自民党政治の変容 NHKブックス [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 9月の自民党総裁選を機に読み始めましたが、読了までに1カ月以上かかってしまいました。
    平日は忙しいので就寝時に読書しますが、寝る前に読む本ではないかな笑。
    ただ、いろいろ発見がありました。
    たとえば、日米安保体制の成立にまい進し、タカ派の大親分のイメージがある岸信介。
    戦後、A級戦犯容疑者として逮捕された岸が、政界復帰に当たって社会党に入党を打診していたとは知りませんでした。
    岸は特に、当時の右派社会党に対して親近感を抱いていたそうです。
    時は下って現代。
    岸の孫である安倍前首相の代から、自民党の、いわゆる「右傾化」が進んだと思い込んでいました。
    しかし、その端緒は、実は小渕政権。
    自自公連携で参議院の過半数の議席を獲得した小渕内閣は、ガイドライン関連法や、憲法調査会設置法、国旗・国歌法など、従来なら実現し得なかったような法案を次々と成立させたのでした。
    恥ずかしながら、すっかり失念していました。
    自民党政治の変容を促したのは、良くも悪くも選挙制度の改正だったということも、あらためてよく分かりました。
    選挙制度の中心が中選挙区制から小選挙区制へと移行したことで、派閥の力が弱まり、相対的に党の力が強まりました。
    その結果、露骨な利益誘導政治は影をひそめるようになったものの、多様な声を吸収しにくくなったとも指摘されています。
    特に、「加藤の乱」の失敗で凋落が決定的となったリベラル派は、今もなお劣位に甘んじています。
    その意味では、今度の総裁選では敗れはしたものの、宏池会を率いる岸田氏の動向が注目されるところです。
    ちなみに、現在46歳の私が物心ついた時の首相は、鈴木善幸でした。

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著者プロフィール

一橋大学大学院社会学研究科教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中途退学。博士(法学)(東京大学)。大阪市立大学法学部助教授、立教大学法学部教授などを経て、2011年より現職。専門は日本政治外交史、現代日本政治論。
著書に、『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書、2012年)、『自民党政治の変容』(NHKブックス、2014年)、『自民党──「一強」の実像』(中公新書、2017年)、『自公政権とは何か』(ちくま新書、2019年)、『日本共産党』(中公新書、2022年)など。

「2022年 『選択的夫婦別姓は、なぜ実現しないのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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