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感想・レビュー・書評
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晩年の太宰治が豊島与志雄にずいぶんなついてたらしいが、昭和9年初出の本作中の「彼」を太宰治と考えるには無理がある。
しかし豊島与志雄のまわりに モデルなり着想のヒントとなった人物が存在したと仮定しても不自然でないし、想像だけの産物と考えてもやっぱり不自然ではない。
(「彼」は太宰治よりはるかにアッケラカンとした男だが)
どっちにしろ、愛をもって「死ね、死んでしまえ。」と作中の「私」に叫ばせてしまう豊島さんは、きっと破滅的な人間を思わず好きになっちゃう人だったんだろう。
いい人だったんだろうね、知らんけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
〝私〟と〝彼〟は切っても切れない縁故の仲であった。〝彼〟は文学者であったが、仕事が手につかず友人や高利貸しから借金塗れの生活に明け暮れていた。愛人の芸者との間で「死のうか」「あたしも用意しておくわ」と言葉を交わす二人の姿を見るにつけ、「勝手に死ねよ!」と思う〝私〟であった・・・。〝私〟【豊島与志雄】と〝彼〟【太宰治】の親交は、太宰が愛人の芸者(山崎冨栄)と入水自殺するまで続き、豊島は葬儀委員長を務めたという。得も言われぬ幽玄的な雰囲気のある昭和9年の作品である。
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