忍びの国(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • のぼうの城で、すっかりと和田竜さんにハマり続けて読みました。
    無明の人柄に引き込まれました。

  •  今でこそ「ニンジャ」「NINJYA」と呼ばれ、その姿は脚色されイメージが一人歩きしている「忍者」の真の姿の物語。これまで読んできた歴史小説では戦乱の世を生きる人々が持つ矜持に心を動かされるものばかりであり、私もそれをヨシとして読んでいた。しかしこの物語では、その逆を行くのが忍者の精神である、内輪揉め、裏切りは当たり前、仲間を庇えば自分が足元を救われ、銭が絡めば、仲間の命さえ狙う。たぐいまれな身体能力に加えて、薬学の知識や、読心術まで身につけ、その器に「卑怯」という精神が宿っているのだから相当タチが悪い。
     主人公の「無門」もそんな忍者の1人だった。物語の中でもたくさんの裏切り、嘘をつき、報酬のためなら手段を選ばす、命の重さもなんとも思わない。侍に「人ではない」と言われるのもわかる気がして笑。身も蓋もない連中だわこれ。と感じた。しかし、不思議とその姿に嫌悪感は抱かなかった。なぜだろうか。
     それは無門をはじめとした忍者たちが、ひたすらに純粋に卑怯だったからである。
    卑怯さに中途半端なところがなかったからであってむしろ清々しさえ感じた。彼らは報酬と自分の命が1番の優先事項で、迷いがない。世の中美しいばかりではない。矜持を保つがために、自分の命を無くしてもいいのか?作品の中の無門の行いを通じてそんな気持ちになった。
     信長とその近習の首を狙う最後の場面になったとき、死ぬ間際の侍が発した一言。そこで彼の心で何が変わったのか、物語中では描かれていないが「本当にこんな自分でいいのか」ときっと思ったことだろう。その後、伊賀の親分たちに「なんだか腹が立っている」と、くってかかったその理由も明らかにはされていないが、無門の中に初めて芽生えた人間らしさだったのかもしれない。信長軍が伊賀を全滅させた戦で、無門が「鉄」を救って京に逃げたのには、救われた。ここで「子供の命は無駄にはしない」などと平和なことをのたまわってしまうと、無門の魅力が半減する。鉄を救ったのも、新天地で武器を作って欲しいからだよね?そうだよね?無門くん。
     最後まで無門には、ずるく卑怯でいて欲しかったのでここの部分がぼやかされていてよかった。どうとでも想像できる。
     私は、このような卑怯な生き方、残忍な生き方はしたくないし、やっぱり良くないことだとは思っている。しかし「こんな生き方もアリ?」とすこし考えを変えた一冊だった。読んでよかった。

  • 本当に、この手の時代物大好きです。

  • 当代最強の伊賀忍者ながら、最大の関心事は想い人のご機嫌という無門。戦闘シーンは神がかっている。実際のところは兎も角、まさに「忍者」のイメージそのもの。お金のためにのみ「働く」忍者の酷薄さ。なのに想い人の前では人が変わってしまう人間味がいいバランス。ただ、「人」として当たり前の感情を持ってしまうと、伊賀忍者たちの酷薄さは「人間ではない』という感覚に陥る。これは期待以上に面白かった。

  • 「忍びの国」(和田 竜)[電子書籍版]を読んだ。いやー面白かったな。和田さんの作品はどれもつい夢中になってしまう。少し前に、同じ忍者ものの「風神の門」が『面白かったけど面白くなかった』とむちゃくちゃなことつぶやいたけど、これは素直に楽しんだ。また「のぼうの城」が読みたくなったよ。

  • スピード感半端ない

  • 映画版が2017年夏公開らしいですが、たぶん見ないと思います。(キャスティングがアレ)

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