震える牛 (小学館文庫) [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • ★4.7

    加工肉と言われる食品を、いただくことが怖くなった。ベーコン、ハム、ソーセージ、好きなんだけど。
    田川刑事の事件に対する勘と、チョイスする言葉は、まさに絶妙だ。
    チョイスされた言葉の謎を解いていくと、事件が白日の元に晒される。
    よくある警察小説というジャンルには絞り込めない、何かがある。
    相場流ハードボイルドというか、日本的に云うなら、相場節とでもいうか、好物になった。
    大好物と云ってよい。
    紙の書物も欲しくなる。

  • 震える牛、終盤になって意味が分かってぞっとした。
    中々骨太の内容で実際にあるかもね、の話しでした。
    ハンバーグやソーセージ等加工肉は食べない様にしようと思ってしまいました。

  • 田川という叩き上げの刑事が主人公。上司の宮田という課長から未解決の事件の究明を頼まれることから、物語は始まる。
    中野の殺人事件。
    矢島というキャリアの初動ミスで迷宮化してしまった事件は、田川の地道で粘り強い捜査で次第に形を成していく。
    田川の手腕と綿密な捜査は読んでいて楽しい。
    食品偽装がテーマな訳だが、そこは深く突っ込んだ感じではなく、巨大スーパーの作った駅前の廃墟化も盛り込み、なんだかよくわからない感じがしてしまう。
    最後の最後であの結末はいただけないので、星を減点。さもありなんという感じだが、小説ぐらいスカッと終わらせて欲しかった。

  • 社会の闇に触れる作品は、意識してなかった見えていない部分を見せてくるのでとても怖い。 感想をブログに書いています。

  • 骨太の社会派小説で読み応え抜群だった。
    社会における矛盾に満ちた構造の中で、正義を信じて犯罪を暴こうとする者たちと私欲のために動く者たちとの攻防戦を描いている。
    大企業が政治の裏舞台に絡む背景や、利権のために暗躍する姿勢、そして自らのプライドを守るために犯罪に手を染める者の心理など、人間の愚かしさについて深く切り込む作品であった。

    終盤では「そうきたか…」と絶望させられる場面もあり、それが逆にリアルで鳥肌が立った。
    それぞれが守りたいもののために必死になって動くのだが、それが正義によるものばかりではないところに人間の悲しみが広がっていた。

    非常に面白い作品であるが、社会問題に関心がない人には読みにくい内容であると思われる。
    ライトノベルのような娯楽のために存在する小説とは対極にある作品であった。

  • 読み応えあり
    最後まで展開していく
    これが小説の力だなと思った

  • 加工肉食品を食べるのが怖くなった。

  • 2023.06.17再読
    田川警部補は、本作ではまだ若い部分あるなあと感じる。その後のシリーズと比較するとイメージとしては眉間の皺が少なく、薄い感じある。
    余談ですが、いくら偉い人でも高級腕時計を公務員が買えば、税務署に目をつけられるということはないのでしょうかね?

  • 相場英雄「震える牛」読了。
    実際にあった食肉偽装事件と狂牛病、架空の殺人事件を絡めたミステリー小説。
    地道な捜査によって関わりのないと思われた人物同士が一頭の牛で繋がっていく瞬間は鳥肌モノにスリリング!
    政治と警察と大企業の思惑が絡んでややこしいけど読み応えのある面白さでした!

    「空飛ぶタイヤ」やこの作品のように実際の事件を扱いながらエンターテイメントとして広く周知させようとする著者の姿勢は本当に素晴らしいな〜〜。
    そして消費者としてももあまりに安いものにちゃんと疑惑の目を持つ知性が必要だと思いました。

  • 未解決事件を継続捜査する部署にいる田川が中野の居酒屋の殺人事件を追う。
    単なる強盗と思われていたが、そこには企業ややくざの思わぬ思惑が隠されていた。
    単なる刑事ものでは終わらず、社会全体に警鐘をならず小説。
    この作家の別の本も読んでみようと思った。

  • (2021/8)メモ魔田川警部補シリーズを最新刊読む前に読み直す。モデルの分かりやすい大規模SCをはじめとしたチェーン店の地方展開による街の画一化と食の安全性を軸にした社会派ミステリ。ぞれぞれの行動原理が結構分かりやすくて入り込み易いが故に、再読でもグイグイ引っ張られる。加工食にはずいぶんお世話になっているだけに、笑って流せない思いが残る。田川警部補の人柄を思い出したけれど、次作も再読して楽しんでおこう。

