- Amazon.co.jp ・電子書籍 (322ページ)
感想・レビュー・書評
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元建設省のお役人、「地形と気象だけは人に負けないほどの知識と経験がある」"インフラ屋" の著者が、地形から歴史を読み解いた書。「人文社会に任せていた複雑な歴史に、今までにない分かりやすい物語を提供」しようと新説を多数披露している。
チャレンジしてるのは、「関ヶ原勝利後、なぜ家康はすぐ江戸に戻ったか」、「なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか」、「なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたか」、「元寇が失敗に終わった理本当の由は何か」、「半蔵門は本当にうらもんだったのか」、「赤穂浪士の討ち入りは何故なら成功したか」など、18の歴史の謎。
少ない証拠から断定的に語りすぎてて、疑問を感じる部分もあったが、全体的に新鮮な内容別だった。広大な湿地体の住める土地・豊饒な土地への大改造に挑んだ家康の苦労が偲ばれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
牛を去勢しなかったので車社会が発達しなかった
リン資源が枯渇するが冬も水を張った水田で渡り鳥を呼び込み、糞尿リサイクルを再生すれば解決 -
多少脚色もあろうが、地形から日本史を紐解こうという試みは面白い。人文科学的な理由と、地形的理由の両方から、歴史が動いたと見るのが妥当かも。
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真面目な本なんだけども、「いい意味」で芝居がかった展開で語り口が面白い。
悪く言えば陰謀論的にも思えるけど、何気ないきっかけから歴史の真実(と筆者が考えるここと)に気がつく展開は、往年の『MMR』を思わせる。
あと断定される気持ちよさを再確認。
「〜だと思う」とか「〜かもしれない」みたいに、結論を濁す語り口がネット上には氾濫してるけど、やっぱり自分の意見というのは、しっかり断定して主張してくれた方が、読む側も気持ちいい。
中盤で出てくる一連の「赤穂浪士」関連のところが、僕は好き。半蔵門の秘密とは!? -
超絶面白い。
目から鱗とはまさにこのこと。
元・建設官僚の著者は、思想・哲学・宗教・政治などの「上部構造」ではなく、地形と気象という「下部構造」から歴史を鮮やかに読み解いていく。
関ヶ原勝利後、なぜ家康は江戸に戻ったのか?
なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたのか?
赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したのか?
なぜ徳川幕府は吉良家を抹殺したのか?
なぜ吉原遊郭は移転したのか?
こうした多種多様な日本史の「謎」が地形と気象という観点から解釈できるのだから驚きである。
もちろん著者オリジナルの仮説であり、果たして鵜呑みにしてよいのか、という疑いを差し挟む必要はあろうが、自然環境という絶対的事実をベースにしているだけに説得力が窺われる。
何より白眉なのは、「奈良から京都へ」「京都から江戸へ」という日本史上に二度のみ発生した「遷都」の理由を明快に断じた件りである。
さらにその延長線上の議論で、邪馬台国の所在地を推論したり、東京からの遷都があり得ない一方北京からの遷都は現実味を帯びていることを論じたりまでされるのだから唸らされる。
その理由は…ぜひご一読いただきたいので、ここでのネタバレはしないこととする。