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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (305ページ)
感想・レビュー・書評
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初代Kindleの開発者が、読書の歴史を振り返りながら、読書の将来について考察した一冊。
著者は、読書というのはテクノロジーの進歩とともにある文化であることを強調する。活版印刷の発明が、出版物の流通速度と読み書きの普及を劇的に推し進め新たな読書文化を生んだことはその証左であろう。同じように、電子書籍もまた読書のあり方を大きく変える可能性を秘めているという。その方向性は主に以下の2点に集約される。
1.頭から順に読み進めていく読書から、リンクを辿って多方向に読み進めていくネットサーフィンのような読書への移行。
2.孤独な読書から、他の誰かとつながるソーシャルな読書への移行。
これらの変化を著者は「Reading2.0」と名づけ、電子書籍の将来に強い期待をかけている。その一方で、読書の形態は変わっても、「想像力を育む」という読書文化の本質が変わることはないだろうとも予測する。
これだけ書くと、著者が「電子書籍万能論者」のように見えてしまうかもしれないが、決してそうではない。紙の本への愛着はしばしば表明されているし、電子書籍の欠点についても至るところで言及されている。また、ときには他社のライバル製品を絶賛したりもしており、その筆致は冷静かつ公平で、とても好感がもてる。
興味深かったのは、グーテンベルクが活版印刷を発明したあとも、16世紀の富裕層は依然として昔ながらの写本を愛でていたという指摘。いわく、印刷された文字には人間味がないと感じたためだと。これは今日の電子書籍の導入をめぐる構図と同じなのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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