孤独と不安のレッスン (だいわ文庫) [Kindle]

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  • 大和書房
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  • 『いつもメールを送ったり受け取ったりしているのは、「一人は嫌だ。絶対に一人にはならない。一人は淋しい」という気持ちをずっと持ち続けていることです。それは、ちょっとでもお腹がすきそうになったら、すぐに何かを食べる人と同じじゃないでしょうか。』

    思いがけない別れで、毎日とっていた連絡が途絶えてしまって、自分の生活の一部が欠けてしまったような空虚感と不安を感じていた。そんな時にこの本を読んで、誰かと定期的な連絡を取っていないのはごく自然な状態だと肯定してもらえたような気がして救われた。目に見える形で繋がっていなくても、心が通じている味方がいれば十分と思えた。

    他人と他者の概念が興味深い。他人、と切り離すのは簡単だし傷つかない。自分に良い意味でも悪い意味でも影響を及ぼしうる他者、との関わりを通して成長していくというのは納得だし、気付きでした。

    1月以来、2度目の読了。悩みや不安がある時に背中を押してくれるような本だと感じています。

    忘れないようにメモ書き
    不安や苦しさに押しつぶされそうなときに備えて人間とは関係ない気を紛らわせる方法を持っておく、お土産を忘れても許して支えてくれる人を2人持つ

  • 孤独には「本当の孤独」と「ニセモノの孤独」がある。

    私も学生時代は一人でお弁当を食べたりするのが恥ずかしくって、誰かと一緒にいようとしていたな。
    1人の状態が哀しいといって他人を求めるのが本書でいう「ニセモノの孤独」。

    そんな私も大人になって、「一人はみじめではない」を思えるようになり一人の時間を過ごせるようになった。
    「自分が本当にしたいこと」へ導いてくれるのが本書でいう「本当の孤独」。
    「本当の孤独」は自分を深い対話をして、本当の自分の気持ちや本当にしたいことに導かれ、びっくりするほど豊かな時間をもたらす。

    人間は一人でいる時に成長する。

    不安には「前向きの不安」と「後ろ向きの不安」がある。

    「前向きの不安」は、自分自身にエネルギーを与える不安。
    「後ろ向きの不安」は、自分自身を振り回す不安。自分の想像力が自分を一番傷つける。

    不安に対処する方法は、まず「考えること」と「悩むこと」を分けること
    「悩む」とただ時間が消えていき、「考える」は時間をかければ何かが残る。
    ぼんやりとした不安が頭のなかをグルグル渦巻いている状態が「悩むこと」。
    だからまずは何に悩んでいるのか、その対象を具体化することが大切。
    悩んでもどうしようもないことは悩まないと決める。

    孤独が解消できなくて、劣等感で来るしかった時期に、本書があればもっと早く暗闇から抜け出せたかもしれないな。

  • 孤独とどうむきあって不安とどう付き合うのか
    寂しさや不安との向き合い方だけでなく、
    自分と他人の付き合い方がわかりやすく書いてあります。
    そもそもどうして孤独を寂しく感じてしまうのか、鴻上さんの本は不死身の特攻兵や同調圧力など読んでいましたが、この本は若い人でも読めるように日本人の特徴や社会背景、文化的なこともからめてその原因をやんわりとわかりやすく書いてあります。
    正しい孤独は寂しく辛いことではなく、豊かなことだと思いました。読んでいてとても共感できる内容ばかりでした。
    孤独に感じたときにまた読み返そうと思います。

  • 不安と孤独のレッスン、全然やっていないことに気付かされた。その場しのぎでやり過ごし、不安と孤独から逃げていた気がする。もっと自分と向き合わないといけない。けど自意識過剰もいけない。レッスンをしなくては。

  • 孤独には「本当の孤独」と「ニセモノの孤独」があり、不安には「前向きの不安」と「後ろ向きの不安」がある。本当の孤独は、前向きの不安は生きるエネルギーを与える。

    一般的に忌み嫌われる孤独が、かっこ悪くて、恥ずかしくて、耐えられないものなどでは決して無いということを語った本。

    一番大切なのは「自分は本当は何がしたいんだろう?」という声をきちんと聞くこと。1人の状態が哀しいといって他人を求めるのがニセモノの孤独で、そうではなく「自分が本当は何がしたいのか」を自分自身にきちんと聞くのが本当の孤独。

