スノーピアサー [DVD]

監督 : ポン・ジュノ 
出演 : クリス・エヴァンス  ソン・ガンホ  ティルダ・スウィントン  オクタヴィア・スペンサー  ジェイミー・ベル  エド・ハリス 
  • KADOKAWA / 角川書店
3.01
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111245885

感想・レビュー・書評

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  • 極私的ポン・ジュノ映画祭4作目。
    おそらく元からポン・ジュノを追っていた視聴者は、あーポン・ジュノもハリウッドに打って出てこんなふうになるのかー、と期待半分がっかり半分の感情を抱いただろう。
    が、「パラサイト半地下の家族」で元のバジェットに戻ったポン・ジュノが入門になった私にとっては、変な言い回しだが「よき浮気」という感じがする。

    ポン・ジュノの作家性は、単純な構図が語るテーマと、饒舌なディテールが生み出す面白みの、どちらもが結び合いつつ成功していることが作家性だと、これは何度でも自分に対して備忘録として書き残しておきたい。
    そして構図は水平と上下、貧富、持つ者持たざる者、といった意味を孕み、さらにカメラワークと連想している。テーマと手法のマリアージュ。
    本作では思い切って、だか、原作に準じて、だか、水平というか連続する車両の連なりに、上下感覚を置き換えている。
    最下層民が前へ前へ進むにつれて、インフラから娯楽へと車両ごとの性格が、生存から娯楽へとグラデーションしていく……このディテールは、見返しつつメモをすればするほど面白く感じられるだろうよ>未来の自分へ。
    また未来の自分への備忘録をネットの海に放流してみるならば、……お前は以前から見た目や能力値や社会的階層やを、連なるバスの群れに例えて、または生まれ変わった回数という数に置き換えて、僕と彼女は同じ車両に乗っていると言ったり、999車両のうち彼女は前から100両目だけど僕は612両目だからてんでだめ、とか冗談半分に考えていたが、さて本作を見てその思考実験というほどもない思考実験は、どう変わるのかな……と。

    役者について言えば、ソン・ガンホ先輩とコ・アソンが「グエムル」に続いて再度父娘の関係性を演じるのが嬉しい。
    さらに「グエムル」ではやや優等生っぽかったコ・アソンが、本作では父と同じくドラッグに依存している姿が微笑ましい。
    また主演のクリス・エヴァンスは優等生的で面白みに欠けるが、ソン・ガンホとコ・アソンはもちろん、それ以外のティルダ・スウィントンやエド・ハリスらは主役を食いそうな演技を披露。
    彼らのキャラクターは、世界観も相俟って、たとえばジャン=ピエール・ジュネやギレルモ・デル・トロやを思い出すが、……たぶん同時代で、似た文化的経験を経て、そう遠くない文化観を培った人が、同じくそう遠くない動機に基づいて作り上げたキャラクターや話が、似ないはずがないのだ、むしろ。
    こうしてポン・ジュノを見ることでお隣さんの歴史を知ったり、肌感覚を得たり、連想を遠くに飛ばしたりして、いい映画体験をしている、と思う。

    追記。
    Podcast番組「営農とサブカル」で本作の閉鎖系の食料事情やSDGsについて。

  • 面白かったです。
    世界観がたいへん好みです。温暖化を解消するために撒いた薬のせいで冷えすぎて氷河期状態になって滅亡した地球で(ちょっとここ、程度を…とつっこんだけど……)、永久機関と自給自足システムを搭載した列車に乗り込んだことで生き残ってる人たち。列車のそれぞれの車両も、水槽とかで素敵なところも。凍りついてる都市はCGがんばりましょうと思いましたが。
    列車内での階級差別がエグい。しかしありそう。支配者側から日本語が時々聞こえてくるのがなんとも。。
    虐げられている最後尾の車両の人々が反乱を起こすのですが、それも全て仕組まれていたこと、というのがブラックでした。カーティスが慕ってたお爺さんまで、列車の設計者・ウィルフォードと繋がっていたとか。
    永久機関と言いつつ、結局人力か!みたいなところも救いが無くて良かったです。でもこれで、お前が神になれと言われてたカーティスは我に返って…そしてカタルシス。
    救いがあるようでこれからもかなり過酷ですというラストも好きでした。

