緋文字 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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  • へスターが姦通の罪を犯した相手は誰なのか、パールの特異な性格はどのような意味を持つのか、など序盤で立てられた謎が、ストーリーを追うごとに次第に明らかになっていくミステリー仕立てとなっている。
    罪が主題である物語であるためか、心情描写がかなり多く、舞台となる17世紀アメリカのピューリタンの倫理観が登場人物の心情にも色濃く反映されていることよく分かる。
    アメリカ入植直後のアメリカ社会の描写もかなり充実しているので、アメリカ文化史に興味がある人にもおすすめできる一作である。(ただ、本書でも書かれている通り、時代考証が雑なので、歴史学の文献としては扱えない)
    ディムズデールは清い存在として描かれているが、客観的に見るとかなりクズだと思うのだが...

  • ナサニエル・ホーソーンが1850年に出版したアメリカのゴシックロマン小説。
    堅苦しい小説かと思って敬遠していたが、読んでみると面白かった。
    たしかに骨太ではあるし、時代性なのか、現代の小説にはみられない構成をしているというとこで、とっつきにくさはあるが、たいした問題点ではない。
    むしろ、この小説がテーマとしている、勇気をもって真実を語るということについて力強く語られており、楽しく読めた。
    舞台は16世紀なかばのアメリカ・ボストン。
    父親のわからない娘を生んだという罪で、ある女ヘスター・プリンが罰せられる。
    緋文字のAの文字を胸につけて生きるのだ。
    ヘスター・プリンと娘のパールが人目をさけて暮らす。そして、ヘスターの元夫が彼女を監視する。町の牧師との関係なども語られる。
    プロットをまとめてみると、シンプルな作品だったが、各キャラクターについて深く掘り下げられており、読み応えがある。

  • 不倫が大罪の時代。子を授かったへスタ―は公衆の面前でも父の名は明かさず、緋文字を背負い生きる。どんどん病んでいく牧師ディムス・デール。牧師と同居して見守るロジャー。3人3様の7年間の生活は、結果罪を白日の下にさらしたへスターが辛い経験を強さに変えたのかな。罪のない人は居ないけれど、隠して生きるのはしんどい。復讐は執着になりやがて無くてはならないものになる。悲しい物語がとても綺麗な文章で語られてよかったが、それも『税関』という序文を乗り越えてこそ。ホーソンを身近に感じられたけれど、途中でリタイヤしそうだった。

  • 高校時代に新潮文庫版を三ページで挫折して以来。最後まで読めてよかった。
    著者のホーソーンは、エマソンやメルヴィルと並んでアメリカン・ルネサンスの一人に数えられる。それまでの支配的なイギリス文化から独立してアメリカ独自の価値観を追求しようとし始めた人たちである。
    そういった目で見てみると、ヘスターは古い価値観に抗する若きアメリカ、チリングワースはイギリスなどの古い価値観となる。ヘスターに胸に輝く「A」の文字はアメリカの頭文字である。ディムズデール牧師は、古いピューリタニズムと新しい価値観に引き裂かれた当時の知識人の姿、と当てはめていくと英文学のレポートのようにまとまる。

  • GRAPEVINEのscarletAという曲の元ネタのためいつか読もう読もうと思い早数年でようやく読んだもの。

    「税関」を乗りきってしまえば本編はさくさくと読める。現在との時代背景、宗教観の違いはあるが、ヘスター・プリンを始めとしたそれぞれの枷、思惑は複雑でなく、そこまで重さは感じられなかった。

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