ブラック・ブレッド [DVD]

監督 : アグスティー・ビジャロンガ 
出演 : フランセスク・クルメ  マリナ・コマス  ノラ・ナバス  セルジ・ロペス  ルジェ・カザマジョ 
  • 松竹 (2012年12月7日発売)
3.09
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105065048

感想・レビュー・書評

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  • なぜ貧困に苦しむ少女には左手がないのか?それはスペイン内戦が「左派」を切り捨てたからだ。なぜ正義感にあふれる父はある悪に手を染め、子供にみかぎられるのか。それは左派が右派以上に凄惨な内紛を行ったからだ。子供は、どちらの正義や論理も拒絶する。それが新生スペインのあるべき姿なのだと。

    スペイン映画は、こういうふうに内戦やフランコの時代を直接的にではなく間接的に描くのが圧倒的にうまい。傲慢な言い方だけれど、そのへんが韓国の大河物語とは違う。

  • 冒頭の殺人シーン、更に子どもも乗っているのに馬ごと馬車を崖から突き落とすシーン、これはR12だわ。
    1940年のスペインってこんな貧しい感じだったのか(カタルーニャの山村)
    またこの少年の眼がいい。小学校の中から抜擢されたらしいけど演技経験がないとは思えないほど、少年のもつ潔癖さ、危うさが見事に表現されていた。
    父親を尊敬していた頃と真実を知ったときの失望とその眼差しがほんとに的確だった。
    あの森で裸でいた青年も同性愛者なのかと思ったら結核だったのね。(僕は病気だから近寄らないほうがいいよってあの時代はすごい偏見があったからそばに寄ることさえも禁じられてるのかと思ってしまった。)
    題名のブラッド・ブレッド(黒いパン)はまさに貧しさの象徴なのだろう。あのマダムの家では白いやわらかいパンにかぶりつくシーンとの対比。
    ラスト
    親を見限った決意、”荷物を届けにきた人”って友だちにママ?って聞かれて返す言葉がせつなかった。
    地雷で手をなくした少女と逃亡するほど愚かではない。
    アンドレウは将来、医者になれるんだろうか。

    Black Bread 2010年 108分 スペイン 仏 Wowow
    監督 : アグスティー・ビジャロンガ
    出演 : フランセスク・クルメ マリナ・コマス ノラ・ナバス セルジ・ロペス ルジェ・カザマジョ

    大人たちの嘘が、
    僕を悪魔にしていく。

  • う~ん、これをダークミステリーと呼んでいいのだろうか?1940年代の貧困の差が激しいスペインでの生き抜くために犯した過ち。そして思想の違いなどから追い込まれていく人間模様。やはりフランコ政権下の時代の作品は重いものしかないような気がする。

    「ブラック・ブレッド」
    https://www.youtube.com/watch?v=6Y_ygYf6KmI

    温かい家族が一瞬で崩壊していく。じっくりとみていると本当にハッとするような言葉が連発して出てくる。死への階段を上り始めた父親の愛情はすごく強いものがあるのだが、話が話だけに重~くなってしまうのだが、この時代のスペインなので仕方がない。

    そしてエンディング…こんな少年はいるんだろうか愛情を忘れて、大人の階段を登れる少年が…

  • オープニングから序盤にかけてのミステリアスな展開はかなり好きでした。ただし、話が進んでいく内に、そもそも語りたい内容はミステリやサスペンスではないのだな、という展開になり、個人的には失速した感じでした。

  • スペイン内戦後、フランコ政権下のカタルーニャ(カタロニア)地方。「大人のウソ」を知ることで少年期と決別をするような話。自分の中で何年か前からスペイン内戦ブームだったので、映画や本をちょっとずつ観たり読んだりしてます。先日読んだオーウェルの『カタロニア讃歌』の方が複雑(詳細)な内容だったので、予習どころかそれ以上のことになってました。

    冒頭の馬のシーンや主人公のいとこの少女が小悪魔的だったり、村人のやった仕打ちの内容といい、ストーリーと表現は好きです。
    だけどカメラがハンディでブラしてる部分が嫌い。手ブレ自体はそこまで否定派ではないですが、技術的に最近のものなので画面に重厚感がなくなって一気にチープに見えて興醒めする。1944年とかの話なので、もっと落ち着いたようにした方が良いと思う。
    あと、しゃらくせえ演出の部分が何箇所かあって、そことしっくりこない。ハンディの部分がなければよかったんだけど。好きな箇所と嫌いな箇所がはっきりわかれる映画でした。だから、この映画がなんでこんなに評価が高いのかがよくわかりません。スペイン人だったら「よくぞこれをやった!」となるのかも。
    『ブラック・ブレッド』=黒パン等食べ物や食器で、農民と富裕層の差を表現してるところは好き。

