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感想・レビュー・書評
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端野洋子は福島県中通り南部の西白河郡西郷村のシイタケ農家に生まれ育ち、学生時代に畜産を学んだ。2011年3月11日の震災直後の福島を描いている。
震災後先行きが行かない酪農農家が、自ら命をたつという事件があった。著者は福島の「牛乳に関する誤解や明らかな間違いを積極的に訂正していかないと、何人死ぬかわからないという直感」から描いたという。
3つの作品がある。「ミルクボーイ」「はじまりのはる」「故郷」
「ミルクボーイ」毎年10人とか自殺をする高い橋の上から始まる。主人公は、人付き合いが苦手の工業高校生・純くん。あるきっかけから、玄太のいる乳牛牧場でアルバイトをする。小学の卒業の時に「勇気ある一歩を踏み出しもっと大きくなった君と出会うのを楽しみにしています」という色紙をくれた薄井先生が、その橋の袂にいて、飛び込み自殺しかけるのを純君は、止める。純くんは薄井先生にいう「生きていなきゃ何もできないんだから」「生き恥なんて天日に晒しとけ」って。
「はじまりのはる」酪農家でアルバイトする純くん。牛の出産に立ち会う。その描写が生々しい。生まれたメス牛は純子と名付けられる。そして、東日本大震災が起こる。牧草にセシウムが降り、放牧もできなくなる。牛にも餌が少ししか与えられない。純くんは、玄太を助けたくて、必死に放射線の勉強を始める。そして、獣医になることを決意するのだった。
「故郷」7万人のひとが故郷を追われた。避難所での生活。そしてふくしま駅伝に出ようとする。
ふーむ。まんがなんだけど、真っ直ぐにフクシマの原発メルトダウンに向き合う若者の姿が、きちんと書かれている。日本は、こうやって、受け継いでいくのだろうね。数字や言葉で表せない情感を漫画で描き切る。素敵だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「解らないっていうのは戦えないってことだし、簡単に恐怖に飲まれるよ。」