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感想・レビュー・書評
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非英語圏SF特集で短編が三つっていうのはさみしいな。もっと、いっぱい載せて欲しい。
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“転がり続ける朝戸の体を垂直線が淡々と追いかけてくる。
「アラクネ」なんとかしろ、と言い終える前に応答があり、
「欺瞞情報を解析中。なかなかの計算パワーです」
「転がってる方が僕だ」
「こちらからはどちらも転がっているように見えます」
「普通に考えろ、逃げてる方が僕だ」
アラクネは寸時沈黙し、「ああ、なるほど」と続けた。次の瞬間、朝戸の転がり進路上にキリスト砲弾が一つ着弾。
「違う。そっちが僕だ」
「駄目ですね。きちんと解析しないとあなたも一緒に吹き飛ばすことになりそうです。それか一瞬でも先方の欺瞞情報を中断させないと」
アラクネが長閑な解説を行う間に朝戸は垂直に落ちる直線の雨をかいくぐって立ち上がると身をひねり、今度は水平線に移行した幽霊からの挨拶か苦情か、人類にとっては攻撃としか呼びようのない敵対的コミュニケーションを右へ左へぎりぎりのところで回避していく。
「わかったなんとかする」”[P.188_エピローグ<1>]
「エピローグ<1>」円城塔
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