世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫) [Kindle]

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  • 謎のペルシア人いわく
    「君の考えは間違っているよ。君は英語を十分に喋れる。だって、見なさい、私たちはもう1時間以上もずっとお喋りをしている。それで100パーセント完璧に通じているじゃないか」
    「それはあなたがネイティヴじゃないからですよ」私は抗弁した。
    「ネイティヴ? そんなものに何か意味があるのかね? なぜ私たちが英語で話をするのか。不思議に思ったことはないかね? 私たちはともにアジアの人間だ。アジア人同士がどうしてヨーロッパの言葉で話さなければならない?」
    「……」
    「それはね、英語が国際言語だからだ。イラン人には日本語がわからない。日本人にはペルシア語がわからない。だから、私たちは英語を使う。それは日本人とイラン人だけじゃない。インド人とイラン人でもそうだし、日本人とドイツ人だってそうだろう。聞くところでは日本語と中国語はだいぶちがうから、やっぱりビジネスをするときは英語を使うそうじゃないか。
     これでわかるだろう。英語は国際言語なんだ。世界の人が意思を通じさせるための言葉だ。でも君はアメリカ人やイギリス人の言うことがわからないという。それは君のせいじゃなくて、彼らのせいだ。彼らの喋っている言語は方言なんだよ。アメリカ人の英語はアメリカ方言で、イギリス人の英語はイギリス方言。それは世界標準ではない。私たちが今話している英語こそ、世界の誰でも理解できる世界標準の英語なんだ。アメリカ人やイギリス人が私たちを見習う必要はあるが、その逆はない」
     私は尾骶骨から突き抜けるような感動をおぼえた」

  • タイトルに惹かれて購入。
    短編集でマラソンの話題は西サハラについて。旅行中にはさっと読めて、多くが旅のテンションが上がるストーリーでした。

  • これを読んだら何故か走りたくなった。

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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