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感想・レビュー・書評
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ヨーロッパにおける傭兵の歴史を書いた本。著者は日本人なので日本との対比はたまに出てくるが、中国とかは皆無。ヨーロッパに限った話でもそれなりの分量はあるため、これで減点をするつもりはないが、タイトルに「ヨーロッパ」や「西洋」なんかは入れても良かったのでは。
現代に生きる感覚からすると、国民軍こそ主で、傭兵は副に思える。しかし歴史を紐解くと、そうとも言えない。むしろ傭兵で戦うのが一般的であり、国民軍ならぬ市民軍こそが例外的存在なのだ。一般市民にも武装を揃えるだけの財産があり、守るべき土地を持っている。そういった基盤があってこそ市民軍は成り立つのだ。
市民軍が成り立つ条件を考えると、傭兵がメインになった理由も頷ける。富は貧しい者から豊かな者へと流れ行く。何かしらの大事件が無い限り、格差は広がってしまう。そうすると、富裕層も貧困層も市民軍となるのを嫌がる。富裕層は金で解決できるなら、わざわざ自らを危険に晒したくはない。貧困層は守るべき財産を持たず、装備を自分で整えることはできない。なので命と金を交換するインセンティブが、両者に働く。富裕層は金を支払うことで貧困層を戦わせるのだ。
現代では傭兵は一般的ではない。しかし、志願兵と資産の関係を考えると、今も傭兵が一般的であるのではないか。違うのは傭兵の調達先が自国民であるということ。そう思えてならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示