本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (333ページ)
感想・レビュー・書評
-
オーストリアのミステリー作家アンドレアス・グルーバーの作品。日本では2010年に書かれた「夏を殺す少女」が早く紹介されたが、「黒のクイーン」は2007年の発表。「夏を殺す少女」は近年読んだミステリーで一番の面白さだった。本作も期待通り、上質のミステリーではあるが、「夏を殺す少女」の意外感やスピード感はなかった。
プラハの展覧会に貸し出した絵画の焼失事件。調査を進めるうちに、保険調査専門探偵ホガートは、猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。
ストーリーはどちらかというベタな展開。むしろ、この作品の魅力は、ベルナルディ地区なるプラハの歓楽街の描写、古い映画と骨董市の好きな、さほど格好良いとは言えない探偵やプラハ顔役の人物造形にあると思う。また、プラハを舞台とした無声映画「巨人ゴーレム」を事件に絡めるあたりに著者のセンスの良さを感じた。
個人的に非常に好きな味のミステリー。ただ、数年後に書かれた「夏を殺す少女」の方が数段上と思う。
アンドレアス・グルーバーはまだ未翻訳の作品が多くあり、今後が楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示