しろいろの街の、その骨の体温の [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • いやだったなあ、中学校。というのがしみじみとした感想。それはそれとして、文章にキレがあるというのか、淡々としているわりに意外なほど推進力があるところに惹かれて読み始めた。題材自体の既視感はもうどうしようもない(し、だからと言って扱う価値がないわけでもない)中、エピソードのひとつひとつはおもしろい。ただ、後半に主人公の心理的な転・結が詰め込まれていてあまりオチを咀嚼する時間がなく、構成的にちょっとバランスが悪い気がする。もう一冊くらい読んでみて作家読みするか検討予定。

  • 村田紗耶香さんの三冊目
    初めて、設定はごく普通の思春期の女の子の世界

    まだ無邪気さが残る小学校時代から
    スクールカーストでがちがちに縛られた中学生へと
    女の子たちが変わっていく姿を
    中の下の「おとなしい=無害」とランク付けされた
    結佳ちゃんが冷ややかに見つめてるという状況

    ただ、ちょっと普通でないのは
    同じ書道教室に通う伊吹という男の子と結佳の関係

    まだ幼くて体も小さい伊吹を、
    小学生の結佳はおもちゃとして扱うのだけれど
    中学生になった伊吹は上のクラスの男子になっていた。
    クラスカーストに無自覚だけれど上のカーストの伊吹と
    下のカーストの結佳は普通には付き合えない。
    それで、必死で無関係な振りをしつつ
    陰では陰湿に伊吹をおもちゃにしている結佳。

    いくら何でも、そこまではしないだろう・・
    そんな状況描写もあって、息苦しくなった。

    最終的には、「自分の声」を取り戻す結佳なのだけど、
    その結末は喜ばしいものなのだけれど、
    そこに導く後半の展開には、かなり無理がある気がした
    ただ、それくらい無理をしないと
    クラスカーストの弊害は崩せない、ということも
    明らかになったのかもしれない。

  • 周囲・世間の価値観にとらわれず、自分の中にある気持ちや感情を素直に受け入れて、自分を認めていこうと思った。
    伊吹がとにかくいい人だった。

  • コンビニ人間の作者の作。廃れた都市の開発に主人公の成長(骨の比喩)を絡めて捉えている。白(狂気?)と黒の比喩もあったような。学生時代のカースト、歪んだ性癖、思春期(特有)の達観した目線。自分は変なしがらみがない方だったが、まわりにはこんなのあったなとなんとなく思い出した。高校時代の先輩の嫌な言葉を思い出したが、今ごろなにしてんだろ。伊吹が純粋すぎてイライラしたが、最後らへんよむといろいろ受け入れた上での振る舞いなんだろうなと想像できた。都市の開発が進むかと希望が持てるような終わりでよかった。

著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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