友罪【電子特別版】 (集英社文芸単行本) [Kindle]

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著者 : 薬丸岳
  • 集英社 (2013年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (417ページ)

友罪【電子特別版】 (集英社文芸単行本)の感想・レビュー・書評

  • 酒鬼薔薇事件、と書くだけで足元からおぞましさが這い上がるのだけど、あの時の少年が今、世に出ているわけでそんな彼と知らずに友だちになったら、そして彼の過去を知ってしまったら?.


    主人公は、マスコミ志望ながら思い叶わず、心ならずも一時的に町工場で働く27歳の青年・益田。
    彼と同期で採用された同い年の鈴木は、極端に人づきあいを避け、寮の隣り合った部屋からは毎晩尋常ではないほどの大きなうなされる声が。

    この「友罪」はもちろんフィクションではありますが、実際にあんな酷い事件を起こした男の子が今、社会に出てどんな風に暮らしているのか、真っ当に(というか幸せに)生きているとしたらそれをよかったね、と言えるのか、という“興味”から読んでみました…。

    前半の、どこか病的な空気をまとう若者である鈴木と主人公の益田が親しくなっていくあたりがちょっと強引かな、と思いつつも許容範囲的な流れに思え、ただ、読者は始めから鈴木が猟奇的な殺人者であったことを知っているわけですから、かなり複雑な気持ちにもなりました。
    死刑ではない限り、罪を犯した人は刑期を終えればその罪は償ったことになり、そのあとは当然、社会に出てきます。
    この場合は少年という特殊な例でしたから、その償い方にはあれこれ思うことは多いのですが。

    で、人との付き合い方を知らない鈴木が、徐々に心を開き、同僚の女性とも親しくなりはじめます。でも、事故で益田が指の先を切り落としてしまった時、その指を拾い上げ、ビニールで包んだうえで氷で保存する、など適切な処置をしたおかげで益田の指は再び元通りに縫合できた、という出来事は、美談とも、彼の根っからの猟奇性とも取れるエピソードで、しかも、後日、その指を写真に撮っていたという話には、あぁ、やっぱり・・・と。

    そうなんですね、社会に出てきた元犯罪者を徒につまはじきにしてはいけない、という“良識”を背負いながらも、持って生まれた性癖だとすればそれはやはり一生危険な人物なのではないか、と思ったり、それだったら、自分から遠ざけても言い訳が立つのかも、と逆にほっとしたり。
    私ってとことん小市民だなぁ、と思った次第です。


    ただ、かなり“面白い”(不謹慎でゴメンなさい)題材を扱っている割には、
    そして、元AV女優でその過去を暴かれては定住の地を求めてさすらう女性とか、
    少年の保護監視下時代の母親代わりの指導官とか、
    主人公自身、中学時代に苛めのせいで自殺した友人を持つとか、
    これもまた面白くなりそうな人物設定の割には、

    なんか、それぞれが一面的(失礼!)で、そんなシンプルな話ではないでしょう!と突っ込みたくなってしまう。

    後半、マスコミが絡んでくるあたりになると、確かにマスコミの傍若無人さは日々感じていながらも、でも、それだけなの??マスコミには頭の悪い鬼しかいないの??とまで思ってしまい、物語から離れていってしまったんですよね。

    一番読みたかったのはフィクションとは言いながら、当時の少年の気持ちや今現在の生活ぶり、そして思うこと、だったのに、そこが全く物足りない。
    主人公が彼ではなく、彼とたまたま同僚になってしまった青年である、ということを差っ引いてももうちょっとそこらへんを書きこんでほしかったなぁと思います。


    惜しかったかなぁ、もっと読みでのある話になってもよかったのに・・というのが率直な感想です。

  • 薬丸さんの本は「悪党」に続いて2冊目ですが、

    今回の「友罪」は全く違う感じ。




    あの神戸の事件に似ている部分が多くて、自分の記憶の中でも

    衝撃が大きかった事件だけに

    犯人が青年になった鈴木と

    それに関わった益田を始めとする人たちの

    心の葛藤がすごく伝わってきました。




    主役の益田、鈴木、美和子、そして山内もそれぞれに秘密と影を持っていて

    うまくそれらの秘密を繋ぎ合わせてこの話を作り上げた薬丸さん。

    これはすごい小説です。




    決してハッピーエンドはあり得ない作品だと読んでいて思いますが

    このラストは納得できます。

  • 重くて、グロくて、切なくて、優しくて・・・薬丸岳さんには、ずっとこんな本をかいてほしいです。あの事件の犯人はどうしてるのでしょうか?興味本位の結末を考えたコトはなかったです。一気読みでした。

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