- Amazon.co.jp ・電子書籍 (441ページ)
感想・レビュー・書評
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国連本部での力強いスピーチがまだ耳に残っていた。そんな時、NHKの「クローズアップ現代」でマララさんへのインタビューを観た。この少女の強い意思がどのように形成されたのかが気になった。
タリバンに銃撃されて瀕死の重傷を負った16歳の少女は、奇跡的に生還し、前よりも強くなって甦っている。教育熱心で行動派の父の血を受け継いでいることは確かだ。しかし、読み進うちに、文字は読めないが慈愛にあふれた母の存在の大きさがせり上がってくる。
父やマララがやっていることに口ははさまないが、マララが賞をもらうたびに、「わたしは賞なんかほしくない。娘が元気でいればそれでいい。全世界をやるといわれても、娘のまつげ一本だって差しだすつもりはないわ」という母。
マララが襲われて搬送される際、現場に落ちていた部屋の鍵を届けに来てくれた人があったが、「鍵なんかいらない。娘に帰ってきてほしい! マララがいないのに、鍵なんかあってもしかたがないじゃない!」と泣き叫んだ母。
娘がイギリスのバーミンガムの病院に転院して一週間たっても、両親はパキスタンのラワルピンディに留め置かれたままななのにしびれを切らした母は、父に迫る。「明日までになんの知らせもなかったら、わたしはハンガーストライキをするわ」
どうやら、本当に強いのは母であり、女性であるらしい。襲われてもなお「女性にも教育を!」と叫び続けるマララの強さが、母親ゆずりのものだということもわかる。
この著書はこう結ばれている。「わたしはマララ。わたしを取り巻く世界は変わったけれど、わたしは変わっていない」
マララの頭蓋の一部にはチタンが埋め込まれているという。強い女性は心身ともに<筋金入り>となったらしい。
ちなみに、私も顔面を骨折して今もチタンのボルトが入ったままだ。残念ながら、マララのように強くはなれないけれど。