ドグラ・マグラ(上) (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
3.59
  • (7)
  • (12)
  • (10)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 294
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (308ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「日本三大奇書」「読んだら精神に異常をきたす」に惹かれて購入した1冊。表紙のようなエログロな異常さはというより学術論文っぽいような印象を受けた。主な登場人物は記憶喪失の男とその許嫁と九大の精神病学者×3で、現実世界より読み物や映像がひたすらに再生される。とても理解しきれないけど、気づきと達成感は感じて面白い。
    最初は概念的な話と記憶喪失の男が自分を探るばかりで、ぼやーっとしていたけど、徐々に事実に向かっていそう。若林先生なにしてる??で終わった上巻だが、結末が楽しみ。ドグラ・マグラはまさしく本書のこと?

    以下は作中の文書まとめ。
    ・キチガイ地獄外道祭文:正木先生が配り歩いた。現代の精神病患者の裏事情・インチキ治療、解法治療について。
    ・地球表面は狂人の一大解法治療場:記者とのインタビュー記事。なくて七癖、あって四十八癖。
    ・脳髄はものを考えるところにあらず:記者がかいた「脳髄論」の記事。脳髄で脳髄は考えられない、細胞ひとつひとつで考えている。脳髄は反射交感で細胞で感じたことを全身に伝達しているだけ。機能しなくなると夢中夢行する。※脳髄論:正木先生が2~3週間で書き上げた学位論文。
    ・胎児の夢:正木先生卒業論文、なにが胎児をそうさせたか(=胎生の順序を決定しているか?)。夢は細胞自身の意識の内容の脳髄に対する反映であり、先祖代々進化の夢を見て胎児は人間のかたちになる。
    ・空前絶後の遺言書:正木先生の遺書。下巻に続く。

  • 本作の感想なんて書けません…。
    読み終わった後に残っていたのは、疑問符と達成感でした。ぜひ。

  • 表紙でアヤシイ本なのかと思う。実際怪しいが、表紙のようないやらしさは全くない。全体を通し難解であるが、ところどころに分かりやすい個所があり、理解した気分で読み進めていくとどんでん返しという形で分からなくなる。読み終えることに重きを置きすぎてしまったのかもしれない。また一からと思うと途中のあのちゃかぽこに心挫かれそうだ。単純な感想は、美しい青年や少女が狂うというのは通常のそれより一層狂気的で本当に美しい。

  • 東西ミステリーベスト国内4位、表紙絵だけは何とかした方が良いのでは?▲昭和十年一月、書き下ろし自費出版…狂人の書いた推理小説という異常な状況設定…これを読むと一度は精神に異常をきたす…▼「ブウウ──ンンン──ンンンン」まさに音が聴こえてくる小説。各章を連作短編のつもりで読み進む「心理遺伝」「脳髄論」「胎児の夢」と風呂敷が広がる広がる。これが噂の「チャカポコ、チャカポコ…」なのか!事前に著者作品を4冊履修しただけあって、読める俺は読めるゾ‼すべての準備は整った「空前絶後の遺言書」でどう繋がる⁉(1935年)

  • 大正末期、昭和初期の舞台ということで、昔の日本を知らないと理解できない事柄が多い。
    この時代の精神医学の論文の文体も現れる。
    古い中国のストーリーも現れ、和訳されている設定とは言え、漢文調の文章も難しい。
    流し読むだけでも大変。辞書が手放せない。
    しかも。
    過去を理解しようとする主人公に与えられる情報源が次々に現れ、一度蓄積された情報も、多重化された情報により、後から何度も翻っていく。
    そして、文章はとにかくかなり冗長で長く、遅々として進まない。
    苦しんで読み続けてなんとか上下巻を読了したものの、結局全体の結末において、一つのストーリーとしては理解できなかった。

  • 記憶喪失の青年が閉ざされた部屋で目覚める
    少し前の記憶も自分が何者なのかもわからない

    食事は与えてもらえているため、配膳時に自分が何者かを知るために声をかける 
    医者らしき人物に自分で自分の名前を思い出さないとこの研究は完成しない旨を聞く

    思い出す手伝いとして資料室のようなところに連れて行かれ、物や書物を確認する
    ここは九州大学の研究所だとわかる
    自分は何者なのか…

    内科、外科など目に見えるところの医学はあるが精神の医学はそれほど発達していない
    思考がおかしいものは祟りなど科学的ではない治療が行われている

    脳で考えると思われているが、
    脳は考えるところではなく、
    各細胞が考えたり思ったことを繋ぎ合わせる箇所だという考え方が面白い

  • この白昼夢!
    清順監督がカメラを撮ったらどんな作品になっただろう。

  • 取り敢えず(上)を読了したけど難しい。
    なかなか頭に入って来ない。

    挫折しそう・・・

  • 俺にはレベルが高すぎた

  • なんて哀しい物語。
    久々に胸を抉られるようなお話に出会えました。

    主人公の血統の1000年に渡る心理遺伝が物語の中心であり、守るべき名誉の為の記憶喪失さえも、それからは逃れられない。

    産まれてくる子供に罪はない、ただ遺伝子に罪の痕跡が現れる。
    過去の復讐に人はただ無力である。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夢野久作の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×