ロマンス小説の七日間 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
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感想・レビュー・書評

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  • 作中のロマンス小説、本当は翻訳家の主人公が翻訳すべき物語だが、そのストーリーに飽き足らず自ら創作してしまうロマンス小説が、とても面白かった。ただ運命に流されていく女領主ではなくて、自らの決断と行動で切り開いていくのがいいじゃん、と思った。そんな風に創作したいと思った主人公の翻訳家と恋人との関係も、「あるある」だなあと思いながら読みました。

  • 作中のロマンス小説と、実際の恋愛小説があまりうまくかみ合わなくて、どちらも消化不良な感じが続いたけど、ロマンス小説については、翻訳者が創作した展開がとても興味深かった。

    三浦しおんさんのエッセイ的なあとがきに少々びっくり…小説家と言えども、普通の人間なんだと妙に納得してしまった。

  • おもしろかったなぁ。
    翻訳家であるあかりの日常と、翻訳中のロマンス小説のストーリーが交互に進む、今まで読んだことのないスタイルがとても新鮮で、一冊で二つの物語を読んでいるようなお得な気分にもなれた。

    現実世界でのあかりの気持ちの浮き沈みが小説の翻訳に影響し、勝手にどんどん創作してしまい自分でも止められない。
    読んでいるこちらまでどこか後ろめたいような気持ちになり、これからどうなっていくんだろうとスリルも満点。

    どちらのストーリーも中盤あたりから勢いを増してきて、このまま続きが読みたいというところでもう一方の物語へ移り、またそちらに引き込まれていったところでもう一方へ移る、といった具合でだいぶ弄ばれました。
    現実のどこかライトな感じと小説のどっぷり感との重量差?も良かった。

    登場人物のキャラがみんな濃く、リアリティを感じる話というよりは自らそっちの世界に入っていって読んだ感が強かったけど、あかりの「共に過ごした時間の長さと、互いへの理解の深まりとが、必ずしも比例しないのはなぜだろう」という言葉にはうんうんと共感した。
    時間ではなく過ごし方なんだろうなぁ。

    よくよく見たら15年以上も前、20代のときに書いた作品のよう。
    あとがきも面白く、三浦しをんさんをますます好きになりました。

  • ふたつの物語を一度に読めたと思えば得した感じという本編はさておき、著者によるあとがきがとってもよかった。三浦しをんさんの人柄がでていて自然体の文章という気がしてとても好感が持てた。

  • 現実と物語の中がいったりきたり。
    読後は満足感あり。

  • 結婚など将来を約束しないまま、神名とつきあっている翻訳家のあかり。締め切りに追われながらロマンス小説を訳している間にも、恋人の神名との世界が変わり始める。
    いやー、翻訳していたのに自分で創作を始めるって。いきなり死んだ夫の忠臣にまたがるとか、無茶しすぎです……。私はてっきりシャンドスはマリエといい仲になると踏んでいたのに!(どうでもいい)
    たまたまハーレクインをどっさり読んだばかりなので、なおさら楽しめた。
    願わくば、神名がちゃんとあかりの元に帰ってきますように。

  • おもしろかった
    七日間の間に、仕事とプライベートが嵐のように吹きすさんで、果敢にも挑もうとする主人公が、踏ん張ってるのか、流されているのか。。。
    その迷走が、物語の中に反映されていく
    圧倒的な力を持つ事象にもがいてもがいて、抗いきれるものではないけれど、そうしていくうちに、嵐が過ぎ去るのを凪いだ心で見送れるのだろう
    それは、諦観ではなく、前向きな楽観
    多分
    そんなきがする話でした。

  • スナフキンの一説に涙した。

  • 重くて長い本に疲れたので、その合間に軽いのを読もうと手に取った本だが、思いの外楽しめた。

    いきなり中世の騎士と姫のロマンス話で、なんじゃこりゃと思ったが実はそれを翻訳する主人公女性のロマンス話。その女性のロマンスの進展で翻訳も適当になって..というところはめっちゃ面白い。お伽話とリアルの微妙な展開。

    ロマンス小説は本の厚さが決まっているので、翻訳者が適当に訳すところもあるのよ。とうそぶくところがあるが、ハーレクインとか本当にそうなのかな?

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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