- Amazon.co.jp ・電子書籍 (233ページ)
感想・レビュー・書評
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普通の感覚を文に誠実に表すのが上手い方という印象を持った。
幽霊が視える人に憧れを持っていたというエピソードを読んでいても、「俳優の才能がある」ことも霊感があることに匹敵する才能なんだよなと更に強く感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やさしい頑固者。堺さんの書く文章から、そんな人柄が見てとれた。
断定することも否定することもない、やさしい文体とことば選び。そこに時折顔をのぞかせる、ささやかなこだわり。それは時に笑いを誘い、切なさを呼ぶ。
「演じる」ということへのひたむきさ、「役」と向き合うまっすぐな眼。俳優・堺雅人の魅力は、このたゆまぬ精進とゆるやかな向上心に裏打ちされたものだと思う。また折に触れ“文・堺雅人”の世界を覗いてみたい。 -
俳優、堺雅人さんのエッセイ。
読んで一番最初に感じることは、演技も文章も上手いってズルいなぁという嫉妬。
俳優のエッセイって何気に初めての読書体験。
まずは、文章や言動から、凄く学がある人だなというのが分かった。ところどころ演劇学の著名な作品からの引用もあったりして、自分も勉強になりました。
和訳されていない洋書の演技指導の本を読むなんて…
俳優としての堺雅人としては、「驕らない人」というのが彼への印象になった。悪い言い方をすると「小心者」というか。
俳優という仕事や演技に対して特別視をしていないんだと思う。
凡人なりに、何とか演じようというその「足掻いている」感じがあーいう演技になっているのかなぁ。
共感できるところも多かった。
言語化がウマイよなぁと思う。明治が好きっていうだけで、その理由を下記のような素敵な表現はできない。
『僕が〝明治〟にあこがれるとき、明治人のもつ生々しさを都合よくわすれてしまうものなのかもしれない。』
逆に、自分にはこの考えは合わない、無理だなと思うところもあった。
『「何度もみかえす、大切な作品」 であっても、「アハハとわらって、そのあとすっかりわすれてしまう、ただのヒマつぶし」 であっても、おなじくらいうれしいからだ。』
自分は、自分の生み出したコンテンツは大事にされて欲しい。もちろん、読まれただけで大感謝だけども。目指すべきはそこだと思う。
そういう肩肘張らないところがあの演技をできるところなのかもしれない。 -
初めて読んだ著者の本。こんな筆のたつ俳優だったとは知らなかった。
まず、著者自身のスタイルがほぼ確立している。文章のリズムや比喩の使い方、漢字とかなの使い分け、等々。つい「たかが俳優の素人文章なのに、此処までコダワルのか?」と悪口の一つも云いたくなるが、それでもついつい惹き込まれてしまう。
それはたぶん、著者自身の視点や感性のユニークさによるところもあるのだろう。
読んでいて「コレはオレには書けない」「こんな発想、したことないぞ」「どうすりゃこんな比喩を思いつくんだ?」等々と思うような(そして何となく悔しいような)発見や驚きが少なくないのだ。
彼が出演したテレビドラマ「半沢直樹」や「リーガルハイ」、大河ドラマ「篤姫」や「真田丸」等はいずれも良く出来たドラマだったし、その魅力を大きく支える中核の一つが、出演した彼の演技の力であったこと、間違いない。事実、どれもそう思いながらリアルタイムで観ていたのだ。
その彼が、こんな文才も併せ持っていたとは驚きだ。彼の手になる別の本も是非手に取って読んでみたい。 -
まるでたくさんの残火がもう一度盛大に燃え上がるのを待っているような、不思議な雰囲気だった。お祭りの後の余熱のような一年。
ヒゲを伸ばし始めて、体重は変わっていないのに、「やせた?」と聞かれることが増えたという。
役づくり。
同じ作家の別の作品を読む、言葉の意味を調べる、セリフをつぶやいてみるみたいないかにもなものから、共演する人の顔を思い浮かべる、台本を開いてぼーっとしているとかも役づくりとしている。
運、鈍、根。
うまくいくタイプ。 -
俳優、堺雅人さんのエッセイ。軽い感じで読めて、それなりに面白い一冊です。ただ、文体というか文章に平仮名が多くて、私はその辺りがちょっと読みにくく感じました。
内容的には、薀蓄っぽい話が随所に出てきて驚きます。失礼を承知で申し上げれば、ゴーストライターじゃないか?っていうのが最初の感想です。他の書籍や古典からの引用がそれくらい多い。でも、対談とか読むと相当な勉強家のような気もします。ご本人も読書家で、月1の連載を纏めているということなので、それなりに調べて書かれているのかもしれませんが。。。