金田一耕助ファイル11 首 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • Kindleで割引になってたので横溝正史をひさびさ読む。短編集。結論から言うと正直印象に残る話はなかったかな。横溝作品らしいエロとグロはある。

    「生ける死仮面」
    最初に例としてあげた『雨月物語』の話がエグくて、『雨月物語』に興味を持った(オイ)。奇人彫刻家古川小六が美少年緒方辰男の遺体を陵辱しているところを逮捕されるという衝撃的な始まり。ところが辰男にあるはずの盲腸の手術痕が遺体にはないと生母が言い出し、事態は錯綜する。
    情欲の絡んだ事件と思わせての、ひっくり返しが鮮やか。東京の事件なので等々力警部とタッグを組む。というか、金田一がポンポンと解いていく(笑)。
    「花園の悪魔」
    これも温泉場の旅館そばにある花畑で女性の全裸遺体が見つかるという猟奇的な始まり。ヌードモデルだった女性は生前に撮った写真と同じポーズをとっていた。
    これも事件があらぬ方向へ行ってるなと思った金田一が等々力警部を呼び出し、バババッと回答(笑)。必要にかられて犯人が変装したことが事件を混乱させるのは、巧いなと思った。
    「蝶美人」
    軽井沢で発見された身元不明の白骨遺体に肉づけし、生前の姿を判別するという畔柳博士の挑戦は世間の注目を集めたが、それが銀幕の妖花と呼ばれた女優立花マリとわかり、騒然となる。
    夫殺しの疑惑により失踪した女優、夫の名家一族、狂気の博士……と怪しげな人物が揃うけれど、そこに惑わされず冷静に物証を見ていく金田一はさすが。ただ、個人的には遺体陵辱の話にまたか〜と辟易。編集さんはわざとこの設定でこの本を編んだのかなと疑ってしまうくらい(笑)。
    「首」
    岡山の温泉地へ金田一を保養に誘った磯川警部の意図が、去年起きた猟奇的な未解決事件についての意見を聞きたいことだとわかると文句を言いながらも次第に前のめりになっていく金田一(笑)。しかも映画のロケに来ていた監督が、全く同じように獄門岩に生首を置かれるという無惨な遺体で発見される。
    温泉旅館の主人と映画ロケ班の監督、何の接点もない二つの事件がどう繋がるのかなんだけど、わりと序盤に伏線が明かされている。でもこんなの誰にもわからないよ(笑)。まだ二つ目の事件は起きてないし。でもこうしてみると、ちゃんと話を構成して書いてるんだなとよくわかる(あたりまえだ)。
    金田一と磯川警部の関係は等々力警部とはまた違って、親愛の情というか、やっぱり温かい感じがする。

  • 電子書籍版がリリースされ、杉本一文画伯の表紙が採用されているので乗り換え。
    短編4作収録で、
    元々『花園の悪魔』というタイトルで出ていた本の改題版だとか。
    あれ、それは母が所有していたのではなかったか……?
    まあいいや、自分的にはお初お目もじってことで。
    謎の提示と解決より、猟奇的な描写に力が入っている感じの、
    なかなかエグめな作品集。
    この本は「関東編」で、お相手は等々力警部なんだなぁと思っていたら、
    ラストの表題作だけ、舞台は「兵庫との県境に近い岡山」で、
    磯川警部が相棒でした。
    とにもかくにも、犯人は、トリックは、動機は?
    ――などと考える暇もなく、ダダーッと読み終えてしまったなぁ(笑)

    • mkt99さん
      相変わらず表紙画がコワいんですけど・・・。(^_^;

      ※これで乗り換えできますか?(笑)
      相変わらず表紙画がコワいんですけど・・・。(^_^;

      ※これで乗り換えできますか?(笑)
      2013/04/16
    • 深川夏眠さん
      ええーっ、わざわざすみませんっ、お気遣いありがとうございます!
      本家「文庫」の表紙って、作夏のキャンペーンで、
      一時的に昔の絵バージョン...
      ええーっ、わざわざすみませんっ、お気遣いありがとうございます!
      本家「文庫」の表紙って、作夏のキャンペーンで、
      一時的に昔の絵バージョンになっていたんだそうですね。
      そのままでよかったのに……と思っていたら、
      電書版がこの有り様(笑)なので、よっしゃ!
      とばかり、乗り換え大作戦を決行したのですが、
      でも、本当に持っているのは普通の本の方なので、
      なんとなく自分の中でもしっくり来ない感がありまして、複雑です(´・ω・`)
      2013/04/16
  • 昭和28~31年の金田一探偵、エログロ濃く愛憎深く意外性ある良短編集。前半3作の舞台は東京、等々力警部が登場「生ける死仮面」アッー!でネクロフィリアな武蔵野猟奇事件、体をしなしなさせながら?「花園の悪魔」ビジュアル映えな舞台装置での良トリック、百草園いいよね。またしてもヌードモデル倶楽部です「蠟美人」博士登場と聴くとマッドにしたくなる、二転三転そうくるか「首」岡山県の温泉で磯川警部との静養、実は昨年に三百年前と同じ事件がここで起きたと解決を迫られる姿もお約束。さすが表題作な出来栄えのミステリ(1955年)

  • 特に1話目が、何かこじつけがましい。
    あんまり悩みもせずに突飛な推理に突き進んでるせいかな。
    探偵がチートすぎるというか。

  • 恐ろしい結末揃いの短編集。
    人の欲と、人の弱さが噛み合うその僅かな隙間に
    悪魔は潜んでいる。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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