グッド・バイ [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 読友さんの感想から早速、青空文庫。主人公の田島周二。編集者の彼は実家に妻子を置き、別居暮し。さらに、闇商売も行う。田島には愛人が10人いる。初老の文士から「ニセの美人の女房を愛人の前に連れ出すことで、田島を諦めさせられる」という名案を教えられ、田島は永井キヌ子を見つける。相当な美人だが、担ぎ屋稼業のため男性のような筋力。一人目の愛人の上着に札束を入れ「グッド・バイ」と囁いた。田島はキヌ子をわがものにしたいと考える。さらに2人目の愛人と対峙する場面で終了。うーん、気になる展開。AI技術でラストまで甦れ~!⑤

    • アールグレイさん
      ポプラさん!
      愛人10人?けしからん!!そんなにいたら、存在を忘れる!
      ポプラさん!
      愛人10人?けしからん!!そんなにいたら、存在を忘れる!
      2023/11/04
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、アハハ!本当に怪しからんですね。太宰治の絶筆のストーリー、興味深いです。最後まで書いてほしかったです。。。
      アールグレイさん、アハハ!本当に怪しからんですね。太宰治の絶筆のストーリー、興味深いです。最後まで書いてほしかったです。。。
      2023/11/04
  • 1948年の作品。未完である。
    太宰治が自殺して亡くなったのもこの年だ。

    毎度ながら、なんとも情けない男を絶妙に描いている。

    以下、ネタバレあり。

    10人の愛人を持つ田島周二は、気持ちを入れ替えてまっとうに生きたいと考えていた。この動機も自己中心的で笑ってしまう。
    妙に律儀で情を優先しているように振る舞うが、全く筋の通らない言い訳の連続である。
    妻子がいることを公言して迫る男に惚れる女もどうかしてる。どんだけいい男なんだ。

    結局は、永井キヌ子を横に立て、愛人へ別れを告げることになる。キヌ子は一見薄汚く、だみ声の女だが、着飾ると絶世の美女と化す。彼女を細君と称し、愛人の前に現れるのだ。愛人たちはキヌ子を目の前に劣等感で絶望する。そこに周二が「グッドバイ」と囁き、手切れ金のようなものを差し出す。ゲスい。

    その時代独特の雰囲気や事情があるように感じるが、何せ未完の為に続きは想像となる。

    読了。

  • 太宰治の未完の最終作。
    いよいよこれからというところで話が終わってしまうのは本当に残念。また、こんなテーマでも小説になるんだという驚きと文学作品の無限の可能性に驚きもある。
    けれども内容的にはなんとまあ。。。

  • 久しぶりの青空文庫。未完の作もどこか憎めない主人公が酒を飲んではどうしようもなく迷いつつ生きる喜劇だった。太宰作品の主人公はどことなくある友人に似てるので、生きてるかなあと懐かしくなる。

  • 定期的に太宰を読みたくなる、その衝動で購入した一冊。多くの話は、酒と金と女でどうにもならない男がでてきて、それに困りながら付き添う健気な女がワンセット。ただ男は、自分が嫌いになるほどに弱さに気付いていて、心理描写を見ると心には繊細な思いやりがある。そこが著者そのものであるその男がモテる理由なように感じた。また、一応仕事にも信念(あと才能)があること、本心を吐露するときには優しい口調で話すこと、、などなど文章のさらさらした綺麗さも相まって、少し自分とも重ねてみたりもして、心にぐっとくるものを感じてハマってしまう。
    ほとんど私小説なところが太宰治本人にもファンが付く理由だと思うし、自分もその一人だと思う。なにもまとまらない感想文しか書けないのが申し訳ないけれど、また他作も読んでいきたい。グッド・バイがいいところで終わってしまったのが残念で仕方ない。

  • 未完かよ!
    というわけで、まぁ有名なのかもしれないけど、知らずに読んでて最後に未完と来ると、無理やり打ち切られたジャンプ漫画のような失望がやってくる。
    しかもこれがなかなか面白そうな展開で、でもちょっと少女漫画にでもなりそうな感じでもあるんだけど、まぁ夢を見させていただきました、ってところかな。

  • 主人公は複数の愛人と別れるために、超美人のキヌ子に妻のふりをしてもらうが、キヌ子は普段は小汚く、怪力で大喰らいで、他人の金遣いが荒い。振り回されてばかりの主人公は、愛人巡りを進める前にキヌ子という女を攻略してしまおうと決意するが……二人目の愛人のとこに行く前に未完のまま終わっている。
    太宰治の文章は読みやすいなぁと思っていたけど、コメディ調で語る本作は特に内容が頭に入って来やすい。会話のテンポも良くて、文章にあまり古さを感じさせない。
    未完なのが本当に悔やまれる。面白かった。

  • 伊坂幸太郎さんの「バイバイブラックバード」を読んでみたいな、と思ったのがきっかけで。太宰の「グッド・バイ」が根っこにあると聞いたので、再読。
    今時は電子書籍で無料で読める。時代が変わりました。
    短編一個なんであっという間ですが。

    昔、太宰治は舐めるようにほとんど読みました。
    「眉山」「朝」みたいな短編から
    「人間失格」だとかまで、好きなものはいっぱいあります。

    「グッドバイ」はあまり印象に残っていなかったのですが、
    10代に読んだものをこの歳で読み直すのも面白いものですね。

    なんとも爽やかで覚めていてユーモアたっぷりで、
    諦念と、平たい意味でのヒトの営みへの愛情を感じました。

    でもまあ、未完なんで。最後まで読みたかったですねえ。

    あと、やっぱり文章うまいですね。脱帽。


    備忘録に記すと話の感じは、

    女にモテモテの、お金もある編集者の男性がいて、
    コレがなぜだか色々面倒になり、複数の愛人たちと別れたい。
    でも奇妙な優しさやスタイルに拘るので、酷いことはしたくない。
    そこで、これまた奇天烈な美人だけど下品な運び屋闇屋の女と結託して、
    その女が妻であるという設定で女たちを訪問して諦めさせようとする。
    一人目が美容師でうまくいって、
    ところがどうにもこのじゃじゃ馬にペースを握られてプライドが面白くない。
    恋愛関係に持ち込もうとするがけんつくをくらう。
    どうにもしょうがないまま二人目へ向かうところで、未完。
    一人目と分かれる間際に、手切れ金を手渡して「グッドバイ」とキザに言うんですね。
    なんとも諧謔味。そしてどーでもいいことだから切ないですね。

  • 伊坂幸太郎さんの『バイバイ・ブラックバード』を再読した後にこれを読んだ。
    (グッド・バイを完成してほしいとの依頼からできたストーリーで、別の伊坂流ストーリーだけど、主人公の星野くん=田島イメージ、繭美=キヌ子イメージ、強いところや乱暴気味な口調。繭美の方がすごいけど。あとは、たくさんの女性とつきあっていたので、お別れしにいくという点が同じ。だけど、展開は違う)

    この小説は、面白くなってきてるのに、未完だなんて。
    しかもすごく短くて、残念!田島、キヌ子コンビがどうなっていくのか見たかったです。

  • 松岡圭祐さんの杉浦李奈の推論で太宰治の本が出てきたので読んでみた。遺作で未完のようだ。これが遺作?実に軽妙でユーモラスで明るい。色男の田島が、美人だが普段は汚いモンペ姿の怪力で大食らいと組んで今まで付き合ってきた女たちに別れを告げていく。美容師と画家2人を訪ねて別れを告げたところで終わっていた。残りの愛人との別れも書いて欲しかった。太宰治、若くして自ら命を絶ったことが残念だ。グッド・バイ

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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