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- / ISBN・EAN: 4988105069633
感想・レビュー・書評
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泰平の世、江戸時代の参勤交代を題材に勧善懲悪の時代劇で清々しい気持ちにさせてくれる物語。
あわせて観た「パラサイト 半地下の家族」とは真逆。何が真逆かというと、高低差を崩していく。
寛容で民にも家臣にも慕われるお大名の人柄により、生まれながらに身分が決まっている時代で、次々に身分の高低差を崩していくのだ。
冒頭、参勤交代が終わり自国に帰って、農民に声をかけられると、馬を降りて農民に駆け寄る。そして、土のついた大根の泥をぬぐい、かぶりつく。お互いフラットな目線で会話がされる。
物語は、江戸の悪徳老中の無理難題、5日間での参勤交代に挑む。参勤交代は、金もかかるし(しかも帰ってきたばかり)、大名行列を組んで練り歩けば、時間もかかる。ようは悪徳老中は、この藩を潰して領土の金を手に入れてやろうという完全に上から目線の傍若無人。
お大名が選択したのは、生まれ持っての身分への抵抗ではなく、お家のお取り壊しを防ぎ、民を救うために、知恵と人望と積み重ねた徳による奇跡をもって、この無理難題を乗り越える。
この奇跡の数々も縦横斜め、色々な身分の人達をお大名は、徳を持って接して、次々に自らのチームに引き込んで行くから痛快。横並びのスクラムで壁を壊していく。
そして、におい。
無茶な参勤交代のため、獣道を駆け、野宿し、川に流され、どろどろのボロ雑巾状態になる。体から発するのは、芳しいにおい(匂い、臭いではない)。
でも、この「匂い」を、みな鼻をつまみ、顔をしかめて、「クサイクサイ」というが、フラットで信頼感のある、つながりの深い関係だと、高校球児の汗のごとく、清々しい匂い、未来を掴むための努力の匂いとして、描かれている。
一方、最後に対峙する悪徳老中は、身なりは綺麗でも、腹の中から据えた「臭い」さえ感じる権力とお金の欲にまみれきっていた。(典型的な悪の権現!)
キレイにまとまりすぎて物足りないところもあったが、「パラサイト」との高低差、においの表現の違いで楽しめた。
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このテの作品は、正直、展開もラストも、鑑賞前の予想とは大きく外れない。なので、ストーリーよりは、むしろ、笑いあり涙ありの過程を、演技派役者さんたちの巧みな掛け合いで存分に魅せてもらうことを期待するものだけど、その点、よく出来ていたと思う作品。
江戸中期。今の福島県いわき市に当たる湯長谷藩は、参勤交代から戻った直後に、再度の参勤交代を命じられる。しかも、通常八日はかかる過程を、五日以内に来いとの無理難題。
実はこれは、湯長谷藩の金山を我が物にしようと狙った、悪徳老中・松平の差し金。
命令を果たせなかったら、藩は取り潰しになってしまう。
とはいえ、時間がないだけでなく、もともと貧乏な小藩であり、先の参勤交代を終えたばかりの湯長谷藩には、新たな参勤交代にかけられる莫大な費用も人手もない。
それでも、領民のためにも藩を守らねば!と、善良でお人好しな藩主・内藤と、彼を慕う六人の側近たちは、彼ら七人だけで、近道となる山道を駆け抜け、役人のいる関所では人を雇って見せかけの大名行列を作りながらくぐり抜け、異例の参勤交代を果たそうとする。
彼らは、突然現れた忍びの段蔵を道案内に雇って、江戸へ一路、ひた走るけど、老中・松平の雇った刺客が妨害してきて…。
藩主役に佐々木蔵之介さん、忍びの段蔵役に伊原剛志さん、藩の家老役に西村雅彦さん、その年配の家来役には寺脇康文さんや六角精児さんなど、演技に定評のある役者さんを揃えており、真剣で適度な厚みの中に、コミカルさを加えた演技を楽しめます。変にくどすぎず、重すぎず、それなのに、軽すぎもしない絶妙なさじ加減は、やはりベテランの見事さです。
それから、若年の家来役の一人だった、榎本時生さんも、若いのに味のあることで知られるだけあって、良かったです。
そして、同じく家来役だった、上地雄輔さんと、ジャニーズの知念侑季さんも、思った以上に、役にはまっていました。これは失礼ながら予想外でしたが、キャスティングした人の慧眼といったところでしょうか。
これから、もっといろいろな役を経験していって、演技に厚みも幅も出ていったら、演技派俳優になるかもしれません。
あわれこれまで…というところで、お人好し主従七人にほだされた人々に助けられて、危機を逃れて…というベタでわかりきった展開なのに、彼らの巧みな演技の融合のおかげで、不覚にも、ポロッと泣いたり、クスッと笑ったりしました。
まあ、ラストも多くの方の予想通りかとは思います。
水戸黄門を見るような、安心した軽い気持ちで観るのに適した映画です。 -
下調べも何もしないでレンタルしてしまう私。それでもパッケージの写真を見ればこの作品の内容は予想がつく。
肩肘張る必要の全くない時代劇コメディーでした。そんな作品ですからツッコミ所は多々有るのですがそんな指摘は無用でしょう。
そして真面目な製作姿勢だけはきちっと汲み取れる事が出来ました。まあ・・・楽しく見る事に徹した方が良いと思います。 -
磐城国の湯流谷藩は、彼らの金山を狙う老中の
計画により通常8日かかる参勤交代を5日で行
うよう命じられます。
できなければお家取り潰しは必至で1万5千石
の貧乏弱小藩はわずか7人の家臣とともに実行
不可能なミッションに挑みます。
これまでほとんど描かれることのなかった参勤
交代にスポットを当てるというユニークに加え
一風変わったキャラクターと先の読めない緻密
なストーリーが見事にマッチし、笑って泣ける
エンターテインメントに仕上がっていました。
知恵と団結力を武器に問題を次々にクリアして
いくさまは痛快でした。佐々木蔵之介の演技も
見事でした。 -
磐城の小藩・湯長谷藩の藩主である内藤政醇は1年間の江戸での勤めを終えて、地元の湯長谷藩に戻るが、戻って間もなく、再度の江戸への参勤を命じられる。それも5日間という期限をつけられて。期限的に難しいばかりではなく、田舎の小藩にとって、家来を連れて、再度江戸に参勤する経済的負担は重く、また、参勤を邪魔しようとする敵がいる中での参勤が出来るのかどうか。筋としてはドタバタであるが、映画としてはとても面白く観ることができた。
2014年公開の作品。興行的にもそこそこの成績をおさめ、また、日本アカデミー賞の最優秀脚本賞やブルーリボン賞の作品賞等を受賞した作品。
試みにGoogle Mapでいわき駅から皇居まで徒歩で行く経路を調べてみた。
勝田くらいまでは、ほぼ常磐線に沿って、それから以降は国道6号線に沿っての203kmの道のりである。現在ほど道路が整備されておらず、和服でランニングシューズのない時代に5日間でいわきから江戸まで歩き通すのは、たしかにかなりの難事であり、物語にいくばくかのリアリティを与えている気がする。 -
このミッション!
インポッシブルです!
5日以内に参勤交代!!
を命じられた
弱小貧乏藩
幕府の無理難題に
「参勤交代」で挑む!?
って、どうやって・・・
映画HPより抜粋
いや、これ面白い.
DVDを借りに行って偶然見つけた1枚.
笑いと人情に溢れた作品.
情けは人のためならず、まわりまわって自分に帰る.
だたのコメディではない感じ、殺陣本格的.
続編が2016年に公開されるとのこと.