息詰まる逃走劇というよりは、ディカプリオの自分探しドラマみたいな構成だった。天才詐欺師でありながら親離れが出来ない二面性はちょっと面白い。いつものレオ様らしく、行く先々で女難の相が出てるのもご愛嬌。
ただ、鮮やかな詐欺の手口でもっと唸らせてくれるかと思っていたけど、そういうシーンは意外と少なくて少々肩透かしを食らった。
パイロット、医者、弁護士。いずれも気が付いたら成り代わっていたという印象だし。どうやって他人の人生を手に入れたのか、そのタネを明かして魅了して欲しかったんだけどな。
あと、フランスでの大規模小切手偽造もそう。足がつかないように生産ラインを調達するなんて大仕事、過程をすっ飛ばして魔法みたいに結末だけ魅せられても何がなんだか。戸籍とか登記とか物資調達とかどうやったのだろう?協力者もなしに本当に可能なのか?映画では語られなかったけど、ものすごく気になる。
作品に何を求めるかによって評価が割れそうだけど、自分にとっては期待していた程ではなかった。映画の尺を伸ばして、生き馬の目を抜くレオ様と、冴えるカンで追い詰めるトム・ハンクスの苛烈なチェイシングをもっともっと見せて欲しかった。
あ、もちろんレオ様とトム・ハンクスは相変わらず輝いていましたよ。