「思考軸」をつくれ ― あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由 [Kindle]

著者 :
  • 英治出版
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感想・レビュー・書評

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  • ライフネット生命を立ち上げた出口さんの思考軸に関する本。Voicyのパーソナリティーであるワーママはるさんの紹介で知り、手に取った。

    出口さんは、ライフネット生命の立ち上げを、会って間もない人と少し話しただけで決めてしまった。この立ち上げの直感がどこからくるのかというと、「脳をフル回転させて得たアウトプット」からだそうだ。つまり、ストックしてある知識や情報=インプットの量が多ければ多いほど、その精度も上がるという。

    出口さんは、大変な読書家で知られている。だからこそ、この直感力が働いたのだと思った。勝間さんやイケハヤさん、ワーママはるさんなど、活躍されている方は皆読書家。やはり、読書をしなければと思った。

    そして、インプットとは、多様な人に会うことも含まれる。できるだけ人が集まる場に出ていった方がよいのだと思った。

    出口さんの自分の軸のおおもととなっているのは、人間は動物であるということ。このことは、ワーママはるさんもよく口にしていて、私も身に付いた言葉だ。人間を動物だと考えると、お腹が減るし、眠くなるし、好きな人と過ごしたいといった欲求は、ごく自然なものだと理解できる。

    出口さんは、日本の少子化をとても危惧されている。なぜなら、少子化は人口減少につながることであり、どの時代の歴史を見ても、人口が減って栄えた国や地域はないからだという。

    定住人口を増やそうと思ったら、1子供を産みやすくする、2外国の人に移住してもらうの2つしかない。

    1の視点で見ると、日本の政治家は「子どもを育てやすい社会にする」ということをほとんど考えていないのではないかと思えてならないという。「私はずっと「国会議員は一度でもいいから全員、一〇キログラムの石を乗せたベビーカーを押して都内を移動してみたらいい」と言い続けている」とあったが、まったくその通りだと思った。毎年の定例行事にしたらいいのではないかと思う。

    また、「結婚していない親から生まれた」というだけで生まれてくる子どもが法的に異なった扱いを受けるのもおかしい。子供に罪はなく、民法改正すべきというお話に同意。

    夫婦別姓法案も早急に可決すべきとのこと。「日本の伝統」を心配する向きもあるようだが、平安時代を想起すれば、日本も昔は夫婦別姓の国だったことがあるそうだ。私も、是非早急に可決すべきと思う。

    女性の地位向上にも言及している。日本は、政治や経済活動に女性がどれくらい参画しているかを示す指数、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)が先進国としては最低レベル。圧倒的に女性の活用ができていない。日本を代表する会社に女性役員がいない。人類の半分は女性なのに、その半分の才能に活躍の場が与えられていなければ、我が国の国際競争力が落ちるのも仕方がないことという。本当に残念なことで、改善に力を入れなければならないと思う。

    出口さんのインプット方法は「最初は自分で選ばず、とにかく大量に取り込む」というものだそうだ。とりあえず片っ端からインプット。

    読書というのは食事と似ている。何を食べたかは忘れてしまっても、栄養分は確実に身体に吸収されてその人の骨や筋肉やエネルギー源になっているとのこと。本は栄養。なるほど!

    出口さんは、本を読むときに線を引いたり、書き込みをしたりはしない。その代わり、書かれていることが気になったら、同じ著者の本をまとめて全部読む。そうすると、その人のものの見方や考え方が自分のなかに取り込める、つまりは血肉化するという。すごい読書法!

    人から薦められた本は四の五のいわずにすぐに買って読む、というのもお薦めのルール。本は高くてもせいぜい数千円とそれほど高い投資ではないし、つまらなければ読むのをやめればいいので、躊躇するのはもったいないとのこと。うーん、未だ躊躇してしまう。月5000円を目処にやってみようか。

    読書は、ある分野を早急に身につけなければならない場合、何十冊と手元に用意し、1番分厚くて難しそうな本から読むのがいいそうだ。まとめる必要もない。だいたい四、五冊読むと、知識もそれなりに増え、おぼろげだった輪郭がだんだんはっきりしてくる。そこで薄い入門書を開く。

    日本生命時代に部門を率いていたときから、売上や利益を目標の柱に立てたことがなく、最大の目標はいつも決まって「元気に・明るく・楽しく」。それはいまでも変わりません。どんな高い数字よりも「仕事を楽しみ、仲間をつくる」というスタッフの姿勢こそが会社を成長に導くと固く信じている。人は楽しんでのびのびと働いているときがいちばんよいものを生み出せるし、効率も上がる。

    目の前の課題がたとえどんなに大きくとも、いきなり横に跳んだり裏に回ったりはせず、まずは真正面に立って「この壁をどうしたら乗り越えられるのだろう」と考えることが大切だと思っている。よく考えて、「手間はかかるかもしれないが、こうすれば解決できそうだ」という方法が見つかったら、迷わずそれを選べばいい。なぜなら、ほとんどの場合、それこそが正解。

    英国の教育。「AさんもBさんもCさんもみんな顔が違う。顔が違うのだから考え方も違う。お互いにわかり合うためには、まず自分の意見をはっきり言わなければいけない。また、自分の考えを伝えるときはわかりやすく話さないといけないんですよ」と繰り返し説くそうだ。 「人は皆異なる考えをもつ」という大前提があって、それゆえコミュニケーションが大事なのだ、ということを丁寧に教えていくのが素晴らしい。

    • chocoberryさん
      大事お金さん
      図書館利用、いいですね。
      音声も便利ですが、手元に置きたい本は買いたくなりますね
      大事お金さん
      図書館利用、いいですね。
      音声も便利ですが、手元に置きたい本は買いたくなりますね
      2020/07/26
    • daijiokaneさん
       その時は、法人化して会社の経費に
      していつかは買うのだと思えば、
      本を買うのを控えて、自分の商品を、
      持つモチベーションになりますよ。
       その時は、法人化して会社の経費に
      していつかは買うのだと思えば、
      本を買うのを控えて、自分の商品を、
      持つモチベーションになりますよ。
      2020/07/26
    • chocoberryさん
      モチベーションの持ち方、いろいろありますね
      モチベーションの持ち方、いろいろありますね
      2020/07/26
  • 出口治明さんは読書家で、またたくさんの方との出会いから知識が非常に豊富であり、著書は内容が判り易く興味深いものが多い。
    巻末には「軸づくり」に役立つ本一覧があり、歴史を中心に20冊が紹介されていて本選びの参考になる。

  • 「風が吹いたときに凧を上げる」本を読み始めてまずこの言葉にドキッとしました。凧をあげるには、凧がまず必要です。その凧は自分で骨格を作らないといけません。果たして今の自分は自分の上げる凧を持っているか、と言われると答えは「ノー」です。自分の凧を作りたいと思っている、凧作りに向けて七転八倒している最中です。そんな自分に凧づくりに必要な「自分軸」の作り方を著者の経験、幅広い歴史の知識からわかりやすい言葉で語ってくれています。

著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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