    偶然『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を同時に借りて観たけど、すごく近い気がしてきました。あれは母親目線だけども、逆に子ども目線な話。どちらも手ブレするので、もしかすると監督はドグマ95に影響されてんでしょうか。

    予告や煽り文句でミステリだの『パンズ・ラビリンス』の名前が出たりだのしてましたが嘘っぱちで、人間ドラマです。というか家族ものでもある。スペイン内戦ものってとこは共通してるけど、『パンラビ』+『ブラック・ブレッド』=『ダンサー・イン・ザ・ダーク』って感じがします。

  • 見所:鳥の死体が格好良過ぎて彫刻かと思った。

  • 2010年のスペイン/フランス映画。本国スペインではゴヤ賞を9部門で受賞した作品。
    舞台は1940年代のスペイン内戦が終息をむかえたカタルーニャ。
    本作を観る前にスペイン内戦のことを少しでも知っておくともっと作品を理解することができると思う。
    今だに小さいながらもテロなんかがある地方ですからねぇ。
    やっとカタルーニャ語を話してもよくなったのはつい最近といってもいいほどなんです。
    そんなカタルーニャの小さな農村で両親と暮らしている11歳の少年・アンドレウ。
    彼は偶然、幼馴染みと父親が殺害され、荷馬車ごと崖から落とされたところを発見してしまう。
    そしてその事件に渦中に巻き込まれ、だんだん暴かれていく大人たちのうそ。
    アンドレウの父親は共和派だったため肩身の狭い生活を強いられています。
    それに小さな農村という共同体での不条理(村八分などなど)がまかりとおり、そして内戦。
    そんな苛酷な時代環境の中、医師になりたいと夢を持つ純粋な少年の、ある意味成長物語でもあるのですが、観た後に感じたやるせなさは・・・そう!「レオン」を観た時と同じ感情でした。
    映画にはやはりどこかハッピーエンドを期待するもの。せめて違う世界での幸せを自分も感じたいと願うというか。
    でも、本作品では次々に隠されていた真実をつけつけられ、傷ついていくけれど、それでもやっぱり人間は生きていかないといけないわけで。
    ましてやアンドレウは大好きな両親の秘密を知ってしまうんですからねぇ;;
    しいて願うならば、今はまだ小さく自分で決めたとはいうものの、立派な大人になって養父母を見返してやってほしいです。
    ヨーロッパは今でも格差社会。タイトルの「ブラック・ブレッド」は「黒パン」のこと。
    当時の黒パンは小麦のほかに雑穀が混ざっていて、貧民の食べるパン。
    白パンは買わないと食べられないのでお金のある人が食べるパン。
    映画の中でお皿に盛られた黒パンと白パンに、白パンに手をのばそうとするアンドレウに「あなたは黒パンよ。」と言われるシーンがありました。
    なんか苛酷だなぁ・・・って。でもその中でもしっかり生きてほしいと願います。
    でも、映像は素敵だったなぁ。そんな苛酷の中でも凜と生きている人々もいてとても美しく撮られていました。キャストがみんな美しかったです。
    これまた秀作の逸品でした。

  • 子供目線のブラック社会

  • 最後まで何を描いた映画なのか分からなかった。
    難解だからではなく、そういう作り方をしていた。
    ミステリなのか、ダークファンタジーなのかと考えながら
    観ていたけど、どうやら当時のスペインを描いたドラマだった。

    子どもたちの視点から、40年代のスペインを描き、
    この時代を生きた人々の苦悩が描かれている。
    当時のスペインについて全く知識がない事が、
    ミステリアスさを強調してくれた。
    後で調べたら、フランコ政権誕生のきっかけとなった
    内戦直後のスペインが舞台のようだった。
    家族のために必死で生きた親、その親が家族のために
    行った行為を知り、親と共に生きることを選ばなかった子。

    子供らの演技がとても魅力的。
    特に主人公のアンドレウとヌリアを演じた子役たちは、
    素晴らしかった。

  • 「大人たちの嘘が、僕を悪魔にしていく」

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