  • 最後に出てくるBSE
    丁寧に進み
    ちょっとやりきれなさが残り
    面白かった

  • おもしろくて一気読みしてしまった。

    点がつながっていく過程もミステリーとして面白かったけど
    巨大ショッピングモール、利権、デフレ社会などへの社会批判的な部分も興味深かった。

    お金と権力を持っている人(に取り入れる人)が優先される世の中だけども自分の信念は大切にしたい。

    あとこれを読んだ後、食品添加物について調べちゃったりした。

  • フィクションだが、ある意味これがこの国の現実なんだろう。

  • 何度目かの再読。やっぱりおもしろい。刑事っておもしろい仕事なんだろうな。ロートル的な雰囲気を醸し出してる主人公が僕と同い年で衝撃。頑張ろう。

  •  学閥や階級社会である警察の仕事のしずらさがある。広告を得ることで、公平に批判的であることができない出版界の話を聞きます。安い食品のうさん臭さを感じることが少なくありません。そんな中でも、自分の信念にそった行動を貫く人たちが活躍し、事件を、権力を追い込む、緊迫した展開が最後まで続きました。

  • 食品偽装をめぐる殺人事件。これは実際にもありえそうだな!肉、反対!!

  • いろんな意味で震えました。

  • 食品、そして街に対する考え方が大きく変わった。読むのが辛いところもあったが、読んでよかった。

  • すごく面白かった。最後にタイトルとエピローグの意味が判明ように言葉巧みに書かれている。また、すべての登場人物が重要であり、物語の内容をより濃いものとしている。

  • 2年前の未解決殺人事件を
    捜査することになった刑事 田川。
    丹念に手繰り寄せた、うやむやにされた真実とは?

    職人気質の刑事と、執念に燃える記者が
    真相にじわじわと迫ってゆく過程に
    中盤から、こんなにハラハラするなんて!!!

    加工食品の裏側、地方都市の商業問題、政治的な闇。
    息を飲むほどの、リアルすぎる設定が恐ろしい...

  • タイトルに惹かれました。

  • 結構物議を醸した本らしい。

    巨大チェーンスーパーの闇。

    大きすぎる組織は怖い。。

  • 「砂の器」のように迷宮入りした事件を
    ベテラン刑事が執念の捜査で解決する話。
    少しずつ真相が明らかになっていくかんじはとてもよかったけど、
    ラストがちょっとすっきりしなかった。
    エピローグもよくわからない。

  • WOWWOWで1話だけ見ることができたのでみました。ドラマを見ていておもしろかったので原作を読んだのですが。Kindleデビューでサクサクと読めました。ただ・・・・話の内容については期待感が大きかっただけに、ちょっと物足りなかったかな。

  • 推理サスペンスとしての派手さはないですが
    田川刑事が事件の真相に近づいていく過程はとっても緻密で
    細い線がどんどんつながっていく快感があります。

    そして食品偽装という大きな悪が、この小説の大きなテーマにあるだけに
    とてもノンフィクションとは思えず、しばらくファミレスやファーストフード店で
    お肉を食べるのをためらうかもしれません。
    とってもリアルな小説です。

    WOWOWでドラマ化しているので、ここからはドラマを楽しみたいと思います。

  • WOWOWの連続ドラマW枠で今週末より始まる番組の原作。
    ドラマの予告編がすっごくおもしろそうだったので、Kindleストアにて
    電子書籍版を購入してみた。

    ・・・いや、凄い話だ、コレ。
    タイトル通り「牛」、それも「震える牛」がキーワード。コレでピンと
    来る人も居ると思う。若干のネタバレを覚悟で書くが、この作品の中核
    は食品成分偽装、そしてBSE。現実世界でもつい最近話題になったネタ
    であり、更に文章が良い意味で淡々としたリズムを保っている所為か、
    とにかく迫力が半端で無い。読み進める毎に薄ら寒さが増し、背中が
    ゾワッとする。読書でここまでドキドキするのは本当に久し振り。

    正直言えば、設定やストーリーの持って行き方にかなり無理があるのは
    否めない。迷宮入りに近い事件が2年も経過してから掘り下げられるのは
    基本あり得ないし、そもそもこんな大事件が初動捜査のミスで迷宮入り
    してしまうのもおかしい。伏線として振った(であろう)登場人物の
    バックボーンもイマイチ生かし切れていない。

    通常のミステリーと考えれば突っ込みどころ満載なのだけど、この作品の
    圧倒的なリアリティはそのあたりを完全に凌駕する。あり得ない、と信じ
    たいが、作品世界と同様な事が今の日本でも現実に起こっているとしたら・・・。

    ドラマの前に原作、は正直どうかと思ったが、結果的に正解だったかも。
    だって、そもそも楽しみだったドラマが、更に楽しみになっているので。

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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