     本書の論旨は上述の通りで、優しい語り口もあってすっと入っていける。孤独と不安のつきあいかたのレッスンに加えて、最も喜びをくれる相手こそが最も激しい苦しみをくれることを語る【「他人」と「他者」の違いを知る】など、広い意味で「人との付き合い方」を語っているのが良い。
     自分自身は孤独である期間が長かったので孤独には慣れていると考えていたが、振り返ってみると大半はニセモノの孤独を解消しようとしてもできなくて思い悩むことばかりだった。孤独が解消できなくて、劣等感に苛まれて苦しい時、本書があったらどんなに良かっただろうかと心の底から思った。

    一つ疑問があるとするなら、「一人暮らしと恋愛の関係を知る」。これはおそらく女性に向けて書かれたものと思われるが、男性には適用できるのか、説得力に欠けると感じた。また、恋愛は必ずしも万人ができる類のものではないのだから、恋愛をするように勧めるのにも違和感があった。
    (他人ではなく他者を作るために恋愛をするのだという論旨であれば理解はできたが、本節では恋愛と他者に触れられていなかったのが残念。)

    とはいえ、本書はそういった疑問を差し引いても十分に魅力的な本であり、一気に読んだ。
    「今ある自分がメイン、あるべき自分はサブ。苦しんでいる人はこれが逆」
    「空気が読めない人は、ワガママではなく自分のことをだけを考える状態に陥っている」
    などなど、孤独と付き合うためのTIPSも多くヒントになる。身体へのアプローチについても
    言及があるのは素晴らしい。

    「死なないこと」。
    本書で孤独に悩む人々に対して、筆者が言いたかったことはあとがきのこの一言に集約される。そのために筆者は孤独と不安について語ったのだと考えている。

  • 2006年の本らしいが、全く古びない内容だなと思った。-人間は、一人でいる時に成長するのです。(p.45)
    -考える場合は、時間が過ぎたら過ぎただけ、何かが残ります。それが結果的に間違ったことでも、とりあえず、何かやるべきこと・アイデアが生まれるのです。そして、その何かをしている時、不安は少しおさまるのです。(p.104)
    -やっかいな存在=『他者』とどうつきあえるかが、その人が成熟しているかどうかのパロメーターだと僕は思っているのです。そしてそれは、別な言い方をすると、自分の不安とどううまくつきあえるか、ということなのです。『他者』とうまくつきあえる人は、自分の不安ともうまくつきあえるのです。「前向きの不安」を生きられる人です。そして、孤独とも。   もちろん、何度も言いますが、つきあい方の正解はありません。それは、『孤独と不安』をどうしたらいいのかということに、たったひとつの正解がないことと同じです。(p.148)

  • 孤独は、もう慣れてるよ!って思っていた3年後に。すごく孤独というか喪失?を感じる経験をした。それだけ存在が大きかったし、それだけ大事だった。 ただ元の孤独に戻っただけなのに数ヶ月苦しんだ。 今は孤独を楽しむようになった。 もうこうゆう経験は、要らないからもう人を心から愛する事はしたくないなと思った。 もっと穏やかに、自分らしく、好きな事しながらたまに仕事して、好きな場所に好きな時に旅に出て、気の合う仲間とたまに会って。くらいが僕の人生にはちょうどいい。
    今は孤独とも感じないし、すごく心が満たされた時間を丁寧に過ごせてる。 それが僕の幸せだと思う。

  • 孤独な人、道に迷っている人に温かくしっかり答えてくれている気がする。

  • 「今ある自分」と「なりたい自分」

  • 【印象に残った話】
    ・1人でいてもいいはずなのに、私たちが1人でいることをみじめだと思うのは、日本人にとって「世間」が神だからだ
     ・個人主義の浸透によって、これまであった共同体が壊れかけているが、神は神なので逆らうことはできない、というところに我々は違和感を感じている
    ・不安に対処する方法は、まず「考えること」と「悩むこと」を分けること
     ・ぼんやりした不安が頭のなかをグルグル渦巻いている状態が「悩むこと」なので、まずは何に悩んでいるのか、その対象を具体化することが大切
     (例)漠然と進捗が遅れる不安があるとき
      遅れの原因と対策を深堀して考える
      顧客のデータ提供遅延や、システムの品質劣化、等
    【アクションプラン】
    ・悩んだら、悩みの対象を具体化する

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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