかったです。
    この日活版を昨年初めて観て、映画としてものすごく良かったから驚きました。

    この映画の優れている点は、少女たちの青春映画としてしっかり描いているところ。ここの描写がすごく良いので、沖縄戦が始まる後半とのコントラストが強くなって、彼女たちの平和と青春を破壊した戦争の酷さが、より浮き彫りにされてくる。

    最近だと『この世界の片隅に』なんかも同じで、すずさんの戦時中の生活を丁寧に丁寧に描いているから、後半の怒りや悲しみがより強くなる。戦争映画では大事なことだと思う。

    昔の日活映画を観るまで、私は吉永小百合さんがそんなに好きではなかった。タモさんが有名なサユリストなので、「吉永小百合を好きなタモさんに萌える」という感じでした。

    でも昔の吉永小百合を見たら、今のイメージと全然違っていて、頭をぶん殴られたぐらいの衝撃を受けました。
    勝手に「清純派」だと思ってたけどそうではなくて、「ものすごく芯が強くて活動的で元気が良い女子」なんですよね。このキャラクターがすごく好きです。

    他に良かったのは、機銃掃射されるシーンなど、アクション映画的なところも優れている点。
    舛田利雄監督といえばのちの『トラ!トラ!トラ!』で黒澤さんが降板して、深作さんと共に日本パートの監督をした。『トラ!トラ!トラ!』も大好きな映画で、初めて観た時に「なんじゃあこりゃあ!」とぶったまげました。『あゝひめゆりの塔』を監督してたから起用されたのかな。

    これらの良い点はやっぱり日活映画のカラー(方向性)が関係してるのかも。日活といえば若者向けの青春映画や日活アクションなので、それらが上手く噛み合っている。

    吉永小百合といえば浜田光夫とのコンビ。浜田光夫の友人役が藤竜也。私が好きなシーンは男子が『元寇』の歌を、女子が『相思樹の歌』を歌うところ。水浴びをしながら踊るところなどなど。

    梶芽衣子さんは別行動の組かなにかなので前半あまり出てないけど、ラスト近辺はよく映ってます。
    渡哲也さんは冒頭の現在のシーンにのみ出演。ディスコ?ゴーゴーのシーンと対比させるのは同年公開の『肉弾』と近い手法で、そもそも日活が太陽族映画を作ったのですごく良い。

    原作は石野径一郎さんで、『対馬丸事件』もこの方。大好きな左幸子さん主演の『沖縄の民』という映画を先日観たけど、たぶん原作の『沖縄の民』が改題されたのが『対馬丸事件』だと思います。

    沖縄戦のこと、私もあまり詳しくないですが、『あゝひめゆりの塔』と『激動の昭和史 沖縄決戦』の二本を観るとすごくわかりやすくて良かったのでおすすめです。

  •  そうか,そこから始まるか。これもまた,そんな風に思う映画だった。題名は何度も聞いたことがあったが,今回,NHKBSで放映してくれたので,見ることができた。
     主人公(吉永小百合)の母親が,小学校の先生で学童疎開で子ども達と本土に渡っていく。これって「対馬丸」じゃないかと思っていたら,実際,その話だった。ビックリ。
     悲惨な中にも常に前向きに生きようとする少女たち。しかし,最後はやはり手榴弾による自爆しか残っていなかったという悲しい現実。
     青春まっただ中の少女たちの明るさと戦争の悲惨さとの対比が際立つ映画だった。また,来年,終戦記念日や沖縄戦記念日の頃に見ることにしよう。

  • 沖縄の乙女たち1503名と引率教師92名の悲しい戦争物語。当時の日本人には「お国のために」「生き恥をさらすな」という2大気違いスローガンがあったことを忘れてはなりません。ぜひ、戦勝国たる連合国軍に見てもらいたい作品です。
    一方、この映画から日本人も学ぶべきことはある。平気で国民にうそをつく大本営。それが、戦争に勝つためだとしても決して許されるべきではない。本当のことを言えば非難されたとしても、それでも真摯に国民と向き合うべきである。その間違った精神は、戦後75年経った今でも支配者層にはびこっている。自分たちは特別に選ばれたとのだから大概のことをしても許されていた時代とはもう決別すべき。国民の代表はあくまでも謙虚で正直に、そんな当たり前なことが求められています。

    『あゝひめゆりの塔』1968年9月21日に公開された映画。監督は舛田利雄。主演は吉永小百合。日活青春スター総出演・明治百周年記念芸術祭参加作品である。太平洋戦争末期。本土決戦を目前に、日本軍は米軍の進撃を食い止めるために、沖縄に前線基地を置いた。 そして、米軍は日に日に日本軍を圧倒し、沖縄は空襲や爆撃を受けて島が燃えてゆく(沖縄戦)。そんな中、沖縄師範学校の生徒たちはいかにして生き残っていくのだろうか。モノクロ映像で描く戦争超大作。(Wikipedia)

  • 出演者の世代がだいぶ上で、俳優に関して余計な情報を知らない分、個人的にはとても素直な気持ちで見ることことができました。
    十代の一番楽しいと言われる時期に自分の意思とは無関係に戦争に巻き込まれていくことのつらさ。南風原の病院壕に行ったことがあるので、そのシーンはより自分の中で迫ってくるものがありました。映像から見る状況だけでもだいぶ悲惨でしたが、それにプラスして臭いの問題も考えると、どれだけ最悪な環境だったかなと思います。
    事情とは異なるところもあるそうですが、戦争のことを知るための入り口にはなるのではないでしょうか。

  • 情緒豊かな女学生たち。本当に表情豊かで魅せられ、そのせいで痛ましさが倍増。
    年齢問わず国民みんなが知っている歌の役割って大きいな、と思ったり。

  • 生気に溢れていた愛らしい女学生らが心身共に傷付き倒れていく痛ましさ。
    容赦のないエンディング。
    傷つくべきではなかった人たちが傷を負い、死んでいったのが沖縄戦だったのだということを思わされる。

  • 正直、「舛田利雄、吉永小百合、浜田光夫」という組み合わせに何にも期待せずに見たのですが、同じ原作を元にした今井正の「ひめゆりの塔」よりもよかった。何よりも、ひめゆり部隊が結成されて後の演出が今井版よりもリアリティに満ちていて、容赦がない。ことに壕(ガマ)の中にいる負傷兵の悲惨な様子は「実際にこうだったんだろうな」と思わせるものであった。それにしても昔の映画っていうのは火薬の使い方がハンパではないですなぁ。

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