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感想・レビュー・書評
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「お金を出してもコメが買えなくなり、ハイチなどでは死者が出る事態となったのである」
と書くが、買えているし、死者が出たのは暴動が原因で飢餓ではない。
思った通りのクオリティでございます。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/491107820.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
欧米各国の食料自給率が高いことや輸出力があるのは、政府による戦略であり、日本の食料自給率が低いことはアメリカの支配を受けた結果であることがよくわかる。
日本では、スーパーなど大型小売店同士の競争が激しいため、小売価格の引き上げが難しい。パンや麺類では、メーカーの取引交渉力が強いので、原材料の価格上昇時に小売価格に反映させることができる。牛乳では、スーパーがメーカーに対して圧倒的に優位な立場にあり、酪農家はメーカーに対して比較的優位なため、原料価格が高騰しても牛乳価格の値上げは起こりにくく、しわ寄せは酪農家にのしかかる構造がある。
牛乳は、日本では120~150℃、1~3秒の超高温殺菌が大半を占めるが、アメリカやイギリスでは、72℃で15秒から65℃で30分が大半。超高温殺菌では、ビタミン類が最大20%失われ、有用な微生物が死滅し、タンパク質の変性によりカルシウムが吸収されにくくなる。
日本の窒素収支(1997年)
国内生産食・飼料 51万トン
輸入食・飼料 121万トン
化学肥料 49万トン
作物残渣 21万トン
家畜糞尿 80万トン
加工業 15万トン
食生活(屎尿・生ごみ) 64万トン
アメリカにおける作付け面積でGM作物が占める割合は、トウモロコシ88%、大豆93%、綿花94%。モンサントはGM作物の商品開発では他社を圧倒している。世界全体で栽培されているGM作物品種のうち、モンサントが開発したものは、大豆で93%、トウモロコシで92%、綿かで71%、菜種で44%。日本国内のGM作物の割合は、大豆75%、トウモロコシ80%、菜種77%。アメリカ人の主食である小麦はGMにしない方針を頑なに守っており、世界で小麦の遺伝子組み換えが認可された例はない。
ISD条項の判断を下す投資紛争解決国際センターは、歴代総裁はアメリカが占める世界銀行の傘下にあり、訴訟ではアメリカに有利な判決が出される。
韓国は韓米FTAの交渉開始するために、GM食品の受け入れ、アメリカの病院の参入を認める医療特区、輸入牛肉条件の緩和を認めた。韓米FTAには、TPPで問題になった事項がすべて入っている。
欧米諸国の食料自給率や輸出力の高さは、手厚い戦略的支援によるもの。農業生産額に占める農業予算額は、欧州では4~8割、アメリカ6割に対して、日本は3割弱。農業所得に占める政府からの直接支払いの割合は、欧州では9割以上、アメリカは5割前後だが、日本は15%。農産物の平均関税は、EU19.5%に対して、日本は11.7%。EU各国では農業所得の95%が補助金だが、日本の農業所得に占める補助金の割合は20%に満たない。 -
ちょっと本としての構成はあんま好きじゃないけど、日本の置かれている農業の現状を統括的にまとめてくれてる本。
TPPやこれからの世界での武器になる穀物の話、各国の補助金の話、モンサント社とか遺伝子組み換えの話、
その場の利益だけじゃなくて、長い視点で。
こういう分野に絡んでいきたいなと思える1冊。