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- / ISBN・EAN: 4988142977526
感想・レビュー・書評
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愛を読む人
レイフファインズってどの作品でも「憂いを帯びた寡黙な人」って印象です。あんまり笑っている所も見たことないような気がする。
58年だと冷戦真っ最中ってとこかな、切手収集って趣味は世界的なもんだけど、彼のコレクションの中にハーケンクロイツの切手が伺えるのは、この物語の舞台や時代を匂わすスパイスですね。良い感じです。
十代だと女性の着替える姿なんてとても刺激的でそれを覗くなんて背徳感ありますね(笑)家庭内で使う燃料が石炭だなんて…これまで見たことないです。敗戦後10年以上も過ぎたドイツの国情が窺い知れるようなシーンです。街並みにも傷跡が散見されるので苦しい時代だったんでしょうねぇ。
部屋の一角にバスタブとシャワーを設置しただけ…風呂入るごとに部屋中湿気で大変だったろうな…
チルデンニットにスイングトップ…この年代のドイツってアイビースタイルが一般的なんだね。世界的にそうか…デニムが一般化したのは60年代入ってからだから、まだカジュアルウエアって無くてワイシャツにスラックスがベースの時代ですもんね。
彼女は30 前後彼はハイティーン…そんな二人の恋愛は複雑な心境が乱れあって然るべきだろう。子供には少し疲れた大人の女の気持ちは難しくて当然か…
そこからの展開は青年の夢想する世界だな…本を読んで、抱き合って…知的であって肉欲的でもあって…憧れる(笑)まだテレビが普及する前の時代だから本が娯楽の主役だった頃か…良い時代だったんだろうなぁ〜
ドイツの郊外、草原が広がる場所って「大脱走」を思い出します。ドイツは森の国だけどね。
字が読めないのか…そして、ナチス親衛隊として働いていたのか…主義信条がナチスに傾倒していたというよりは、単に働き口として就職していた…という感じだが、言われるがままに仕事として成してきた自身の行いを問われる…キツい戦犯裁判だな…
講堂で生徒たちに先生が語る「法とは」なる講釈がとても面白かったです。
「仕事選びが間違ってたんでしょうか?」このシーンは非常に印象深かったです。彼女にすれば単に送り込まれてくる人員を受け入れる為に、先にいた何人かを選別して他の場所へ移しただけで、この人を殺すとか殺意があったは訳ではなく、単純な作業でしかなかった…ユダヤ人を虐殺したのはナチスだけど、収容所で働いていたドイツ人たちはあくまでも労働でしか無く、上からの業務命令に従っただけ…それを戦犯と断ずる裁判だと分かっているけど、当事者たちには物凄い温度差があります。
彼女の親切…ここもスゴイ…胸が締め付けられる…主人公とのこれまでの経緯ともリンクした。彼女の動機がここからの焦点だろうな。めちゃくちゃ面白いです。
彼女の裁判、彼女の判決に対して、何も行動しなかった。そんな自分の内面に対する葛藤…車内が暗転するとそれから数十年後の現代に戻って…上手い演出で驚きます。そこからの展開も良かった。
裁判では何もしなかった…何か出来たはずでもしなかった。葛藤があった。若かった…
ずっと考え続けてきた末の行動で光がさしたけれど、ハグもキスもない距離感のある再会にはこの物語が生半可なものではない闇と共にあるんだと思い知らされる。子供の頃の思い出を美化していた…それは側面でしかない。それだけじゃ割り切ってはいけない深淵が横たわっている。会わないでいた方が幸せな気持ちのままいられたように思う。過去という残酷な記録に打ちのめされた。僅かに抱いていた希望が崩れ落ちていった…
人生にはどうしても拭うことのできない記憶があるんだね。
彼女はどうしてそこまで文盲を隠したかったんだろうな…
被害者と加害者…決して分かり合えない関係性を甘さを排除してスッパリと描いていてとても良かった。この映画の主題は「罪」なのではないだろうか。善も悪も有ったわけじゃないけれど、犯してしまった罪からは逃れられない。
彼の娘は長い長い父の物語を聴いて何を思ったのか?それを聴いてみたくなった。
良い作品でした。
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いい映画でした。けど邦題にはげんなり。“朗読者”でよかったのに。
なんの前知識もなく見始めたのでナチスが絡んでいることすら知らなかった。こういう女性を扱った映画をほぼ初めて観て、とっても考えさせられました。法学部の教授の言葉、「問題は“悪いこと”だったかではなく“合法”だったかどうか」みたいな言葉が印象深い。仕事を全うしただけの無学で文盲の女性、不憫でならない。 -
ムフフな場面を期待して見始めた^^;
途中からストーリーにどんどん入り込んでムフフな場面なんてどうでも良くなった。
色んな問題が含まれたとっても良い映画だね!
ちなみに見たのは修正版だと思う(T_T)
PS.自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合は有罪とされないのでは? -
若い人よりも中年以降の年代に響くお話かと思いました。
これから人生の盛りを迎える15歳の少年と人生の盛りを過ぎた40歳くらいの女性との性愛の物語かと思いきや、舞台がドイツらしく政治的な情勢が絡んできて…。
出逢ったとき、裁判のとき、出所のとき、彼には3回も彼女を救う機会があったのに…。
でも、彼も彼女と出逢ったことでずっと朗らかになれない人生を歩んできたみたいだし…。
色々と人間の心について考えさせられるお話でした。 -
初見の時、原作本も読んでしまうぐらい心に深く突き刺さった作品。
今回改めて観て、以前と感じ方がだいぶ違っていたのも面白い発見でした。
物凄く重い作品ですが深い余韻を残す大好きな作品です。 -
一言、出来ないと言えたら良かったけれどそれを言うと彼女は立っていられなくなるんだろう。
知らない、出来ない、と言える年齢というのがあると思う。
それでも出来ないと言えるのはひどく馬鹿にされることだし、教養の程度を疑われて家庭を侮辱されるのだから彼女は決して言えなかったのだろう。
機会があったのに言わなかったと責めるのは簡単だけど、それはすこし乱暴で辱めるのと同じでしかないのだ -
彼が、真実かそれとも、彼女のプライドか、を選択する苦悩が印象的でした。
時代が彼女たちを犯罪者にし、そして、ハンナはその犠牲となったのだと思います。
切ないけれど、目を据えて観ることのできた一作です。