四大公害病 水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害 (中公新書) [Kindle]
- 中央公論新社 (2013年10月25日発売)
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感想・レビュー・書評
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四大公害病とは、1956年の水俣病、1964年の新潟水俣病、1910年から発生したイタイイタイ病、1960年の四日市喘息で、高度経済成長期に住民に大きな被害が発生したもの。
まだ工場などが人の暮らしのすぐ近くにあり、環境への影響などもまともに考慮されていなかったという時代背景もあり、多数の死人がでるほどの環境汚染があった。
公害病の加害者となった企業の対応は、現在でもトラブルを起こした企業の対応と通じるものがある。
特定の地域で住民の体調や生活に異変がおこり調査が始まる。
そして、原因物質が特定され、その流出元として企業が疑われる。
当初、企業は自社の原因説を否定する。そして、その後根拠データが揃い出しても否定し続ける、否定しながら協力金等といった別の口実の金を払う。自社に責任はないけど別の理由で金をはらい、その金で治めようとする。
でも被害範囲がもっと広そうだとわかり始めて、ついに被害住民が訴訟を起こす。
裁判の結果、企業の過失責任が認められ損害賠償等となる。
企業側は、訴訟を引き延ばすことで代替生産設備を整備して生産を移管するなどして損害を抑えようとし、なまじ大企業なため、政府側も積極的に介入しない。
市民対企業の争いにおいて、自社の存続より市民の安全を優先して取り組む企業はないと思っていいし、組織の合理的判断としてもそうなるのは理解できる。
最近では、原発事故における東京電力の対応がまさに公害での対応を踏襲している。
企業は基本的に自ら責任を認めるようなことはしないのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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