人間臨終図巻 1 (徳間文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 『ビブリア古書堂の事件手帖珊Ⅲ~扉子と虚ろな夢~』に本書が登場し、興味がわいて手に取りました。

    10代から40代で亡くなった著名人を紹介。当然のことながら、ページをめくっても、めくっても死の話なので、どんよりした気持ちになりました。また、皆さん若死になので、病死は少なく、他殺や自殺が多い印象でした。それもあって、読み進めるのがさらにしんどかったです。

    著名人と言っても、知らない人も多く、自分の知識不足を感じました。

    4巻までありますが、これ以上、私が読み続けることはないと思います。あまり他の人におすすめする気にもならないのですが、何故か「こんな本読んだよ」と話したい気持ちになる、そんな不思議な本でした。

  • 関川夏央の「人間晩年図巻」が好きで読んでいるが、その元になっている、本書、山田風太郎の「人間臨終図巻」を読みたくなり、手にとった。古今東西の有名人923名の死に様を一人一人紹介した4巻構成の第1巻。亡くなった時の年齢順にソートされており、この第1巻では、49歳までに亡くなった方が収められている。
    923人が、それぞれどのように亡くなったのかを書いた本が面白いのか?と普通の人は思うだろうが、読んでみると、これがなかなか面白い。
    何が一体面白いのか、うまく説明できない。言えるのは、人の死に方は千差万別であるということ。それは、生き方が千差万別であることと同じだ。死に方は選べないが、死にどのように向き合うかは、死にあたってどのような態度をとるかは選択できて、そこに、その人の生き方が表れているような気もする。

  • 日本経済新聞社小中大
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    『人間臨終図巻』をトイレで読む 上野千鶴子 死にざまに向けるシニシズム
    2021/8/28付日本経済新聞 朝刊
    トイレに手ぶらで行くことができない。新聞があれば新聞だが、他人の家に泊まるときには困る。「この新聞、トイレに持って行っていい?」と訊(たず)ねることが憚(はばか)られるからだ。


    わたしの家にはトイレ文庫がある。トイレ本の条件は、読み切りの短いコラムやエッセイを集めたもの。さっと切り上げて、出てこられるからだ。おもしろすぎて頁(ページ)をめくる手が止まらず、便座に長居することもある。

    最近のトイレ本のヒットは、山田風太郎の「天下の奇書」『人間臨終図巻』(角川文庫)である。初出は徳間書店の『問題小説』に1978年から87年まで102回にわたって連載されたコラム。単行本化にあたって加筆された人物を加えると、古今東西の有名無名人、山口二矢からピカソまで920余人に及ぶ。現在入手できる角川文庫版は5回目の刊行になる。装丁のグロさはいただけないが、全3巻、各巻500頁超、享年に合わせて「十代で死んだ人々」から「百代で死んだ人々」まで年齢順に配置してある。

    超高齢社会に生きるわたしは享年の高い順から読み始めているが、なかなか夭折(ようせつ)者に至らない。山田風太郎といえば、『戦中派不戦日記』(講談社文庫)の辛辣なシニシズムを思い出すが、人間の死にざまに対しても同じ視線が向けられる。多くは死後、身近にいた人の回想や証言が引用されている。死者に口なし、死は生き残った者に簒奪(さんだつ)される。妻や愛人も故人の愛を独占したがる。たとえば39歳で死んだ太宰治は、古谷綱正からは「世間から放蕩無頼(ほうとうぶらい)と思われ」ながらも「ついにヴィヨンになりそこねた作家」と呼ばれ、先に太宰を絞殺してから入水(じゅすい)したらしい心中相手の山崎富枝からは「愛して愛して治さんを幸(しあわせ)にしてみせます」と宣言される。死というものはどうやら自分のものにはならないらしい。「〇〇の人生は所詮〇〇であった」と断定する敬愛の欠片(かけら)もない追悼文を、これまでどれだけ読まされてきたことか。わたしの時には誰が何を言うだろう。

    なら、山田自身の「臨終図巻」を書く者はいないのか? 山田に私淑した作家、関川夏央が、山田の衣鉢を継いで『人間晩年図巻』(岩波書店)を書き継いでいる。そこに山田も登場する。2001年に79歳で亡くなった山田は「アル中ハイマー」と自称するほどの大酒飲みで、晩年パーキンソン病の闘病中に肺炎で亡くなった。関川の筆にはこの「天才老人」への哀惜が溢(あふ)れている。

    (社会学者)


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  • 若くして亡くなった人が載ってるので、全体的に壮絶だったり悲壮だったり無念感たっぷり
    濃い人生の最期が詰まってます

  • ・8/1 読了.なかなかまとまって著名人の臨終の様子を知ることは無かったけど、何巻もそればっかりを臨終時年齢で整理してまとめた著者は余程の物好きなんだろうね.歴史に名を遺す人物は総じて穏やかな死を迎えた人が少ないという感想を持った.

  • 古今東西世界中の有名人の臨終シーンがあります。
    1巻は10代~50歳まで。凄絶なのと貧困の中でと言うのが多かったのは、若くしての死だからだろうか?
    この人、あれだけの業績があるのに、こんなに早く亡くなってたんだ。という人が多かったです。

  • 15歳で命を落とした八百屋お七から、121歳で亡くなった泉重千代まで。古今東西の著名人293人を享年の順に並べ、それぞれの人生と臨終のさまを書いています。
    全4巻なので1巻(今読んでいる2巻も)に出てくる人はみな病死(結核、癌、脳溢血、心臓麻痺など)か戦死か刑死です。

    山田風太郎ですから、とても面白いですし、「こんな有名人がこんなにも若い時に成果を出してお亡くなりになったのか。それに引き換えて自分はだらだらと生きているなあ(自分の人生ナイス!)。ありがたいなー」と思ったりします。

  • 新年早々人の死に触れるような内容だが、
    セールでお安くなっていたこのタイミングで、
    電子書籍にて読了。

    まずは今の自分と同じ年齢から読み始めてみたが、
    なんとも感慨深いものがあったり。
    死に様は、それまでその人が生きてきた人生の集大成とも思える部分が多いことにも気づかされる。
    残りの巻も是非読みたい。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田風太郎の作品

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