田中ロミオの世相を斬らない

感想・レビュー・書評

[ferhoさんの感想 · 2021年8月30日]

エロゲとエロゲ制作をネタにしたショートショート集

対象とする読者は少ないがハマる人はとことんハマる本。
とある話でアダルトゲーム雑誌に言及するのだが今では全て休刊していて時間の流れを感じる。

[放浪者さんの感想 · 2019年9月16日]

かつて月刊アダルト雑誌『PC Angel neo』にて連載されていた、田中ロミオ氏のコラムを単行本化した作品。エッセイというより、エロゲーネタを絡めたショートショート集である。数々の名作18禁ゲームを世に送り出してきた著者であるが、ここでもその才覚が遺憾なく発揮されている。ジャンルは氏が得意とする不条理劇からSFまで多岐にわたり、星新一や筒井康隆の読後感に近い。カンボジアへの教育援助として誤って日本のエロゲーが送られてしまう『国際ポルノ支援』や、古代ローマを舞台にした『パンとサーカスとエロゲー』、ポルノの所持が違法化された未来の日本を描く『エロゲー購入ガイド』など、いずれも奇想天外なアイディアを巧みに消化している。また長編『AURA〜魔竜院光牙、最後の闘い〜』の原型となった同題作も収録されているので、気になる方は要チェックだ。業界の裏話や自伝的秘話はもちろん、氏の博覧強記ぶりが垣間見れるなど絶版即価格高騰も納得の読み応え。エロゲーと聞いただけで拒絶反応を引き起こすような読者でなければ、万人にお勧めしたい良作である。