ヨコハマ買い出し紀行(14) (アフタヌーンコミックス) [Kindle]

  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 鳥肌の立つ物語だったな。

  • 終わってしまいました。タカヒロとマッキは結婚。ということは、オーナーが旅に出てから20年くらいは経っているのかな?じいさんはとうとう出てこなかったですね。のちに「夕凪の時代」と呼ばれたそうですが、そうすると、凪じゃない時代がきたのでしょうか?多くの謎が手付かずのままです。なのに惹かれてしまう不思議なコミックでした。

  • 何年かの時が流れ、大人になったマッキはムサシノの国でココナさんたちと一緒に働いている。カフェアルファは少しずつ新しくなったりしているけれど、相変わらず。子海石先生の若い頃の目と足、「見て、歩き,よろこぶ者」はアルファさんと一緒に行けるところまでの未来を目指すことに。アルファ室長はたまに北の空へ帰ってくる。人の灯りが消えると町や道の跡に現れる青い灯。アルファさんが流すラジオの音。シバちゃんとココネさん、いつまでも変わらず草むらで。
    それぞれの船はそれぞれの未来へ向かう。また時が流れ,マッキちゃんは5年間務めたムサシノ運送を辞めて浜松へ。浜松はたぶん大都会。何年か過ぎて幼い頃のマッキちゃんみたいなサエちゃん。ミサゴ。
    丸子さんはヨコハマ。街灯の木に白い人型キノコ。地面がおぼえてる「人の記憶」を見ながらアルファさんは帰る。

  • むかしホビージャパンの後ろの方に載っていたのを覚えているが、その後読まずに来てしまった。その後もずっと頭の片隅にはあったが、『星旅少年』著者の坂月さかなさんの対談で再びこのタイトルを目にして、いまさらながら読んでみた。

    物語にも、絵柄にも、『ああっ女神さまっ』や『なるたる』のような、あの時代のアフタヌーンの質感をどこかに感じて、90~00年代のノスタルジーも感じた。



    読んでみて驚かされるのは、とにかく絵が素晴らしい事。マンガのコマであるのに、作中のほぼすべてのコマについて、ため息をついてしまうような完成された風景が広がる。その絵としての完璧さに驚く。

    荒廃した未来という舞台設定で、どこか懐かしさというか、琴線をくすぐる現代の原風景が広がる。夏の日差し、木々や生い茂る草木の様子が、涙が出そうなくらいに懐かしく、そして美しい。

    各話ではほとんどストーリーに起伏はなく、日常のあるシーンが切り取られるだけなのに、絵の素晴らしさにひきこまれる。



    もうひとつ魅力となるのは「セカイの秘密」。海に沈みつつある町、ロボットであるアルファたちやその来歴、近所の先制の秘密、高高度を飛翔する飛行隊や謎の生き物たち、巨大な植物に、ヒトの形をしたキノコや街頭模倣植物と、とにかく世界は謎に満ちている。その答えを知りたくて読み進めたところはあったが、結局最後までなにひとつ明かされなかったことには驚いた。

    が、最終巻となる第14巻にかけて、物語は緩やかに加速する。そこで、物語の主題が夕凪の時代の「その後」を、描かぬことにより描くことだったと気付かされる。

    全14巻のストーリーは緩やかだったが、台風や、がけ崩れや、確かに着実に人の生活息を削っていた。時間の流れを感じさせられるのは、ラスト近くになってタカヒロが旅立ち、マッキが大人になって子どもができ、登場人物たちの状況に変化が訪れてから。

    だが、全14巻を通して確かに時間は進んでいて、その目に見えないほどのしかし確かにある緩やかな変化を描くために、14巻という長さは必要だったのだろう。

    終盤、10-12巻くらいのあたりで、人々に取り残されることをアルファは悲しむ。が、時間が加速し、タカヒロたちが巣立った後のアルファの様子はどこか吹っ切れて見える。そうして哀しみを乗り越え、ココネとふたりで生活するアルファからは、それまでに描かれた豊かな人間性とは微妙にちがった、どこか無機質な感じを、「ロボット」である事実を突き詰められたような気持になった。

    夕凪の時代の終わりを見守るロボットたち。大地の記憶に変わっていく人間たち。その寂寥が14巻を通じて描かれたことを思い知らされ、それまでずっと感じ続けていた怖ろしさは間違っていなかったのだと、思い知らされる。



    それはそれとしてアルファさんがかわいかった。
    学生時代とか、多感な時期に読んでたら色々危ないところだった気がする。

  • 9784063211764 の電子書籍化。

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著者プロフィール

アフタヌーン四季賞1994年春のコンテストにて投稿作『ヨコハマ買い出し紀行』が大賞を受賞、同作を連載化してデビュー。アニメ化もされた同作は2006年の連載終了まで幅広い層の支持を集め、2007年には第38回星雲賞コミック部門を受賞した。

『カブのイサキ』(2007年~2012年)を経て、待望の最新作『コトノバドライブ』を発表。

「2017年 『コトノバドライブ(4)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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