家族八景(新潮文庫) 七瀬シリーズ [Kindle]

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  • 考えてることがわかる女性が色々な家族のもとで女中として働く短編集
    思考してる内容の表現が面白く、また考えてることがわかってしまうことの弊害が上手に表現されていた
    あと不倫多すぎかも

  • 久しぶりの読書なので短編集が良いなと思い、手に取った一冊。相手の考えることが読める主人公ということで、内面的な描写が細かく、繊細な著者の書きっぷりにぴったりだった。普通の小説だと「〇〇は~~だと感じていた。」という風に描かれるけど、人の考えがそんなにきれいにまとまっていることは少ない、もしくは時間がかかることで、その点、この本の中で七瀬が読み取るこころの動きは思いついた順に浮かび上がってくるようで本物の人の内側に近いような気がした。
    もちろん各話フィクションで、このクズ...!と思うような人物もたくさんいたけど、人の欲望がお金と名誉とセックスでできていることは現実と大差はない。今の世の中こういう人はたくさんいると思うし、人らしいと思う。

    電車に乗る機会が減ってなかなか読書する時間が確保できていないのに積読ばかり増やしているので意識して時間をつくりたい。。。

  • 最初に読んだのいつだろ?
    14歳頃かなー
    修学旅行の最中で、ずっと読んでたら怒られたっけ
    それは今でも全然後悔してないな
    あの時出会わなければ一生出会えない魅力的な登場人物達
    友達なんか要らない。本があればいい
    40年経っても揺るがないな
    なんて幸せな人生だったのか
    満足である

  • 言わずとしれた七瀬三部作。
    筒井康隆作品は数あれど、一番好きなのはこれでしょう。
    筒井康隆先生は嫌な奴や汚らしい感じをいやらしく表現するのがすごくうまい。そしてたいてい主人公はうまく生きられない。でもそれがいいんだよなあ。

  • 他人の心を読むことができるテレパス能力を持った七瀬の短編集。人の心を読めることが幸福ではないことがわかる。人間の心理描写が興味深い。

  • 久しぶりにすごい小説に出会った。

    様々な境遇の家族と、その心理描写を、
    他人の心を読める主人公の視点で描いた作品。

    建前では幸せな家族を演じつつ、心ではいがみ合っていたり全くの無関心であったり、
    歪な人間関係がリアルに、スピーディーに、必要十分な量の言葉で描かれてます。
    また主人公もただの傍観者ではなく、時に悪戯をしてみたり、行動を起こしてみたり。
    様々な人間関係に化学反応が起こり、それが変化してゆくさまがリアルに描かれてます。

    あと、話のテンポが自分にとてもしっくり来るなあと感じた。
    自分は飽きっぽいので単調な場面が続くとその本を投げ出しちゃうこととかもあるんですが、
    ちょうど良いところで別の場面に移ったり、まさかの展開がいいところで来る。

    話の内容は、程よいスパイス、というよりもかなり辛口。
    衝撃のラストは鳥肌もので、本当にゾッとした。
    一気に読んでしまったけど、未だ興奮冷めやらぬといった気分です。

    とにかく、めちゃくちゃ話に引き込まれました。

  • 某スパイアニメと同じ設定です。テレパスの設定をうまく利用して、家族の描写をしています。
    ところどころ毒が含まれているような表現もありますが、作者ならではでしょうか。
    おもしろかったです。

  • 久しぶりに読んでみたくなってkindleで購入。自己中心的で自惚れた男性たちは美しく若い七瀬を心の中で蔑み、馬鹿にし、それでいて表面上は紳士を取り繕っているけれど、テレパスの七瀬にはお見通し。心が読めなくたって、こういった思い上がりのムカつく男の心理は分かるもので、そうそう、ほんとしょうもないよね、と共感する。七瀬が危険な目に遭いながら読心術を使って卑しい男どもを撃退していく様には爽快感を覚える。でも、人の心の中なんて分からないほうがずっとずっと幸せに行けていけるだろうな。

  • 万人向け娯楽SF。人の心が読める能力を持つ家政婦七瀬が様々な家庭を転々とし、その闇を垣間見る短編集。程よくホラーテイストで楽しんで読めた。

  • 体裁としてはテレパスが主人公のSF物となっているものの、実質的には、家庭を形づくる人々の内面を作家の洞察力でもってえぐり出し、ときに生々しく、ときに淡々と映し出した人間心理観察レポート。全編にわたって描かれているのは、ごくありふれた人々の、ごくありふれているがゆえの愚かしさであるが、作家自身は何も結論を出さない。受け止め方は読み手に任される。

    SF、ミステリ、純文学などといったジャンル分けとは無関係に、書き手にとっていちばん肝要なのは、人間の心のありようや揺らめき――あるいはそのくびきとなっているもの――を明らかにし、文章として書き表す能力なのだと改めて感じさせてくれる。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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