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感想・レビュー・書評
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信長について従来考えられていたような天皇との対立的な見方を改めさせてくれる本。史料もふんだんにあり、実証的でありがたい。三条西など、公家の活躍など興味深い。じっくり読み込んでみたい本。
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信長というと、旧来の権威や価値観を破壊する革新者というイメージだが、研究の進展で信長の事跡か再検討された結果、おなじみの信長像がすっかり覆ってしまったのがここ10年20年。
例えば、
・「天下布武」の"天下"とは畿内5カ国という限られた範囲を指すに過ぎず、全国のことではない。
・天皇や朝廷との関係には慎重姿勢・協調路線。安土城は天皇の行幸を前提に設計されている。
・楽市楽座は他の大名にも見られる政策で信長独自のものでも導入が早いわけでもない。
・領国支配の体制は同時代の他大名に比べむしろ後進的。
……などなど。(ちなみに南蛮胴とマントの出で立ちは黒澤明の「影武者」から広まったここ30年のイメージっても有名なお話)
本書もまた、こうした研究成果に立脚。織田信長は本当に全国統一をめざしていたのか、という問いからはじめ、織田信長の実像に迫ろうとする。そこで重要なキーワードが「天下静謐」であり、それは必然的に朝廷・天皇との関係へとつながる。信長の対朝廷政策についてはあまり知らなかった(むかし小和田哲男が正親町天皇との関係について書いていたのは読んだ記憶がある)ので、非常に興味深く読むことができた。
2020年の大河は明智光秀とのことなので、最新の信長像でやってくれると意外性があっておもしろいと思う。
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今まで持っていた、織田信長の革新的なイメージが変わった。そして、この本に書いてある方が、現実味がある。