リア王 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 本編は読み通せなかったが、解説のシェイクスピアによる底本からの改変の解説は面白かった

  • さすがに面白い。人物の名前が覚えにくいのはいたしかたないか。

  • 読みやすい新訳でさくさく楽しく読める。だがリアがゴリネルに追い出されるシーンあたりまで読んだところで、リアがなぜこんなに愚かで幼稚なのか、なぜ不遇に扱われた臣下がそんな王に忠実でいられるのか、この物語は何を言いたいのかが理解できなくて、ネットや解説を先に読んでみた。
    一説によると、リアは家父長制の価値観を持つので彼の行為や思考...王の「位」以外の財産などを子に全て譲り、子は王をこれまで同様に大切にするし王の権威は変わらないとする...はリアにとっては自然なこと。一方娘達は家族より個人の欲望や思いを大切に思う新たな時代の価値観を象徴しているらしい。この「旧時代」対「新時代」がぶつかる運命の物語というのが「リア王」であり、それはただ愚かな王の招いた悲劇なのではないのだそう。
    また訳者の解説("解題")には「単なる勧善懲悪の教訓的な劇に終わらず<略>巨大な悲劇である所以は、有無をいわさぬ理不尽の深さ、その衝迫にあるのではないだろうか」とあって、ちょっと納得した。
    そしてそれらを踏まえて残りを読んだ。
    なるほど、コーディリアの、嘘をはらんだ美辞麗句に対する嫌悪感も、姉達の欲望も、同じ"個"や"物質"時代のものという意味で対等だと思う。そして、愚かで幼稚な王を、愛情深い末娘は子として(一族の長へというのではなく)愛し、臣下は氏族家父長制の主人として無条件に命懸けで守って差し上げるということだ。主人が尊敬に値する人物かどうかなど、忠誠心には関係ないのだ。
    時代劇が好きな私にも、もはやこの気持ちはわからない。思い返してみれば、現代(現在2017年)の"時代劇"では忠実な家来を持つボスはひとかどの人物なのである。今の私達にとっては、封建制がそこまで化石となりつつあるのだと思う。現代の個人主義はこれまでの人類の歴史の中でも科学と同じくらい突飛なものであるのかもしれない。

著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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