    ソン・ガンホさんとコ・アソンさんが父娘役で出演されてて『グエムル』大好きなので堪らなく嬉しかったです。アソンさんは目が強くていい。アソンさんの謎能力も。
    ソン・ガンホさんは今回のビジュアルが好きかも…くたびれたかっこよさ。くたびれてても冷静で素敵でした。
    ティルダ・スウィントンさん、小者で醜悪で良かったなぁ…
    俳優さんたち巧みでした。

    誰もが少しずつ狂ってる気がして。20年近く閉鎖空間にいるとああなるのかも。
    とりあえず、しばらく羊羮食べられない。あのシーンはカーティスと同じ顔になりました。。
    綾辻行人さんが「ポンジュノは『スノーピアサー』」とおっしゃってて観たのですが観て良かったです。

  • ハリウッド映画にしては表現がところどころアジア的・・と思ったら韓国映画。でもそのじめっとした感じが、CGの非現実感をうまく現実に引き戻してくれている。
    いろいろ批判もあるようだが、私はこの映画のように、様々な伏線をキッチリと処理する映画が好きだ。
    ラストの持っていき方もいい。閉鎖的な空間で反逆者として立ち向かった主人公が、突如神扱いされた時の戸惑いと空虚さ。だが探し続けた子供の悲壮な姿を見つけた時、妄言を振り切り我に帰る様子。ソン・ガンホもやっぱりいい。エド・ハリスも相変わらずクールだ。

  • 韓国のジャンキー親子と、作り物みたいな雪景色がかっこよかった。

  • ポン・ジュノ監督による「氷河期」をテーマにしたディストピア映画。「列車」という舞台だけを使って物語を進行していくスタイルはなかなか良かった。後の「パラサイト 半地下の家族」に通ずるような生々しい描写も緊迫感があった。

  • 意外といっては失礼だけど、面白かった。
    簡単に言ってしまえば列車ものの生き残りをかけた大スペクタルもの。
    ポン・ジュノ監督の常連役者、ソン・ガンホ が(2013年ってことは約10年前)若くて長髪で一瞬、豊原功補はと思っちゃたよ。
    エド・ハリスは珍しく悪役、最後のあの爆発で主役のカーティス(クリス・エヴァンス)もナム(ソン・ガンホ)も死んじゃうのね。
    あとギリアム(ジョン・ハート)が実は列車の要エンジンを管理している最高峰のウィルフォード(エド・ハリス)と通じてたのは驚きだった。
    赤ん坊を食べるなら自分の腕を食べろと’腕を差し出した人格者だったのに。
    ラストの意味はシロクマが生息してるってことは、氷河期から徐々に脱出していってる兆しと捉えた。

    Snowpiercer 2013年 126分
    監督 : ポン・ジュノ
    出演 : クリス・エヴァンス ソン・ガンホ ティルダ・スウィントン オクタヴィア・スペンサー ジェイミー・ベル エド・ハリス

  • GYAOで視聴。
    ポン・ジュノが欧米キャストで撮るとこういう映画になるんだなあ。設定や展開に無理があり過ぎる箇所が少なからず気になったが、プロットは流石だなあ。俳優陣も新旧あわせて面白い顔ぶれ。ポン・ジュノの真骨頂ではないが、これはこれで面白かった。

  • ポン・ジュノ監督作品なのでネトフリで放映中のドラマと並行して観てみる。こちらは予算10分の1いやそれ以下かな?ただシンプルで面白かった。
    ソンガンホはいい仕事してるし主人公がキャプテンアメリカなのも良い。ドラマ版もこの位イケメンを主人公にして欲しかった。

  • めちゃくちゃ良い!
    ポン・ジュノのメッセージがまるまる詰まった作品。

  • Netflixにて。
    そうゆうこと!みたいなのが楽しい。ラスト良い!

著者プロフィール

1969年生まれ。映画監督。2019年『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、アカデミー賞で作品賞を含む4部門受賞。監督作品に『ほえる犬は噛まない』『母なる証明』ほか。

「2021年 『ポン・ジュノ映画術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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