心は孤独な狩人 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」。
    完璧な小説。小説というジャンルに、これ以上の仕事はできないと思わせる、そんな長編。
    アメリカ南部の、名もない工場町の1年を描く。登場する5人は、ろうあ者、黒人、極左、極貧一家の娘、少女愛者。つつましやかな生活を送りつつも、みな内面は鬱屈しており、あやしい均衡を保っている。
    なにかの拍子に日常の安楽から逸れて行きそうな彼らを、ギリギリ線路上にとどまらせているのは、ろうあ者シンガーとの返事のない交流だった。破綻は、ささいな出来事からはじまる...。

    20世紀的な、交換可能な没個性の市民を描写しながら、実は神話を書いている。そんな印象。
    本作は新訳が刊行されず、中古市場にも滅多に出回らないことから幻の傑作となりつつある。15年探した。この小説が読めない現状は、不幸だと思う。

  • 中学か高校の時に読んで、深く感銘を受けた本。読み直したいと思って探しているが、既に廃盤となっており、中古はびっくりするくらい高価。どこかの出版者で再販をして欲しいが、少なくとも村上春樹のような意訳はやめて欲しいです。

  • これねー。良かったんです。
    うんと仲良しさんにしかその存在を教えてあげたくない、ってくらい。

    主人公のシンガーは、唖ゆえに周りの人々から各々の”自家製の神”役を押し付けられ。
    (「白痴」のムイシュキン公爵を彷彿とさせます)
    そして---------------

    ラストの始まりからラストの終わりまでが
    じっくりと書き込まれていて、そこは
    作者のためでも登場人物のためでもなくて
    読んでいる私のためで、とても居心地が良かった。

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