- Amazon.co.jp ・電子書籍 (345ページ)
感想・レビュー・書評
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ナサニエル・ホーソーンが1850年に出版したアメリカのゴシックロマン小説。
堅苦しい小説かと思って敬遠していたが、読んでみると面白かった。
たしかに骨太ではあるし、時代性なのか、現代の小説にはみられない構成をしているというとこで、とっつきにくさはあるが、たいした問題点ではない。
むしろ、この小説がテーマとしている、勇気をもって真実を語るということについて力強く語られており、楽しく読めた。
舞台は16世紀なかばのアメリカ・ボストン。
父親のわからない娘を生んだという罪で、ある女ヘスター・プリンが罰せられる。
緋文字のAの文字を胸につけて生きるのだ。
ヘスター・プリンと娘のパールが人目をさけて暮らす。そして、ヘスターの元夫が彼女を監視する。町の牧師との関係なども語られる。
プロットをまとめてみると、シンプルな作品だったが、各キャラクターについて深く掘り下げられており、読み応えがある。 -
高校時代に新潮文庫版を三ページで挫折して以来。最後まで読めてよかった。
著者のホーソーンは、エマソンやメルヴィルと並んでアメリカン・ルネサンスの一人に数えられる。それまでの支配的なイギリス文化から独立してアメリカ独自の価値観を追求しようとし始めた人たちである。
そういった目で見てみると、ヘスターは古い価値観に抗する若きアメリカ、チリングワースはイギリスなどの古い価値観となる。ヘスターに胸に輝く「A」の文字はアメリカの頭文字である。ディムズデール牧師は、古いピューリタニズムと新しい価値観に引き裂かれた当時の知識人の姿、と当てはめていくと英文学のレポートのようにまとまる。 -
GRAPEVINEのscarletAという曲の元ネタのためいつか読もう読もうと思い早数年でようやく読んだもの。
「税関」を乗りきってしまえば本編はさくさくと読める。現在との時代背景、宗教観の違いはあるが、ヘスター・プリンを始めとしたそれぞれの枷、思惑は複雑でなく、そこまで重さは感じられなかった。