グッド・バイ [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 未完か。
    ここに描かれているゴミ屋敷に住む絶世の美人、おもしろい。色男をもっと痛めつける喜劇、もっと続きが読みたかった。

  •  太宰治のユーモア小説は好きです。真っ暗な作品は憂鬱な気分になるけれど、これは明るく読める。おもしろい…と思って読んでいると、いきなり話が途切れる。
     太宰の最後の作品だったんですね。未完のまんま入水自殺。この小説の中に、別れようとした美容師さんが登場する。一緒に自殺した山崎富栄さんがモデルかしら。妻とやり直すから、付き合ってる彼女たちと手を切る手段を企てる。そんな内容だったけど、実生活と重なってるんでしょうね。
     自殺を図ったその近辺に、抵抗した下駄の跡が残っていたらしい。山崎女史に押し切られた形で入水したのかも。酒と女と薬とノイローゼ、自殺未遂5階そのうち心中3回。波乱に満ちた人生で、今ならマスコミの格好の餌食だ。

  • いや!未完なんかい!
    太宰作品にしてはかなり読みやすい
    他の人も書いてたけど続きがもしあるならラブコメっぽくなるのかなーって思ったり

  • 楽しく、ワクワクする、読みやすい軽快な筆致。

    愛人わんさかの若い妻子ある編集者が、「このままではあかん」と急に思い立ち、東京に家を建て実家の妻子を呼び戻して慎ましくまっとうな生活をしようと思い立つが、そのためには愛人たちとちゃんとお別れをしたい、と。そんなん、女達からしたら

    バカか?、と。

    そんな、変に生真面目で無駄に道徳心を残した色男が、愛人にお別れして回るお話…、なんですけど絶筆なのよ。
    もうね、続きが読みたくて仕方がない。

    今回初めて「作者の言葉」を読んだんですけど、「紳士淑女の別離百態」か。ああ、それを見届けたかった。太宰なんて暗くて読む気がしねぇやって人は、とりあえずこれ読んでみたらかなり印象変わるんだろうにね。

    人が死ぬことの悲しみよね。その人の頭の中のものはもう永遠にその人と共に失われてしまうわけだ。作者がグッドバイするなんて、ズルい。

  • パンドラの匣は、療養所が舞台となっていて草の花と同じ匂いを感じた。恋愛が絡む青春小説という点でもそうだ。手紙形式で語られるという点でも。トカトントンは無力感を感じられて好き。全て嘘かもしれないが、トカトントンと聞こえると感じる無力感は本当という言葉。僕のTumblrと似ている。ヴィヨンの妻も良かった。妻を牛島ちゃんみたいな女の人だと勝手に予想した。眉山は切ない。グッドバイは一番好き。

    自分の地位を最低のところに置いたつもりでいても、まだまだ底には底があるものだ。人間は所詮、自己の幻影に酔って生きているものであろうか。

    この道場の生活に対しても、僕はもう
    そろそろいい加減な気持を抱きはじめているのではなかろうか、とマア坊に怒られてはっ
    と思い当ったというわけなのだ。

    しかし、トカトントンだけは、ウソではないようです。

    人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。

  • 伊坂幸太郎の「バイバイ・ブラックバード」を読んだので、青空文庫で元本を読んでみた。

    太宰治と言えば、だいぶ前に、「人間失格」とか「斜陽」といった暗い作品しか読んでおらず、本作品を読んでみて、コメディー調のテンポのいい作風に驚かされた。夏目漱石の「吾輩は猫である」のよう。

    こんなに面白い作品なのに、未完なのが残念でしょうがない。なぜ、自殺する前に終わらせてくれなかったのか。。。

    綺麗な服を着て化粧をすれば絶世の美女に変身するのに、不潔で汚い服を身にまとう怪力、大食い、鴉声のキヌ子のキャラがすてき。

  • 意外とコミカルであることに、驚く。
    愛人がたくさんいるので、どう別れたらいいのかを悩む。

    キヌ子が力持ちで、大飯食らい。
    財布の事情を考慮してくれないほど、食べる。
    とんかつが美味しいというのがいい。
    今なら、肉バルでしょうね。
    女のイメージが、壊れるほど、堂々としている。

    「女に惚れられて、死ぬというのは、
    これは悲劇じゃない、喜劇だ。
    いや、ファース「茶番」というものだ。」

    まさに、茶番とは何か?
    を問いかけた グッドバイ。

  • 太宰治が亡くなった事により「未完」となっている作品です。彼が死を意識しながら書いたと思うと考え深いのですが、内容は逆で、ユニークでギャクがかった感じもします。数いる愛人を整理するストーリーは、どこか彼のバーチャル終活の意図さえ感じます。
     
    さて愛人整理請負人?キヌ子の生い立ちは明らかになってませんが、きっと物凄い修羅場をくぐってきた気がします。そして二人の関係は、これからどんどん変わって行くのでしょう。この時代なんでしょうね、戦争未亡人が多く、そこから今では考えられないドラマが生まれていく、きっと本作の続きにも、時代を色濃く反映した登場人物がどんどん出てくるのでしょう...そう考えると、もう想像のみの世界であるのが残念です。

  • どれほどのボリュームがあるのか確認せずにkindleで読み始めたので、
    主人公の情けない滑稽な姿に虜になりだしたところでぶつんと切れたのは残念極まりない。
    未完の作品だったのですね。

    やはり、太宰治の描く男性は、格好悪すぎて恥ずかしい。
    だからはまる。

  • これから面白くなるというまさにその瞬間での「未完」。主人公田島とキヌ子の関係がどう転ぶはずだったのか、その先を知ること叶わぬとはなんとも無念。
    軽妙な掛け合いが小気味良い。題材がいかにも太宰らしい。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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