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- / ISBN・EAN: 4988102258092
感想・レビュー・書評
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父親と共に失踪し、何年も行方不明だった幼い姉妹が発見される。父親は死に、子供達は人里離れた山小屋で、ただ二人で生存していた。しかし二人は四つん這いで獣のように唸り声を上げ、すっかり人間性を失ってしまっていた。
父親の弟、二人の叔父にあたる男は自分の彼女であるアナベルと共に姉妹を引き取ることとしたが、アナベルはある時二人の周りに「何か」がいることに気付く。
なかなか心を開かない姉妹や不気味な怪現象に、母親役のアナベルは苛立ちながらも自分の中に母性が目覚めるのを感じていた…。
冒頭の小屋が死霊のはらわたじゃねーかと思ってつい笑ってしまったのですが、そこは流石のスペイン映画。そんな気持ちを忘れさせるくらい子供達の発見シーンがめっちゃ気持ち悪怖いです。これ元は3Dだったのかな?
そこはさておき、この映画はホラーというより感動モノ(?)なので良かったところを挙げるならばリリーを温めるアナベルの様子の描写ですね。狂った亡霊の母親を求めて、人間には誰にも心を開かない幼い少女リリーを無理やり膝に抱え、腕をさすり息を吐きかけて体を温める。
しかし子供が母親を求める気持ちとは切ないですね、当の母親は怨念に囚われていてリリーを夜中寒空の下で放置した挙句忘れているというのに…。そしてアナベルに腕をさすられて驚いたような顔のリリーの演技も最高です。朝方に発見された頃にはすっかり凍えきっていたリリーはアナベルを拒否して暴れるが、アナベルは力強くリリーを抱き抱えて体温を分け与えるように体を擦り、冷え切った指先に優しく息を吐きかけて温めようとしてくれます。生身の人間との初めての触れ合いです。多分この子は一般的な母性に触れたことはなかったはずだし、人間が、母親が温かいなんて知らなかったはずです。この時のリリーの心の動きの描写が大変素晴らしい仕上がりです。
また、姉のヴィクトリアは、失踪当時ある程度物心ついた状態だったからか、父親そっくりの叔父に「昔掛けていたんだよ」と眼鏡を貰ったことにより、徐々に失っていた人間性を取り戻していきます。そしてその代わりに一般的な社会性・人間性と対極にあるような、とにかく大人を害しまくる「ママ」を拒絶するように。そしてママはヴィクトリアが眼鏡を掛けたり、アナベルに心を開く様子を見て発狂します。しかし子供はどんどん大きくなり、母親の手から離れていくもの…もういっそ最愛の子供達を殺そう、と決意したママは二人を連れ出します。
一方のアナベルは姉妹の心理を研究していた博士が変死したことにより、二人に付きまとう亡霊「ママ」の存在、そしてその正体を知ることとなります。また博士の部屋で「ママ」の実子である赤ん坊の遺骨を発見し、二人の元へ急ぎ駆けつけました。
その時「ママ」は、自分が過去に死に、子供を失ったその場所でまた二人の子供を殺そうとしていました。それを止めるべくアナベルは母親に子供の遺骨を返します。するとママの顔は一瞬、元の人間らしい優しい顔付きに戻るのですが、その隙に二人を救おうとした時、リリーがママを呼んでしまいます。ここでママ、遺骨を投げ捨て、リリーを掴みます。
ここが個人的にはよくわからなかったのですが一度も可愛いがったことのない赤ん坊の骨より、長年育て、お互いに必要としあっていた義理の娘であるリリーの方がママにとっては「我が子」だったのかなと。
そして他の母親を知らないリリーはヴィクトリアを離れ、ママと共に行くことにします。実の母親を知らないで、赤ん坊の時からずっとママに育てられたリリーにとって、ママは絶対的存在で他に代えられず、そしてリリー自身年齢的にもまだまだ母親以外の世界を知らない幼な子です。
化け物みたいな顔貌で、大きくなった姉が拒絶するママに手を伸ばし、抱き上げられて頬を撫ぜます。死ぬことを恐れていないというか、理解してないのでしょう。ただただリリーはママを必要としていました。
そしてヴィクトリアはママにお別れし「I love you」と言い涙を流すが一緒に死ぬことは拒みます。
遮二無二な幼な子の母親を求める気持ちがママの傷付いた精神を癒したのか、ママとリリーは共に崖から去り、二人は蛾(蝶?)となって空に消えて行ったのでした。
とにかく幼い頃のヴィクトリアがめちゃ可愛いです。あとリリーの何でもいいからとにかく母親が必要なんだ!という幼い子供の演技には痺れます。どんなに頭おかしくても見た目怖くても人殺しまくっててもそんなの関係ねぇ!っていう。
もう一回見たいので星四つ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供の親権争っている人達には、私なんかよりずっとホラーなんだろうな。
子供達の目が怖かった。
『ゼロ・ダーク・シティ』のジェシカ・チャスティンが見た目が別人みたい。
ギレルモ・デル・トロ製作。 -
最後納得いかない、骨だけ持ってけばいいでしょ?
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ITのアンディ・ムスキエティ監督がハリウッドに招かれて初めて手掛けた長編映画。
スタイリッシュで面白いビジュアル。
殺された霊が子供達の世話をするが、いびつな母性愛で娘たちを不幸にする。
ラストがひどいのもITと同じ。笑